#TEAMUGANDA TOKYO2020 RUN成功の裏側で見たもの

2020年3月10日

広報インターン
福田 早紀

2020年3月7日、陸上・長距離種目の聖地とも呼ばれるカプチョルワ県において東京オリンピック・パラリンピック公式プレイベントとしてJICAウガンダ、ウガンダオリンピック委員会(UOC)、国際連合人口基金(UNFPA)の共催によって「#TEAMUGANDA TOKYO2020 RUN」と題してロードレース(10キロメートル・5キロメートル)が開催された。今回私は2月より広報インターンとしてJICAウガンダ事務所に派遣され、この事業に関わらせていただくという貴重な機会をいただいた。微力ながらも本イベントに関わる中で見たのはJICAウガンダの皆様の本イベントに対する並々ならぬ努力や苦労であった。

イベント概要

本イベントはウガンダ国民に対するJICA事業及び日本文化の紹介、オリンピック・パラリンピックイヤーの周知を目的としてJICA、UOC間で協議・合意がなされ実現した。また、開催地となったカプチョルワを含む一部地域では現在でも女性器切除(FGM)が行われていることからFGM撲滅を推進するUNFPAのキャンペーンも同時に行われた。レースには多くのアスリートが参加し非常にレベルの高いものとなり、ゲストには2012年ロンドン五輪男子マラソン金メダリストのスティーブン・キプロティチ選手が訪れメディアからの注目度も高かった。JICAウガンダはJICAボランティアが彼らの活動や日本文化を紹介する5つのブース(体育・日本食・日本文化・米・クラフト)を準備したり、ソーラン節のパフォーマンスを披露したりするなどしてイベントを盛り上げた。

コミュニケーションと代替案の準備

結論としてこのレースイベントは大きな事故もトラブルもなく無事成功に終わった。しかし、それを実現するためにどれだけの関係者の努力と苦労があったかは言うまでもない。ミーティングに同席させていただく中で感じたのは、「コミュニケーション」と「代替案の準備」の重要性である。今回のイベントの特徴として、複数の主体が共催しているということが挙げられる。同じイベントに向けて準備を進めてはいるもののそれぞれのイベントを通じての目的や役割は異なる。したがってミーティングを何度も重ね、細かい点まで何度も確認し意見をすり合わせることでイベントを作り上げていく必要があった。また、期待していたようにことが進まなくなることも当然ある。今回もイベント直前になっても必要設備の調達にかかる問題が解決せず、代替案を考えて準備する必要がある場面に遭遇した。度重なる予想外の展開にも冷静に対応し、イベントを作り上げていったJICAウガンダ事務所の方々に敬服のほかない。

JICAボランティアの創造力と行動力

今回のイベント成功にはJICAボランティアの力も大きかった。限られた環境の中で工夫をして何かを成し遂げる、というのは彼らにとっては普段の任地での活動と何ら変わらないことなのかもしれない。しかし、移動日からイベント終了まで行動を共にする中でそれがいかに難しく、また誰にでもできることではないというのを感じずにはいられなかった。今回5つのブース(体育・日本食・日本文化・米・クラフト販売)が用意されたが、どれも創意工夫に富んでいて非常に魅力的であった。体育ブースでは身長や体重の測定、立ち幅跳びや垂直飛びの記録を残して参加者に渡すことでスポーツが健康にも深く関わっていることをおのずと理解させる保健教育のような側面を含んでいた。これは「ウガンダ人は自分の身長や体重を把握していない人が多い」というボランティア自身が現地人と関わる中で知り得た事実に基づいており、彼らの普段の活動の経験が存分に活かされていた。日本食ブースでは、焼き鳥・焼き鳥丼・ぜんざいの3つが提供された。日本食ならではの食材をウガンダで調達するのは難しく、何週間も前から現地のマーケットで食材を探し試作を重ねることで実現したメニューである。日本食に並んで日本文化ブースでは浴衣の着付け、習字、輪投げの3つが設置された。着付けブースでは浴衣を着つけた後に手作りのプレートを持って「SNS映え」が狙える写真撮影ができたり、輪投げブースでは獲得した得点を自分で計算させたり、「与えられる楽しみ」ではなく参加者自身が「自ら楽しむ」ことのできる工夫がなされていた。また、習字体験用の墨汁を、ボランティア自ら1時間以上かけて炭を削って作ったと聞いたときは彼らのこのイベントに対する思いの強さを感じた。米ブースでは、単に米の栽培方法や道具を紹介するのではなく、稲藁を用いた草履の展示や実際の稲の展示など米をより身近に感じてもらえるようになっていた。子供たちが稲藁を用いた草履を「サンダルが植物でできるなんて!」といった様子でまじまじと見ていたのが印象的であった。クラフト販売のブースではボランティアが支援している現地の女性グループが生産しているチテンジ(アフリカ布)を用いたクラフトが販売され、そのクオリティの高さに多くの参加者が目をとめていた。ブースだけでなく、レース前のソーラン節のパフォーマンスでも日本文化を伝えた。内山貴之ウガンダ事務所次長、大杉治英企画調査員も参加し、共にパフォーマンスした。このようにJICAボランティアのイベント成功に対する貢献は計り知れない。限られた環境の中で最大限できることをする創造力、多少の不便をものともせず計画を実現する行動力。わずか3日間ではあったがJICAボランティアを構成する根幹の部分を垣間見ることができたと思う。

まとめ

本イベントは参加者2,000人に迫る非常に大規模なものとなった。さらに多くのメディアにも取り上げられたことを考えると、開催地のカプチョルワのみならずウガンダ全体に東京オリンピック・パラリンピックの周知、JICA事業、またFGMへの関心を高めることができたのではないだろうか。

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福田早紀(インターン)

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JICAボランティアの皆様と

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習字体験

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輪投げゲーム

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身長測定

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体重測定

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垂直跳び

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立ち幅跳び

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米栽培紹介ブース

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浴衣体験

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浴衣を着て写真撮影

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カプチョルワの子供たちと

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カプチョルワの子供たちと

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大会オリジナルTシャツ

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ランナーたち

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ソーラン節のパフォーマンス