科学技術協力(SATREPS)エビデンスに基づく乾燥地生物資源シーズ開発による新産業育成研究がスタート。アルガン、オリーブ、薬草植物の高付加価値化を支援

2016年1月4日

エビデンスに基づく乾燥地生物資源シーズ開発による新産業育成研究
−アルガン、オリーブ、薬草植物の高付加価値化を支援−

国際協力機構はモロッコにて2015年11月29日に、モロッコ農業・海洋漁業省次官、高等教育・科学研究・幹部養成省次官、ハッサン2世農獣医大学学長、カディ・アヤド大学学長との間で、また、チュニジアにて2015年12月18日にザイヤニ高等教育省科学研究総局長との間で「エビデンスに基づく乾燥地生物資源シーズ開発による新産業育成研究」の実施にかかる合意文書を署名しました。

本プロジェクトは日本・チュニジア・モロッコの3カ国間の産学連携研究開発を通じて、チュニジア・モロッコに生息する乾燥地・半乾燥地の食薬植物資源の機能性と有効性の分析、加工技術の開発、機能性と生育環境の関係性の分析、バリューチェーン分析等を行い、医薬品や健康食品といった高付加価値への利用を検討・促進することで、両国の新産業振興に向けた貢献を目指すものです。

両国が位置する北アフリカでは水資源が不足している事もあり、農業の低生産性、さらに輸出農産物の加工度が低く、付加価値が乏しい為に廉価でと取引されている事が課題となっています。こうした中、これら地域の植生に、極限環境下に対抗する高い機能性を有するオリーブ、アロマ薬用植物、アルガン、サボテン等の生物資源が存在していることが明らかになり、機能性食品や医薬品等の分野での製品化につながる高いポテンシャルが見いだされています。

JICAは2010年から2015年まで、チュニジアにおいて「乾燥地生物資源の機能解析と有効利用」(科学技術協力プロジェクト)を実施し、オリーブ、薬用植物、耐塩性植物の有用成分の探索・機能性評価・ 生産・製品化といった一連のプロセスを統合的に行うための技術的な基礎を構築する取り組みを行いました。本事業は、当該プロジェクトの科学的成果をさらに発展させ、高付加価値農産品の開発研究を行い、モロッコにも波及させていく取り組みです。今後は日本側の研究機関の代表である筑波大学が中心となり、3カ国の11研究機関および民間企業を巻き込みながら5年間にわたり研究を実施していく予定です。

チュニジア・モロッコでは就労人口に占める農業従事者の割合はそれぞれ25%、15%と重要な産業に位置付けられています。また、両国では男性の都市労働への就労増加等により、就農者の女性割合が増加傾向にあり、一般に、農作業では女性は収穫及び加工に特に従事する等、女性の活躍に向けても重要な産業の位置付けとなっています。本プロジェクトを通じて長期的に現地の食薬生物資源の高付加価値化が実現することで、農業従事者の生計を向上させ、また、農産品加工業や医薬品製造業等の産業付加価値を向上させることで、経済成長の持続性を高め、地域の安定や格差の是正に寄与することが期待されています。

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オリーブやローズマリーなどの植物から有効成分が同定され、データベースの構築が図られています。

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チュニジア産のオリーブオイルにはヨーロッパ産の10倍〜20倍ものポリフェノールが含まれていることが明らかになりました。

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機能の解析や安全性の評価を経て、医薬品や機能性食品の原料としての開発に期待が寄せられています。