「大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト フェーズ2(J-PRISM II)」第4回合同調整委員会の開催報告&コロナ禍での活動内容のご紹介

2022年5月23日

J-PRISM II 廃棄物管理専門家
孔井順二、小谷倫加恵

「大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト フェーズ2」(通称、「J-PRISM II」)(プロジェクト期間:2017年2月~2022年9月)では、世界的に流行している新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、2020年3月以降、バヌアツへの現地渡航ができていませんでした。オンラインによる遠隔支援を継続していましたが、現地支所のご尽力により、2021年10月に念願の現地渡航が叶い、多くの改善活動を行うことができました。その中のいくつかの活動をご紹介します。

第4回合同調整委員会を開催しました

2021年11月30日にJ-PRISM IIの第4回合同調整委員会(Joint Coordination Committee:JCC)を開催しました。JCCはJ-PRISM IIのバヌアツ関係者が一堂に会して、1年間のプロジェクト進捗の確認と、次年度の活動計画の承認を行う年次総会です。今回の第4回JCCは、第3回JCC(2020年2月開催)から約1年9ヶ月ぶりの開催となりました。この間は、プロジェクトチームとカウンターパートがオンライン会議ツールを使用して活動の進捗確認を密に行うことで、活動を進めて参りました。

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第4回合同調整委員会(Joint Coordination Committee)終了後 プロジェクト関係者集合写真(2021年11月)

J-PRISM IIでは、バヌアツ国における「国家廃棄物管理及び汚染防止戦略(NWMPCS)2016-2020」の実施・モニタリング能力の強化を目指して、気候変動省 環境保護局(DEPC)、ポートビラ市役所(PVCC)、ルーガンビル市役所(LMC)、シェファ州(Shefa Province)とともに一丸となって活動を行ってきました。3つの成果別にこれらのプロジェクト活動の進捗を紹介します。

バヌアツにおける3つの成果の達成に向けた活動進捗

成果1:NWMPCSを実施するための環境保護局(DEPC)の組織・制度的能力が、ワーキンググループの協力を得て強化される。

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NWMPCS2016-2020モニタリング最終評価報告書

J-PRISM IIでは、2018年6月に国家戦略推進のためのワーキンググループを形成し、毎年のモニタリングを実施してきました。ワーキンググループは、NWMPCS2016-2020の最終年度となる2020年から2021年にかけて最終モニタリング評価を実施しました。その結果、廃棄物管理分野の達成度は82%、汚染防止及びオゾン層保全対策分野の達成度は29%、国家戦略全体での達成度は49%でした。NWMPCS2016-2020モニタリング評価最終報告書は、環境保護局(DPEC)ウェブサイトで一般公開されています。
第4回JCCでは、NWMPCS2016-2020の達成に向けて、引き続き改善活動を行うことが確認されました。また、並行して環境保護局(DPEC)は次期戦略策定に向けたNWMPCS調整委員会の設立準備を行っており、J-PRISM IIはこの活動の側面支援を引き続き実施しています。

成果2:廃棄物管理計画に基づき、ポートビラ市役所(PVCC)の廃棄物管理が適切に実施及びモニタリングされる。

ポートビラ市役所とシェファ州、J-PRISM IIは、廃棄物管理計画(2021-2030)の策定に向けて、様々なパイロットプロジェクトを実施しながら、その内容を検討してきました。同計画は2021年3月31日の市議会で正式に承認され、ポートビラ市長への引渡式の様子は地元新聞でも取り上げられました。本計画は、環境保護局(DPEC)のウェブサイトで一般公開されています。

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ポートビラ市廃棄物管理計画(2021-2030)

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ポートビラ市長への引渡式に関する地元新聞記事(2021年12月8日掲載)

成果3:バヌアツ国における3R+Returnの推進に向けた経済的インセンティブの枠組みが整理される。

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気候変動省次官及び環境保護局長とのCDS条例案に係る協議

バヌアツ国において2019年10月30日付で容器デポジット制度(CDS)(注)導入の基本方針が閣議決定されたことを受け、J-RPISM IIではCDSの導入の検討を進めて参りました。閣議決定に基づき、環境保護局(DPEC)のイニシアティブのもと、2019年12月に政府機関、飲料メーカー、輸入業者、市民団体などの関係者を集めたCDS技術作業部会(ワーキンググループ)を設置しました。2022年5月までに9回の会議を開催し、バヌアツで実現可能な制度や仕組みについて議論を重ねています。現在、DEPCはCDSの法制化に向けた条例指示書案の最終化に着手しており、今回のJCCではその進捗状況と今後の活動計画が確認されました。

(注)使用済の空き缶やPETボトルといった容器の購入者が、購入する際に「預かり金」を支払い、指定の場所に持ち込むとその支払った預り金が払い戻される制度

J-PRISM IIバヌアツ活動紹介及び好事例集が公開されました

コロナ禍での遠隔支援の一環として、J-PRISM II対象9ヵ国の活動紹介(J-PRISM II HIGHLIGHTS)及び好事例集を作成しました。英語版のみですが、南太平洋地域環境計画(South Pacific Regional Environment Programme:SPREP)のウェブサイトにて一般公開されています。全編フルカラーで現地活動の写真なども沢山使われていますので、ぜひ以下のリンクからダウンロードしてご覧下さい。

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J-PRISM IIバヌアツ活動紹介(J-PRISM II HIGHLIGHTS-Vanuatu-)

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好事例1:Capacity Development for Local Governments through Partnership in Vanuatu

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好事例2:Development of User Pay System (Prepaid Garbage Bags)for Waste management Service in Vanuatu

関連リンク

南太平洋地域環境計画(South Pacific Regional Environment Programme:SPREP)

地元新聞(Daily Post)オンライン記事