バヌアツ国「地震・津波・高潮情報の発信能力強化プロジェクト」開始

2019年4月22日

一般財団法人 気象業務支援センター
業務主任 登内 道彦

バヌアツ国は国連大学が公表した「世界リスク報告書 2018」で第1位にランクされ、世界で最も自然災害に脆弱な国とされており、2015年のサイクロン・パム、2018年5月の火山噴火によるアンバエ島の全島避難、また、2018年12月5日のニューカレドニア沖の地震で発生した津波に南部の島で漁船の被害が出るなど、これらの自然災害の被害を最小化するための防災情報の発表と伝達が重要な課題となっています。
JICAでは無償資金協力「広域防災システム整備計画」により、地震・津波・気象監視のため、広帯域地震計、潮位計、自動気象観測器を整備し観測能力の向上を計ってきましたが、これらの情報を使った迅速で的確な防災情報の発信と伝達を目標に、防災発表機関であるバヌアツ気象・地象災害局(VMGD)、および、情報伝達機関である国会災害管理局(NDMO)を対象とした、防災情報・伝達能力強化をプロジェクト目標に、「地震・津波・高潮情報の発信能力強化プロジェクト」が計画されました。

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第1回合同調整委員会会議終了後のメンバー集合写真

プロジェクトの開始に先立ち、ベースライン調査を行い、同国の地震・津波・高潮に係る監視システム、情報発信能力を調査し、カウンターパート(VMDG、NDMO職員)と全体のワークプランを検討のうえ、第1回合同調整委員会会議(JCC)を2019年4月18日に開催し、プロジェクトの活動、スケジュール、到達目標を確認、協議、合意し、3年間のプロジェクトが正式に開始しました。
同会議の開催に当たっては、バヌアツ日本大使館の勝又大使にもご臨席を賜り、日本国がVMGDにこれまで供与した機材をはじめとする、防災に係る監視システム、情報発信能力を視察頂き、バヌアツ側からも防災能力向上のための日本の知見の共有に対する強い期待を受け、両国の経験を共有し、バヌアツ国の自然災害の被害軽減に同プロジェクトが寄与できることを期待するご挨拶を頂き、両国参加機関全体で、本プロジェクトの目標・活動計画を共有させて頂きました。

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在バヌアツ日本大使館 勝又晴美大使(右から3番目)にプロジェクトを説明する筆者(左)

ベースライン調査における活動の中で、南部のアネイトム島における調査が、バヌアツのTV局TVVで放送され(2019年4月17日夜のニュース)、また、地元新聞社バヌアツ・デイリー・ポスト紙(2019年4月20日版)でJCC開催に係る記事が掲載されるなど、バヌアツ側の期待も高く、今後3年間で、地震、津波、高潮に係る監視、解析、予報、伝達能力を計り、バヌアツ国に自然災害の被害軽減に我が国が寄与できるよう、我が国の経験、技術をVMGD、NDMOに移転し、VMGD、NDMOの能力強化と同国の自然災害に対する防災能力の向上を計っていきます。