【日系研修7】アルゼンチン、ブラジルで活躍する日系日本語教師たち −日本語を通じて日系アイデンティティも伝えたい−

2017年3月13日

アルゼンチンの鈴木さん(左)とブラジルの新吾さん(右)

 12月4日から約3ヵ月間、JICA横浜で実施された日系研修「日系継承教育(教師育成I)」コースにブラジルとアルゼンチンから7名の方が参加しました。
 
 研修では日本文化や日本語の指導法に関する講義、公立小学校やブラジル人学校など教育現場の視察を通して、日系人の日系アイデンティティの向上のため必要となる「ことば」「文化」「歴史」といった様々な側面から、日本語教育の手法について学びました。
 今回は7名の中からお二人にお話を聞きました。

アルゼンチン日系2世の 鈴木 実花さん(ウルグアイ出身)

 鈴木さんは現地の日本語教師養成講座に2年間通いましたが、教材が少なく学べる内容が限られていると感じ、養成講座で「日系継承教育(教師育成I)」という日系研修があるということを耳にし、ぜひ参加したい!と思ったそうです。「母も日本語教師をしていたこともあり、日本語を教えたいという気持ちはありました。ウルグアイからアルゼンチンへ行き、日本語に興味を持っている人が多いことを知って、彼らに日本語を教えたいと思ったことが日本語教師になったきっかけです」と鈴木さん。

 研修で印象に残ったことは、公立小学校の国際教室の見学と茶道や書道などの日本文化の講義です。国際教室で外国人の子どもたちに日本語を教えている様子は子どもたちにとってわかりやすい授業であり、自分の授業でも真似したいことがたくさんあったと鈴木さんは言います。

 アルゼンチンに帰国後、研修で学んだ日本文化をすぐに自分たちの生徒にも教えたい、また研修で学んだ指導技術などを他の先生に提案していくことで、日本語教育の質をより良くしていきたいと話してくれました。

ブラジル日系2世の 新吾 マリネッテ 實保子さん

 新吾さんは、知り合いから日本語を教えてほしいとお願いされたことがきっかけで日本語教師になりました。実際に始めてみると教えることが面白いと感じるようになり「自分の知っている日本語をもっと伝えたい」と思うようになったと言います。「ブラジル国内でも勉強会が開かれていますが、今の流行や情報を自分で見て体験し、自分の知識をブラッシュアップすることで、生徒たちに”生の日本語“を教えたいです」と新吾さん。また研修に参加したもう一つの理由として、自分の教育方法がマンネリ化しないために、様々な指導法について学びたかったからだと言います。
 
 「様々な講義の中でも教材作成についての講義は、もっと勉強したいと思うほどでした。講師の方が私たちが普段作成している教材に対して、さらに良い教材にするための具体的なアドバイスをしてくださり、とても勉強になりました。子どもたちにわかりやすい教材作成方法を学ぶことができたので、ブラジルで実践していきたいです」と話してくれました。

 ブラジルに帰国後はすぐに学校が始まるので、日本で耳にした新しい日本語や正しい日本語の発音を子どもたちに教えたい、また研修で学んだ様々な指導技術を自分のクラスで取り入れることはもちろん、同僚の先生方にも伝えたいと力強く語りました。

日系人としてのアイデンティティについて

アイデンティティについて話すお二人

 インタビューの中でお二人から「今まで自分たちは日系人にも関わらず、あまり自分たちのルーツについて深く考えたことがありませんでしたが、研修を通じて移住の歴史や移住した方々がどんな苦労をしてきたかを詳しく知ることができ、本当の意味で日系人の歴史とアイデンティティの大切さを知りました」というお話がありました。
 
 現地では移住について学ぶ機会が少ないため、今回の研修で学んだことを生徒たちにも伝えていきたいというお二人。地球の反対側では、日本語を通して言語だけではなく、日系人としてのアイデンティティについても伝えていこうと頑張る日系人の先生方がたくさん活躍されています。

日系研修員受け入れ事業とは

 中南米には177万人の日系人が暮らしています。彼らへの技術協力を通じ、移住先国の国造りに貢献することを目的に実施している研修が日系研修です。毎年約140名の日系研修員が農業、医療、保健福祉、教育といった分野の研修を日本で受けています。