【教師海外研修】実践授業レポート from 神奈川県立鶴見総合高等学校(北見 朋子教諭)

2018年1月11日

実践授業とは…

 実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。

以下、北見先生のレポートです

授業実践の様子

【英語の授業で取り組む】
 10月下旬~11月下旬、コミュニケーション英語Ⅱの授業においてブラジルでの研修の体験を生かした実践授業を3クラス(計88名)で行いました。教科書はLesson 7 “A Microcosm in the Sea”という単元で、オーストラリアにある世界遺産グレートバリアリーフにおける環境問題について扱っています。今回の実践授業では、生徒にこの問題だけでなく、世界各国で起きている様々な事象を知り、「自分事」として捉えられるようになってほしいと思い、SDGs(Sustainable Development Goals※1)を軸に授業を構成しました。

<実践授業全体の流れ>
1時間目:My summer vacation. What is Brazil like?(夏休みの共有、ブラジルの紹介)
2時間目:What are SDGs?(SDGsの導入とランキング活動)
3~4時間目:Goal 14 Life Below Water(Part 1 グレートバリアリーフと珊瑚)
5~6時間目:Goal 6 Clean Water and Sanitation(Part 2 珊瑚の白化とその原因)
7~8時間目:Goal 7 Affordable and Clean Energy(Part 3 私達が出来ること)
9時間目:What is important for the world?(世界のために必要な目標と日本の課題)
10時間目:Goal 15 Life On Land(ブラジル・アマゾン熱帯雨林の森林破壊)
11時間目:What can we do for the world?(ブラジルの課題と私達に出来ること)

現地の学校で行ったアンケートの結果

フォトランゲージで使用した写真

【ブラジルの課題を考える】
 本単元の最終授業となる11月22日(水)は、前半ではブラジルという国が抱える問題にはどんなものがあるのか考え、結果を共有しました。ブラジルを訪れた際、現地の様々な学校に「ブラジルが抱える問題は何ですか?」というアンケートに協力してもらい、得られた結果をグラフにしてまとめました。生徒は外国に住む同世代の生徒の声に非常に興味を持っている様子で、パーセンテージから結果を予想したり、その内容が示されると意外な声が挙がることもありました。
 その後ブラジルで撮った写真や動画を示しながら、ブラジルの経済や貧困、教育などについて考えるフォトランゲージ(※2)を行いました。日本とは異なる街の風景、学校で撮られた写真などを見て、驚き、戸惑う生徒もいました。生徒たちは教師からの投げかけに対し、一生懸命考え、答えようとしていました。また、ブラジルでは多くの方々に母国について英語でインタビューを行いましたが、その一部を流すと生徒は関心を持って映像を見て、英語を聞き取ろうとしていました。このような「生の声」は生徒の意欲を大いにかきたて、時に教科書などの教材以上に効果的な学習を促すことが出来るのだと改めて実感しました。

【世界のためにできることを英語で表現】
 授業の後半では、既に個人で作成したSDGsのランキング(※3)を見直しながら、自分と世界との関わりについての英文ライティング活動を行いました。これまでの授業で学んだことやクラスメイトとの意見交換を通して新たな視点や考えを持ち、価値観の変容があった生徒が多くいました。他者との話し合いや学習を通して、自分がこれまで気に留めていなかったことが実はとても大切だと気づいたという声が挙がりました。その後、世界のためにこれから自分は何をすることが出来るかについて、生徒たちは知っている表現を用いながら自身の意見を英語にしていきました。最後に、グループでそれぞれの考えを発表し、共有を行いました。
 世界と自分は繋がっていて、自分は世界の一部なのだと少しでも感じてほしいと思いながら授業を行っていました。生徒はこちらが期待していた以上に、主体的に考え、他者と意見を交わし、真剣に取り組んでいました。今回授業で扱ったことは本研修で経験した様々な事柄の一部ですが、これで終わるのではなく、これからも継続的に国際理解教育を続け、生徒により広い視点を与えていけたらと思います。

                         神奈川県立鶴見総合高等学校 北見 朋子