【技術協力の開始】防災の観点から都市強靭化計画の策定を支援(トルコ・ブルサ)

2022年11月21日

イスタンブールから車で約1時間半の位置にあるシルクロードの西端の古都・ブルサにて、11月18日、技術協力プロジェクト「ブルサ大都市圏における地震リスク軽減・防災計画プロジェクト」の開始に向けた合意文書(Record of Discussions)の署名式が開催されました。本プロジェクトを通じて、防災の観点からブルサの都市強靭化計画の策定を支援する予定です。

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災害リスクの高いオスマン帝国誕生の地・ブルサ

トルコは日本と同じ地震多発国として知られており、トルコ北西部地震(1999年)、トルコ東部地震(2011年)、イズミール地震(2020年)などは、莫大な人命・経済被害をもたらしました。また、近年では洪水被害や山火事(2021年)なども発生しており、地震に限らず将来の災害に向けて事前に備える「事前防災」の重要性が増しています。

オスマン帝国誕生の地であるブルサは、文化・歴史的に重要な都市であるだけでなく、トルコで4番目に人口が多く約300万人が暮らす大都市・工業地域でもあり、人口・経済面ともにトルコ国内で大きな役割を果たしています。一方で、複数のプレートが地下に存在しているため、地震発生のリスクの高い地域であると考えられています。また、ブルサ大都市圏は、災害への対応を踏まえた各地区の都市計画を策定することを目標として掲げていますが、既存の都市計画では災害リスクを十分に考慮できていない現状があります。本案件は、ブルサにおいて、災害リスク評価に対する理解の促進及び既存の都市計画への適応も考慮した、実効性のある都市強靭化計画が策定されることにより、大都市ブルサでの災害リスクを踏まえた都市計画への貢献が期待されています。

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日本・ブルサの長年の協力を踏まえた新プロジェクト

ブルサと日本の間には、「防災」の観点で長年の協力の歴史があることをご存じでしょうか。ブルサには、体験型防災施設としてブルサ防災館があります。これは、日本国内の防災館を参考に建設された施設であり、なかでも兵庫県にある「人と防災未来センター」を参考にしています。JICAはデザイン設計にあたって専門家を派遣したほか、子ども向けの防災研修の分野における経験を共有するためにシニアボランティアを派遣してきました。現在では、現地の学生が震災現場や救急救命の技術を学ぶために当該施設を訪れるなど、トルコの防災研修におけるアイコニックな施設となっています。

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ブルサ防災館

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ブルサ防災館

また、JICAは過去の技術協力「リスク評価に基づく効果的な災害リスク管理のための能力開発プロジェクト」(2013年~2017年)において、災害リスク評価の実施を目的としたパイロット事業をブルサで行っており、ブルサと日本の間には防災を軸にした繋がりがあります。

また、11月9日には、5年ぶりの防災分野における案件となった技術協力プロジェクト「地方自治体の廃棄物・汚染管理及び災害リスク管理能力向上プロジェクト」の開始に向けた合意文書の署名式が開催されました。日本とトルコの防災協力の一層の発展が期待されます。