JICAグルフィールドオフィスの紹介

平成26年7月1日現在

ウガンダ北部に位置するアチョリ地域は、1980年代中盤から2000年代中盤までの20年にわたり、政府軍と神の抵抗軍(LRA)と呼ばれる反政府勢力との武力闘争の舞台となった場所です。この間、約200万人の住民は、政府が準備した避難民キャンプでの生活を余儀なくされました。この結果、農村コミュニティにおける文化資産が亡失したばかりか、伝統的な農業技術の多くが消失されることとなりました。そしてそれ以上に、同地域における開発事業が停滞、停止されていたことで、2000年代中盤に避難住民の帰還が始まった時点では、道路や橋梁などの経済インフラに加えて、小学校や保健所、更には給水施設など社会インフラの面でも非常に立ち遅れた状態に置かれていました。

ウガンダ政府は、このような状況を背景に、2007年に北部ウガンダ平和復興開発計画を立案、国内避難民の円滑な帰還を推進するとともに、帰還後の民生向上を図るための事業に着手しました。これに応えて、それまでの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国際赤十字などの人道支援機関の他、USAID、EU、DANIDA等の二国間開発援助機関の多くが北部ウガンダ地域支援プログラムを立ち上げ今日に至っています。

このような中、JICAは、2009年8月、JICAウガンダ北部復興支援プログラム(REAP)を迅速、円滑に推進するために、アチョリ地域の中心地であるグル(Gulu)にJICAグルフィールドオフィスを開設しました。現在、同フィールドオフィスには、企画調査員2名の他、ウガンダ人のフィールドコーディネーター2名が配置され、REAPを構成する各種プロジェクトの運営支援、新規案件の発掘、形成に取り組んでいます。

グルは、ウガンダの首都カンパラ市から南スーダンの首都であるジュバ市を直接つなぐ国際幹線上に位置する北部の要衝で、グル県の県庁所在地でもあります。赤道直下の北緯3度に位置し、標高が約1100メートルで、特に、乾期となる12月から3月にかけては、日中、気温が上昇し、また、一日中、土埃の舞う厳しい季節ですが、3月末から雨が降り始めると、夜半の気温が20度前後まで下がり、寝苦しさからも解放されます。

アチョリ地域は、グル県を含めた7県で構成され、少年・少女の拉致、兵士への強制的徴用などLRAによる非人道的戦闘行為が最も激しく行われた地域ですが、20年以上にわたり戦時状態におかれたことによる負の遺産は、極めて甚大であり、道路の舗装率、小学校の就学率、安全水へのアクセスなど多くの面でウガンダで最も開発の遅れた地域となっています。例えば、グル県を除きほとんどの県には、舗装された道路がなく、雨期に入ると冠水、遮断される箇所も多く、人々の生活に深刻な支障が生じます。また、多くの子供たちは、薄暗い茅葺校舎の教科書もない中での学習を強いられています。

JICAグル事務所では、このような北部ウガンダ地域の復興、そして開発を支援するために、北部ウガンダ復興支援プログラムの下に、1)経済・社会インフラストラクチャーの再建、2)地方政府職員の能力向上、3)地域住民の生計向上の3項目を基本目標として様々なプロジェクトの運営支援を行っています。

平成26年7月現在、実施中のプロジェクトとしては、「アチョリ地域コミュニティ開発計画策定能力強化プロジェクト」(技術協力)、「アチョリ地域国内避難民帰還・再定住促進のためのコミュニティ再建計画プロジェクト」(無償資金協力)、「アチョリ地域国内避難民の定住促進のための地方給水計画プロジェクト」(無償資金協力)、「アティアク・ニムレ間道路改修計画プロジェクト」(有償資金協力)があります。

約200万人と言われた国内避難民の多くは、既に、それぞれのコミュニティに帰還を果たした反面、20年間のキャンプ生活を耐え抜いたこれらの住民が、自らの将来設計を出来るようになるまでには、相当の時間と継続した支援が不可欠となります。

1962年の独立以来、内戦の絶えることがなかったウガンダですが、多くの同様な問題を抱えるアフリカ大湖地域のモデルとしての役割を果たすことが、同地域の恒久的な安定、平和に大きな影響を与えることは疑いのないところです。

JICAグル事務所は、北部ウガンダ地域の持続可能な発展と住民の生計向上を支えるための取り組みを継続していきたいと考えています。