【研修報告】帰国研修員の今-インクルーシブ教育への取り組み-

2018年5月11日

毎週、金曜日には、その一週間で学んだことを振り返り、ディスカッションを行いました

国際障害者デーを記念し、研修参加者が持ち寄った各国の子どもたちの絵画を展示しました

 JICA横浜国際センターでは、「ともに生きる社会かながわ」の実現の取り組みのもと、課題別研修「インクルーシブ教育/特別支援教育の推進」(2014年度~2016年度)、「障がいのある子どもへの教育制度~特別支援教育を活かしたインクルーシブ教育システムの構築」(2017年度より3カ年の予定)を実施しています。これまでに、29カ国から教育行政官、研究者、教員など61人が参加しました。
 本研修は、講義や視察を通して日本の施策や実践について学ぶ中で、研修参加者がインクルーシブ教育や特別支援教育に対する理解を深め、各所属先において障害のある子どもたちの教育を充実させる知識と経験を身につけることを目標としています。研修期間は5週間、第1週目にはインクルーシブ教育/特別支援教育の世界的な潮流、日本の制度を概観します。第2~4週目には、4つのテーマ(障害の早期発見・発達支援、学校教育、教師教育、社会参加・就労)に沿った講義・視察を設定しています。そして最終週には、各自が帰国後、実施する活動について計画を作成します。

 研修の主な舞台である神奈川県では、国立特別支援教育総合研究所が障害のある子どもの教育の充実・発展に努め、インクルーシブ教育システムを推進しています。JICA横浜国際センターの立地する横浜市は、特別支援教育総合センターを擁するほか、「横浜版学習指導要領」を策定しており、当該分野において先駆的な取り組みを行っています。また、横浜国立大学が教員養成に注力しています。研修4週目に訪れる大阪では、40年以上にわたり、障害のある子どももない子どもも同じ教室で学ぶ「ともに学ぶ、ともに生きる教育」が展開されています。様々な取り組みの視察、実践者による講義を通じ、研修参加者は、目指したい教育のあり方を見つけて帰国します。

研修参加者からの報告

帰国後、実施したい活動について計画を作成しました

 各年度の研修参加者から届いた報告を紹介します。

●週に3日、1日あたり3時間だけですが、通常学級に手話通訳者を配置するというプログラムを実施しました。聴覚障害のある児童は通常学級で学べることをとても喜び、周囲の子どもたちも手話を覚えてコミュニケーションがとれるようになりました。(2014年度参加者・ナウル)

●日本の大学のカリキュラムを参考に、教員養成課程に視覚障害教育の講座を開講しました。今年9月には、その講座を履修した最初の卒業生が誕生します。彼らは通常学校に配属され、視覚障害のある子どもの学習を支援することが期待されています。(2015年度参加者・スワジランド)

●日本で得た知識や経験を活かして、いろいろな関係者と議論を重ねながら、インクルーシブ教育政策の策定に携わっています。まだ、あちこちにたくさんの課題はありますが、頑張っています。(2016年度参加者・レソト)

●勤務先の病院でリハビリを受けている自閉症の子どもの多くは、地域の学校に通うことができていません。帰国後、近隣の小学校に働きかけを行い、まずは1人の子どもを受け入れることを学校側が承諾しました。現在、新学期に向け、準備をしています。病院側でも医師や看護師、言語聴覚士、理学療法士などがチームを作り、継続的に支援を行います。(2017年度参加者・タイ)

 横浜で各自の胸に蒔かれたインクルーシブ教育の種が、世界各国で芽を出し、花開こうとしています。

                   (記事制作協力)コーエイリサーチ&コンサルティング

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持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

SDGsとは、2015年9月の国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17の個別目標とより詳細な169項目の達成基準からなる。

本研修コースは、SDGsで定められた17の個別目標のうち目標4.「すべての人にインクルーシブかつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」への貢献が期待される。