バヌアツJOCV派遣30周年

2019年5月28日

報告者:Silas Ngui
プログラムオフィサー

1988年7月9日にバヌアツ国(以下「バヌアツ」)の首都ポートビラのテレコム・バヌアツ・リミテッド(TVL)と南太平洋大学(USP)に最初のJOCV(Japan Overseas Cooperation Volunteers:青年海外協力隊)2名が派遣されてから30年が経ちました。それ以降、これまでに360人を超えるボランティアが国内6州の全州に派遣され、バヌアツ支援の主要セクターである教育、保健、インフラをはじめ、様々な分野への協力と発展に貢献してきました。JOCVはバヌアツ人とのパートナーシップを通じて、国際協力への理解を深め、さらにバヌアツとの信頼と繋がりを日本社会へ還元するため、多様なアプローチで問題に取り組んできています。

2019年3月8日、JICAバヌアツ支所は、ポートビラ市内の中心部にあるシー・フロント・パーク・ステージで、バヌアツJOCV派遣30周年記念式典を開催しました。式典用に子どもたちにアート教えている青少年活動隊員がデザインしたTシャツを作成しました。

午前中の式典には、在バヌアツ日本大使館の三好功一大使、ラルフ・レゲンバヌ外務大臣、ユニセフバヌアツ代表、TVL社長、米平和部隊代表等多くの方々に出席いただきました。

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在バヌアツ日本大使館 三好功一大使

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ラルフ・レゲンバヌ 外務大臣

三好大使によるオープニングスピーチでは、日本とバヌアツの関係および両国間の協力を通じて共に発展してきた歴史と多くの業績が紹介されました。ラルフ外務大臣は、バヌアツからの視点でJOCVプログラムの歴史について言及されました。JOCVを通じた支援について謝意が述べられるとともに、特に重要な支援分野として保健および教育分野の活動に評価をいただきました。また、「信頼で世界をつなぐ」というJICAのビジョンで大臣のスピーチが締めくくられました。武市支所長からは、バヌアツでのJICAのこれまでの実績とプロジェクトの説明の後、JOCVの30周年記念を開催できることについて出席者へ謝辞が伝えられました。

次のセッションでは、JICAボランティア・プログラムの歴史と概要について、ボランティア調整員より説明がありました。続いては、JOCVのOB・OG代表8名から寄せられたビデオメッセージが上映されました。バヌアツを離れて10年以上が経っているにもかかわらず、流暢かつユニークなビスラマ語のメッセージに、出席していたバヌアツ関係者はみな驚き、また会場は笑いに包まれました。次に、現在活動中のJOCVより、保健セクター(学校保健)と教育セクター(小学校教育の算数分野)の隊員が活動の紹介とバヌアツにおける成果についてプレゼンテーションを行いました。

式典後半では、JOCVにより2曲の日本の歌が紹介されました。1曲目は、世界的に有名な「見上げてごらん夜の星を」、もう1曲は、2011年の東北地方太平洋沖地震・津波の復興支援曲である「花は咲く」の手話つき合唱でした。復興を応援するテーマソングですが、外務大臣をはじめ、多くの方に感動を与えました。最後はソーラン節に合わせた「よさこい踊り」が披露されました。力強い踊りに大きな拍手が上がり、式典は無事終了しました。

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JOCVによるプレゼンテーション

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書道、折り紙紹介コーナー

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浴衣、半被の試着

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よさこい踊り

午後のプログラムでは、ジャパン・カルチャー・フェスティバルとして、JOCV主催による日本の文化紹介イベントが開催されました。

JOCVによる子どもスポーツ活動(ミニ運動会)の紹介では、徒競走、パン食い競争、集団縄跳び、二人三脚等が紹介され、元気な子ども達が参加し楽しんでいました。また、医療活動では、BMIチェック等が実施されましたが、健康に関心のあるバヌアツ人が受診しようと、人だかりができるほど人気となりました。さらにブースでは、書道、折り紙、浴衣等も紹介されました。自分の名前を墨と筆で書いてもらった男の子は自慢そうに友達に見せていました。折り紙に興味を持った人はJOCVからアドバイスを受けながら真剣に制作に取り組んでいました。浴衣を試着した女の子は嬉しそうな笑顔で写真を撮ってもらっていました。教育関係では、理科実験の紹介があり、次々と紹介される科学現象に小学生たちは目を輝かせていました。水産関係のJOCVは養殖プロジェクトについての紹介をし、生きたティラピアの展示に恐る恐る手を触れてみる男の子もいました。また、バヌアツは災害が多いことから、日本の災害経験の紹介として、2011年の東北地方太平洋沖地震と津波のビデオも上映され、最初は興味本位で見ていた人たちも真剣な顔つきになり、災害の恐ろしさについて警鐘を鳴らすことができました。

今回の式典は30年間のJOCVの歴史を振り返ることができただけでなく、バヌアツの人たちにJOCVのことをより知ってもらう素晴らしい機会となりました。