【教師海外研修】実践授業レポート from 横浜市立岡津小学校(塚本 靖則教諭)

2018年2月2日

実践授業とは…

 実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。

以下、塚本先生のレポートです

 12月7日(木)、担当している小学5年生の総合的な学習の時間で教師海外研修の実践授業を行いました。

【学習単元の構想について】
 ブラジルはたくさんの開発課題を抱えており、特に急速な都市の発展から都市環境の大気汚染や水質汚染などの問題への対策が課題となっています。訪問先のひとつであったサンパウロ州カサパーバ市にある小学校では環境教育に力を入れており、そこで私はその学校の子どもたちとともに地球のために木を植える活動に取り組みました。木を植え終わった後の子どもたちの満足そうな笑顔を見て、「この取り組みを日本の子どもたちに伝えたい」と思うようになりました。
 岡津小学校の学区には阿久和川が流れており、夏場には子どもたちの憩いの場であるまほろば(※1)で水遊びをする子どもたちの姿を見かけます。そこで身近な阿久和川と地球の反対側のサンパウロ市を流れるチエテ川を比較することをきっかけに、ブラジルで起こっている川の異臭・汚染問題について知り、ブラジルの子どもたちも環境保全のために取り組んでいることから、水でつながる地球に生きる一人としてわたしたちにできることはないか考え、実践するという学習単元を展開することにしました。

【実践授業までの取り組み】
 子どもたちにブラジルで出会った人々や訪れた場所を紹介する中で、サンパウロ州を流れるチエテ川の異臭・汚染問題について紹介をしました。チエテ川の問題を知った子どもたちは、自分たちに身近な阿久和川と比較して、「チエテ川はなぜ汚れてしまったのだろう」とその原因を考え、「近くに住んでいる人は大丈夫かな?」、「川の生きものも心配だな」などと思いを寄せ、そして「そのまま海に流れてしまったら大変!」と気付きました。
 次にJICAがサントス港で行っている汚染された水を浄化して海に流すオンダリンパ事業(※2)について紹介しました。写真を見せる中で子どもたちは、ブラジルの国旗といっしょに写っている日本の国旗とJICAのマークに気付きました。「日本がブラジルの水をきれいにするお手伝いをしているんだ」、「でも地球の反対側なのになぜ日本がやらなきゃいけないの?」、「でも海はつながっているから誰かが水をきれいにしなきゃ!」などと子どもたちは活発な議論を交わしました。そして環境問題を扱う本や新聞をさらに読んだり、地球や環境、エコのために実践していることがあるか家族にインタビューしたりと学習を進め、実践授業の本時を迎えました。

【実践授業の本時】
 実践授業では、今回の研修先として訪れたサンパウロ州カサパーバ市の小学生たちが環境保全のために木を植える活動を行ったことを写真と映像を使って紹介しました。そこで「地球のために私たちにできることはないか考えよう」と学習問題を提示しました。
 子どもたちは、それぞれが付箋に書いた地球のためにできることをグループ活動の中で発表し、意見交換をしました。子どもたちが出したアイデアは水や電気、資源についてなど様々で、グループごとに発表をし、意見を全体で共有しました。たくさんの意見が出ましたが、アイデアすべてに取り組むのは大変です。子どもたちだけでは現実的に難しいものもありました。そこでカサパーバ市の市長である、フェルナンド・ジーニスさんが子どもたちに向けてお話しをしたビデオを見ました。その話には「自分たちにできることから始めよう」というメッセージが込められていました。またカサパーバの小学校の子どもたちがプレゼントしてくれた魚の形をした手紙を受け取った子どもたちはとても喜び、「自分たちにできることから始めよう」と意気込みました。
 そして自分たちが実践することはもちろん、家族や友だち、地域の人などに伝えることも同じく大切です。岡津小学校では毎年一月に学習の発表の場である岡津フェスティバルがあります。「岡フェスでみんなに世界のことを伝えたい!」とたくさんの子どもたちから要望があり、岡津フェスティバルに向けて学習を進めました。

【実践授業を終えて】
 今、子どもたちの意識は世界に向いています。子どもたちの意識が世界に向くことができたのも、この教師海外研修に参加してブラジルに行くことができたからであり、なによりも支えていただいたJICAや運営スタッフのみなさんをはじめ、ブラジルで出会った方々のおかげだと思っています。
 貴重な体験をさせていただき、また子どもたちに深い学びを与えてくれたことに感謝しています。ブラジルの子どもたちとの交流はまだ続いています。この交流も子どもたちの意識も、ともに持続可能にしていきたいと考えています。

                              横浜市立岡津小学校 塚本 靖則

※1まほろばの川づくりモデル事業:この事業は川沿いに病院や老人ホームなどが集積する重要地域を流れる阿久和川を身障者や高齢者を含む「すべての人にやさしい川」にすることを目指して計画された河川環境整備です。(出典:下記リンク)

※2オンダリンパ事業:世界でも有数の工業地帯クバトン、世界的貿易港であるサントス港そして、162.5kmの海岸線に82ものビーチがあるリゾート地を抱えるバイシャダサンチスタ9市の下水道整備プロジェクト。                
             

              ◆◇◆お知らせ◆◇◆

研修の最終報告会を2018年2月4日(日)「よこはま国際フォーラム2018」での分科会で行います!

 ※報告会は、「よこはま国際フォーラム2018」(2月3日・4日の2日間)のプログラムの一つ
  として開催されます。
  受講希望の方は、よこはま国際フォーラムへの参加費が必要となります(当日申込もあり)。
  詳細は、下記関連リンクにてご確認ください 。