【研修報告】課題別研修「漁業コミュニティ開発計画」のスリランカでの在外補完研修

2018年4月27日

【画像】 JICA横浜国際センターでは、「漁業コミュニティ開発計画」という水産分野の研修コースを実施しています。アジア、大洋州、アフリカの国々から、水産行政官や漁業者代表が参加して、日本での漁村開発の取り組みを学び、各国の漁村開発事業に活かすことを目指します。

 この研修は、日本での研修だけでなく、途上国の現場での「在外補完研修」も行っています。「在外補完研修」は、研修指導者が帰国した研修員の国に出向き、一緒に漁村を訪問して社会調査を実施したり、漁業者のワークショップを開催したりし、研修員が日本で学んだことを実際の現場で活用できるよう、支援・指導を行うものです。

 今年1月7日~23日、南アジアのスリランカに本研修のコースリーダーである飯沼光生氏とリソースパーソンである寺島浩晃氏(アイ・シー・ネット株式会社 コンサルタント)が出向き、過去5年間の研修員8名を対象として、在外補完研修を行いました。北西部のチラウ県と、南部のマータラ県を対象地として、研修員と共同で現場研修を行いました。

北西部のチラウ県と南部のマータラ県にて研修

チラウ湖での干し魚作り。獲れた小魚を塩漬けして、浜で天日干しにします

チラウ湖漁民とのワークショップ。漁民たちが参加して、湖の漁業の問題について話し合いました

マータラ県でのカツオくん製作り。地元で獲れるカツオで、漁村の女性たちがくん製作りを行います

マータラ県の漁村女性との現場調査。漁村の女性たちと話し合い、カツオくん製作りについて問題を調べました

【チラウ県】
 チラウ県には、インド洋に面した大きな汽水湖、チラウ湖があります。この湖周辺の住民は小魚やエビなどを獲り、獲った魚で干し魚を作り、生計を立てています。湖で獲れる水産物は、この地域の大切なタンパク源として食されています。
 そこで、チラウ湖で漁業を営む住民に集まってもらい、ワークショップを開いて、彼らが抱える問題を話し合いました。住民たちと話し合う中で、湖の漁獲量が減り気味で、漁業活動の調整が必要なこと、塩干魚の品質が安定しないので、加工作業の見直しが必要なことなどの問題が見えてきました。


【マータラ県】
 マータラ県は、カツオ漁業の盛んな場所として知られています。漁獲されるカツオは全国に運ばれて、広く食されています。また、獲れたカツオはくん製にされ、くん製魚としても流通しています。このカツオくん製作りは、漁村の女性たちが現金を得る大事な仕事です。
 そこで、漁村の女性たちが参加する社会調査やワークショップを行って、研修員はくん製作りの問題について話し合いました。その中で、材料のカツオが安定して入手できないこと、雨が多い時期はくん製作りができないこと、国内産のくん製魚の値段があまり高くないことなどの問題が出てきました。
 日本での研修中に、研修員は帰国後の漁村開発の取り組みについてアクションプランン(帰国後の取組の計画)を作成していますが、この現場での調査で見つけた課題から、研修員は各自のアクションプランを見直してみました。そして、在外補完研修の最後に行われた水産省での成果発表セミナーで、研修員は見直したプランとこれからの取り組みについて発表しました。



 今回の在外補完研修の成果が、将来のスリランカの漁村開発に反映され、様々な形で漁業者の生計向上に貢献することを期待しています。


          (記事制作協力)アイ・シー・ネット株式会社

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持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

SDGsとは、2015年9月の国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17の個別目標とより詳細な169項目の達成基準からなる。

本研修コースは、SDGsで定められた17の個別目標のうち目標14.「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」への貢献が期待される。