「緑の地球を守れ!アジア・アフリカ地域における荒廃地植生回復」

2010年7月27日

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荒廃地に生息する野生のニホンジカ

近年注目を集めている気候変動問題。それと並行して大きく取り上げられている問題として植物、動物の急速な減少があります。ご存知でしょうか。現在地球上には3,000万種とも言われる多様な生物が存在しています。
しかし近年、観賞や商業利用のための乱獲や埋め立てなどの開発による自然環境の悪化などにより、これまでの絶滅速度の1,000倍(40,000種/年)にも達する勢いでこの地球上から生物が絶滅しています。
日本でも野生動植物の約3割が絶滅の危機に瀕しており、地球の生態系保全に向けた取り組みは待ったなしのところまで追い込まれています。私たちにもなじみの深いトラやメダカなども絶滅の危機に瀕していることはどこかで耳にしたことがあるかもしれません。

生態系の保全に関する世界の流れ

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足尾銅山跡地周辺の荒廃地

絶滅種や生物多様性の保全に対する世界の取り組みの一つとして、1992年に採択された「生物多様性条約」があります。本条約は、
「地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること」
「生物資源を持続可能であるように利用すること」
「遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分すること」
の3点を目的としています。
今年10月には愛知県名古屋市にて生物の多様性を守るための国際会議「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」が開催され、生物多様性条約による各国の取り組みの進捗状況の確認と今後の目標の策定などについて議論が交わされる予定となっています。日本も生物多様性基本法を2008年6月に公布するなど、このグローバルな課題に対し世界各国と共に取り組んでいます。

想いは一つ

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バスの移動中でも講義

こうした中、JICA横浜ではアジア・アフリカ地域で失われた緑を取り戻し、生態系の保全を図ることを目的とし、「アジア・アフリカ地域における荒廃地植生回復」という研修をスタートし、毎年12名の研修員を受け入れています。どの地域にどの植物が相応しいかといった自然環境条件や、社会経済条件も考慮した日本の植生回復の実習や事例もふまえ、各研修員の悩みをともに考えたりして研修は進められています。

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講義中の様子

昨年度は11〜12月にかけてブルキナファソ、インドネシア、ケニア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピンから研修員たちが横浜に集まって研修を行いました。
皆さん非常に熱心でかつ仲も良く、研修を担当したコースリーダーは「研修員の熱心さとやる気に夜遅くまで付き合うこともあった」そうです。

未来へつなぐ

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研修の実習先である栃木県日光市足尾町

1ヵ月半の研修を終えて帰国から半年後、当機構の広報誌「JICA’s WORLD」に1枚の写真が紹介されました。昨年度研修に参加したマレーシアの研修員が、帰国後に日本で学んだ研修成果を生かして植樹活動を行った、というものでした。

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帰国後の研修員の活動

日本の研修講師の熱い気持ちが研修員へ伝わり、日本での学びが世界で根付いていく…… 技術の伝達と共に人と人との想いをつなぎ、地球環境の保全に向けた輪を少しでも広げていく。その一翼を担う活動がここJICA横浜でも日々行われています。




JICA横浜 研修業務第一課 古川 直人