【教師海外研修】実践授業レポート from 横浜市立松本中学校(池田 奈都希教諭)

2018年1月26日

実践授業とは…

 実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。

以下、池田先生のレポートです

【実践授業のテーマ】
 2016年、私は横浜市教育委員会が主催する海外研修派遣事業でオーストラリアに派遣されたことから、オーストラリアの学校との交流をきっかけにした“多文化共生”をテーマに授業を行いました。様々な文化や特徴を受け入れ、共生していくことの必要性や、他の国へ興味関心を持ち他国と比べることによって自分たちの国のことを、改めて考えさせる取組でした。
 2017年度は“多文化共生”をテーマにした学習が2年目ということもあり、開発途上国であるブラジルと自分の国とを比較しながら、自分たちの生活だけにとどめず、世界全体に視野を広げた授業実践になることを心がけました。


【実践授業全体の流れ】
(1)「多文化共生」について考えよう。
   ブラジルのことを紹介。ブラジルと日本の繋がりや、
   共通点・異なる点を紹介し、ブラジルを身近に感じてもらうとともに
   「開発途上国とは何か」「多文化共生とは何か」ということを考える。
(2)「豊かさ」について考えよう。
   世界の中の日本の位置づけを知り、豊かさについて考える。世界を相対的に捉えながら、
   日本のことを振り返って考える。
(3)「SDGs」を知り、私たちとの繋がりを考えよう。
   日本の社会問題と世界の社会問題の繋がりを考え、私たちができることを考える。
(4)「幸せ」ついて考えよう。(11月28日の実践授業)
   様々な角度から幸せについて考える。

【11月28日の授業展開】 
(1)これまでの授業で学んだ多文化共生、豊かさ、SDGsを思い出し、これらは今後どのように生活
   に関わっていくのかについて考える。
(2)日本とブラジルやオーストラリアの生徒のアンケート結果を比較して感じたことを共有する。
(3)3つのテーマについて意見交換する。(ワールドカフェ形式(※1)で様々な人と考えの共有)
   テーマ:①個人の幸せ②幸せでいられるのはなぜ?③世界全体の幸せについて考える。
(4)授業を振り返り、感じたことをまとめる。

【同じ世代のアンケート結果から】
 自分たちと同じ世代のブラジルとオーストラリアの生徒のアンケート結果は、生徒の関心が高く、双方の違いに驚いていました。特に、将来の夢についてのアンケート結果から、日本に住む自分たちは現実的な夢が多く、具体的な就きたい職業などの回答が多かった一方で、ブラジルは「世界から貧困をなくし、大きな牧場を買うことや村を作る」などの自由な発想、壮大な夢が多く、「それぞれを取り巻く環境が大きく関係しているのかな」などの声が挙がり、視野を広く持って捉えることができたようでした。

【自分の幸せと世界の幸せ】
 ワールドカフェ形式で行った話合い活動では、自分の身近な幸せから段階を追って、世界全体の幸せについての意見交換をしましたが、テーマが壮大なものになってしまい、“自分や世界の幸せのために私たちができることは何か”というところまで深めることはできませんでした。
 しかし、中には「平和な社会を作ることが世界の幸せで、自分の幸せが他人の幸せに繋がっていることを感じることができた」という生徒がいたり、「世界全体の幸せとなると難しい。平和だと思う国は、平和ではないと思われている国と比べて感じていることだと思うから、世界全体の幸せを見つけるのは難しい」と感じる生徒がいたり、生徒にとってこのようなトピックに触れ、多くの人の考えに触れることは新鮮に感じたようでした。
 
【全体を通して】
 今回4時間の実践授業を通して、きっかけがないとなかなか立ち止まって考える機会が少ないテーマについて、生徒が自分自身で考えていることにあらためて気がついたり他の人が考えていることを知ることができる実りある時間になったと感じています。今後も子どもたちとともに考え、多面的・俯瞰的に世界を捉え、様々な価値観や文化的な違いを認め合い、共生していく人材の育成に努めていきたいと思いました。
                            横浜市立松本中学校 池田 奈都希

※1「ワールドカフェ形式」とは、小グループで席替えをしながら議論を深める話し合いの手法。
  参考:下記リンク

                 ◆◇◆お知らせ◆◇◆

研修の最終報告会を2018年2月4日(日)「よこはま国際フォーラム2018」での分科会で行います!

 ※報告会は、「よこはま国際フォーラム2018」(2月3日・4日の2日間)のプログラムの一つ
  として開催されます。
  受講希望の方は、よこはま国際フォーラムへの事前参加申込および参加費が必要となります
 (当日申込もあり)。詳細は、下記関連リンクにてご確認ください