他職種連携による保健の授業

2020年3月10日

2018年度1次隊 学校保健
小林 久美

3月上旬、小学校隊員の配属先、首都から250Km離れた、バヌアツ第2の都市、サンマ州ルーガンビル市にあるカメワ小学校の4、5年生の保健の時間に、健やかな発育発達にはどんなことをすればいいのか、甘いものの健康被害やどのような食生活を送るとよいかなど、規則正しい生活習慣について授業を行いました。

これは、小学校教諭、養護教諭(保健室の先生)、栄養士、それぞれの専門性を活かしたスペシャルコラボレーション授業となりました。小学校教諭は、児童の興味を引く内容、学習内容を実生活と結びつけ、身近に感じられるか、わかりやすく伝えられるか。養護教諭(保健室の先生)は、子どもの成長、規則正しい生活習慣や、子どもの間に身につけてほしい健康に関することについて。栄養士はバヌアツに沿った食生活の提案について。それぞれがアイディアを出しながら、児童にわかりやすく、楽しい授業を組み立てました。

授業を行う前に、バヌアツ教育省が進めている、身体測定を行い、児童が自分自身の成長を実感してもらえるように工夫しました。

身体測定の手順は、児童の身長、体重を測り、その結果をOPEN VEMIS(児童生徒や学校の情報が保存されている、教育省のデータベース)に入力すると、BMI判定が自動的に出て、子どもの健康状態がわかる仕組みになっています。判定方法は大人と子どもでは違います。例えば、大人の場合、年齢や性別に関係なくBMI数値で判定がでますが、子どもの場合、年齢や性別で判定が変わってきます。バヌアツでは世界保健機関(WHO)が定めている成長曲線に沿って判定がでます。この活動は、まだ、首都があるシェファ州とマランパ州でしか広がっていないので、子どもたちは初めての体験にワクワクしていました。

授業の方法は、児童が話を聞く一方的な授業ではなく、見る、触る、考える、話し合うなどの子どもたちの活動を出来るだけ多く取り入れました。そして、普段食べているお菓子を教材に使うことで内容を身近に感じさせ、実際に砂糖の量を見たり、触ったりすることで量感がわかり、子どもたちの学びが深まるように授業を組み立てました。

具体的な子どもの活動は、4点。

  1. 1日の適正量(ティースプーン6杯、30g)が実際どれぐらいの量なのかを見て、触る
  2. マッチングゲーム(カードを使って、よく食べるお菓子の中にはどのくらいの砂糖が入っているのかマッチングさせる)
  3. 1日の適正量といつも食べているお菓子を比較して考える(いつも食べているお菓子は適正量以内か?適正量以上を食べた場合、どうしたらいいのか?)
  4. まとめとして、1週間の砂糖の適正量(42ティースプーン 210g)を使って、1週間のおやつの献立を作る

児童が、ケーキとほぼ同じサイズの量の砂糖が入っているケーキを見た時には、"えー"とびっくりする喚声があがり、クラス担任も児童と一緒になって楽しく学びました。

今回の授業から、甘いものを食べるのがよくないのでなく食べ過ぎがよくない、出来るだけ早い年齢から規則正しい生活習慣を身につけること、子どもの頃から自己管理できる力を育成させることが大切だと学びました。それが、将来の健康、病気の予防、NCDs予防にも繋がります。

私たちは、学校保健の活動を通して、子どもの健康、未来を守ります。

BMI測定

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レッスン

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マッチングカードゲーム

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間食調査

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