「漁業コミュニティ開発計画」フォローアップ事業 in マラウイ共和国

2013年4月19日

JICA横浜国際センターは、集団研修「漁業コミュニティ開発計画」コースを実施しており、毎年10人程度の研修員を世界各地域(アジア・アフリカ・中南米・大洋州)の開発途上国から受け入れています。

皆さんは、『研修』と聞くとどのようなことを思い浮かべるでしょうか。
国際協力分野における研修の一つとして、開発途上国の方々に日本の現場を視察してもらい、その経験を自国において活用してもらう方法があります。
例えば、開発途上国の水産局職員が日本の漁業協同組合(漁協)、魚市場、水揚げの様子を視察し、現場の方々から講義を受けます。また、住民参加型の調査手法・ワークショップの運営方法、プロジェクト計画の策定手法などを学習し、自国の漁業コミュニティが抱える問題解決のためのプロジェクトを推進します。

2009年度から2011年度にかけて、マラウイ共和国から合計6名の研修員が来日し、「漁業コミュニティ開発計画」コースの研修を受けました。
研修員は、自国の漁業コミュニティを適切に開発するためのプロジェクト計画を、研修の成果として策定してきました。JICA横浜国際センターは、このプロジェクト計画の進捗状況を確認し、計画改善・実施促進を行うため、研修実施を委託しているアイ・シー・ネット株式会社に依頼し、2名の専門家を2013年1月19日から2月5日にかけてマラウイへ派遣しました。

マラウイ共和国における帰国研修員の活動のフォローアップ

【画像】アイ・シー・ネット株式会社 高山琢馬
株式会社フジイインターナショナル 藤井資己

マラウイはアフリカ南東部に位置し、国土面積が北海道と九州を合わせた程度の内陸国ですが、マラウイ湖という大きな湖(琵琶湖の約44倍)が国土の20%を占めており、沿岸住民の多くが重要なタンパク質源として魚を利用しています。

マラウイ湖北部カロンガ地区に建設された魚の燻製施設

燻製施設内部の燻製用かまど

空農地を活用したティラピアの粗放的養殖場

人々は収入の多くを漁業活動に依存しており、漁獲圧の増加に伴う漁業資源の減少は、漁村の生活を圧迫しています。
そのような状況の下、帰国研修員は日本での経験を活かして活動していました。ある帰国研修員(水産局勤務)は、日本で策定したプロジェクト計画をもとに、国連から資金援助を取り付けていました。湖で過剰漁獲を減らし、代替収入源を確保するため、淡水魚養殖用の池を造成するとともに、魚の加工用施設を建設していました。
今後はこれらの施設を運営するため、住民たちと一緒に訓練を実施する予定になっています。

また、ある帰国研修員(水産局勤務)は、日本で学んだ調査手法を用いてプロジェクト計画を作成し、NGO団体と共に住民を巻き込んだ漁業資源管理の取り組みをしていました。多くの開発途上国では、漁業資源管理が行政のトップダウン方式で実施されており、漁業関係者自らが資源管理を担うという意識が不足しがちです。しかし、このプロジェクトは住民を組織化し、啓蒙活動や訓練を実施することで、過剰な漁獲圧を減少させることを目指し、漁獲物を加工して付加価値を高めることで、漁業収入の向上を図ります。また、漁業者登録料を徴収して組織の運営資金に充てていました。これらの取り組みは、日本で視察した漁協の活動にヒントを得ており、すでに住民組織化のための条例が成立していました。

その他の帰国研修員も、日本の研修で学んだことを活用し、漁業資源管理や代替収入源の確保に関わる活動をしていました。

漁業コミュニティの適切な管理による漁業資源の自足的利用を目指して

マロンベ湖チムワラ漁村で小型舟巻網を修理する漁業者

マロンベ湖チャポラ漁村で実施した簡易型調査

住民参加型ワークショップ

マラウイでは帰国研修員達の支援を行うため、私たちも漁村や水揚げの現場を一緒に訪れました。
しかし現場では、研修員自らが日本で学んだ手法を用いて漁村を調査し、ワークショップを開催して、住民の声を吸い上げる作業を行いました。
そして、現場の声を元にプロジェクトの規模や活動内容などの修正を行いました。魚の資源管理は、成果が見えるまでに時間がかかります。
活動資金の調達が困難な中、住民の組織化や代替収入源の確保に関わる取り組みが実施されるなど、日本での研修成果が着実にマラウイの地で活かされていることを確認できました。

ウタカ(カワスズメの仲間)と呼ばれる小型浮魚。
付加価値を付けるためローストした後、干されます。

日本ではあまり淡水魚を食べる機会がありませんが、私たちがマラウイに滞在している間は、ほぼ毎日淡水魚を食べていました。
素揚げやトマトソースで煮込んだものを、トウモロコシの粉を練って作ったシマという主食と共に頂きました。とても美味しく日本人の口に合う味でした。
ティラピアやナマズといった魚はマラウイで高級魚とされており、小型舟巻網で漁獲されるウシパ(淡水イワシ)やウタカ(カワスズメの仲間)という小型浮魚が、安価なタンパク質を一般大衆に供給する非常に重要な魚種となっています。

漁村の生活水準を向上させると共に、これからも美味しい魚を食べ続けられるよう、マラウイの帰国研修員が日本で学んだ成果を発揮して、漁業コミュニティの方々と共に漁業資源の管理を実践してくれることを期待しています。