【研修報告】課題別研修「漁業コミュニティ開発計画」カメルーンでの在外補完研修

2017年8月25日

クリビでの沿岸漁村の課題分析ワークショップに参加した漁業者たちと。15名の地元漁業者の代表者が参加(左:飯沼氏、後段右から2人目:藤井氏)

 JICA横浜国際センターは、水産分野の研修コース「漁業コミュニティ開発計画」を実施しています。アジア、大洋州、アフリカの国々から、水産行政官や漁業者代表が参加して、日本での漁村開発の取り組みを学び、各国の漁村開発事業に活かして頂くことを目指します。

 このプログラムでは、日本での研修を終えた帰国研修員(以下:研修員)を対象とした「在外補完研修」を毎年行っています。日本人コースリーダーや講師が自国に戻った研修員と一緒に漁村現場を訪問して、漁村での社会調査を行ったり、漁業者とのワークショップを開催するなど、日本での学びを自国の現場で活用する為の支援・指導を行っています。

バランバン湖とクリビにて研修

バランバン湖の漁村を訪問して、研修員が主体的にくん製加工を営む女性たちとの意見交換を進めた

バランバン湖では、木製の小さな小舟を用いて、網や釣りで漁を行っている

クリビ周辺の沿岸漁村の訪問では、研修員がリードしながら、地元漁業者とのインタビューを進めた

カメルーン水産局本局での研修成果発表会では、水産局長を含む幹部職員が出席して、今後の研修成果の活用について議論した

 2017年5月13日〜21日、アイ・シー・ネット株式会社の飯沼光生氏と、フジイ・インターナショナルの藤井資己氏の研修指導員2名がアフリカ中部のカメルーンに出向き、過去3年間にコースに参加した研修員6名を対象として、内陸部のバランバン湖と、沿岸部のクリビの2ヵ所で、共同で現場研修を行いました。

【バランバン湖】
 バランバン湖は水力発電用のダム湖で、湖の住民は小さなカヌーで、ティラピアやナマズの淡水魚を獲り、生計を立てています。漁村には公共電気がなく、冷蔵・冷凍ができないため、漁獲魚はくん製として加工・保存され、重要な動物タンパク源として地域の人たちに食されます。この湖で漁業を営む住民の生計をどのように改善していくのかを、具体的に現場で考えるため、研修員と6つの漁村を巡り、住民とのミニワークショップを開きました。住民たちの率直な意見を聞く中で、漁業活動での衛生面の問題、漁獲魚の加工・保存法の改善などの課題が分かりました。

【クリビ】
 クリビは沿岸漁業が盛んな街として知られます。クリビの漁業者は、船外機付きの小型ボートで沖に出向き、様々な海産魚を獲ります。クリビの漁村住民が抱える課題や今後の対処策を考えるため、漁業者とのワークショップを開催しました。地域の3漁村から20名近い漁業者が参加し、当研修で学んだ参加型手法を活かし、様々な話題を議論しました。その中で、漁業資材の更新の資金不足や、魚の流通・販路が限られていることなどの課題が分かりました。

 各研修員は、日本での研修で帰国後の漁村開発の取り組みをアクションプランにまとめています。今回の在外補完研修では、漁業者との議論を通じて、外からは見えにくい現場の課題やニーズを改めて捉えることができました。この現場課題を踏まえて、研修員はアクションプランを再整理し、カメルーン水産局長が参加する成果発表会で発表を行い、課題解決に向けた議論をすることができました。

 研修員のひとりファントン・ジロスさんは、帰国後に日本の研修で作成した、バランバン湖での適切な漁具漁法の導入・普及のためのアクションプランを提案し、小額ながらも漁村現場での活動費を水産局より確保していました。今回の補完研修を通じ、さらにコミュニティの様々なニーズを確かめられたことで、本活動費を使いこれから取り組む現場での具体的な活動内容が整理できたと話していました。
 
 
 このように、今回の在外補完研修の成果が、将来のカメルーンの漁村開発事業に反映され、様々な形で漁業者の生計向上に貢献することを期待しています。
                    
                       (記事制作協力)アイ・シー・ネット株式会社

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持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

SDGsとは、2015年9月の国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17の個別目標とより詳細な169項目の達成基準からなる。

本研修コースは、SDGsで定められた17の個別目標のうち目標14.「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」への貢献が期待される。