バヌアツ国サント島水力発電施設建設計画準備調査

2019年11月28日

古澤 直子(プロジェクトコーディネーター 株式会社ニュージェック)

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新設水力発電所選定に係る踏査

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取水口・導水路選定に係る踏査

バヌアツ国の第二の都市があるサント島は日本の無償資金協力で建設された既設サラカタ水力が電源の中心を担っており、日本が同島の再生可能エネルギーによる電源開発を支えている好事例となっていたが、近年、継続的な電力需要の伸びにより、夜間であってもディーゼル発電機の稼働が必要な状況となっていました。

本プロジェクトは、日本が支援する太平洋島嶼国に対する「ハイブリッド・アイランド構想」の一環として位置付けられています。サント島において再生可能エネルギー電力を最大限活用し安価で安定的な電力供給を継続していく事を目的としています。今後、本事業を通じて得られる再生可能エネルギー導入比率への具体的な貢献を本調査にて確認しており、水力発電施設が建設されることにより、燃料の節約や環境への影響を抑えることが可能となります。

また、バヌアツ国政府は、2030年までに全島において再生可能エネルギー100%での電力供給をする事を目標としており、サント島における再生可能エネルギープロジェクトは、政府の目標と合致しており、他島のモデルケースとして位置付けられる事も期待されています。

これまでの活動について

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地質調査(発電所地点ボーリング作業

先行調査の情報を基に、本調査は2018年11月から調査を始めています。プロジェクトサイト候補地を現場踏査及び測量をし、基本レイアウトの見直しを行いました。この再検討で、総落差が当初予定より高く取れる代替案が確認されました。更に、流量観測結果を踏まえ流況曲線の再確認を行い、同案に係る概略の発電計画を検討しました。この結果1,000kW規模の計画立案が可能でることを確認することが出来ました。現在、事業実施に伴う環境及び社会への影響についても調査を実施しています。

GCF(緑の気候基金)活用検討に関する調査

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GCF関連機関との打合せ

バヌアツ政府により、緑の気候基金(GCF)を活用したサント島での他の再生可能エネルギー関連事業の実施について関心が表明されています。サント島では水力発電により高い再生可能エネルギー比率が実現されており、その再生可能エネルギー電源である水力発電が日本の無償資金協力によって整備されています。その現状を踏まえて、バヌアツ関連機関と協働しGCF基金を活用した再生可能エネルギー100%を目標とするプロジェクト案の形成についても水力発電調査と並行して検討を進めています。

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地元住民説明会後の集合写真