【研修報告】国別研修マレーシア「LEP2.0 教育省特別教育人材育成」(第1年次) 

2018年5月16日

 JICA横浜国際センターでは、「ともに生きる社会かながわ」の実現の取り組みのもと、国別研修マレーシア「LEP2.0 教育省特別教育人材育成」(第1次)を実施しました。

 マレーシアでは、特別支援教育が十分に普及しておらず、障害児の就学率が低いレベルにとどまっています。その原因の1つとして、障害児教育の専門性を持つ人材が限られていることが挙げられます。そのため、本研修プログラムは(1)「障害を抱えた児童の支援ができる専門人材を増やすこと」、そして(2)「特別支援を必要とする本国の児童に対して、研修参加者が相応しい最新のスキルを教えられるようになること」の2つを目標として実施されました。

 本研修に参加したマレーシア教育省特別支援教育担当者、特別支援学校教員など計10名は、専門家・自治体職員による講義や、特別支援教育関連施設、障害児のデイケア、就労支援の現場、障害当事者や保護者の活動等の視察を通して、日本の特別支援教育制度・インクルーシブ教育システムの推進状況や障害児に対する公的サービス、社会参加の状況等について学びを深めました。

研修中の様子(1):国立特別支援教育総合研究所

【画像】 2月26日から3月2日までの5日間、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(NISE)において講義を受けました。講義のテーマは、肢体不自由や自閉症、重度・重複障害児など障害種別に応じた指導法の他、「通常学級における交流及び共同学習」など多岐にわたり、毎回講義にて講師と研修員の間で活発な意見交換が行われました。研修員からは普通学校・特別支援学校間の交流および共同学習が進まない理由について質問があり、講師より「障害に対する教員の理解不足」や「障害児の保護者が子どもを普通学校に通わせることに積極的でない現状があること」等が要因として挙げられました。

研修中の様子(2):神奈川県立金沢養護学校

【画像】 3月2日には、神奈川県立金沢養護学校を訪問し、給食の様子や障害の程度やニーズに応じた指導、自立活動の授業、下校時のバスによる送迎の様子など日本の特別支援教育の実践の現場を視察しました。本研修では、この他にも3校の特別支援学校と、通常学級で障害をもつ児童を受け入れている小学校を訪れました。研修員は一様に日本の教員の熱心さに驚いていたことが印象的でした。

研修中の様子(3):協力隊OBとの交流

【画像】 マレーシアには特別支援教育、障害者支援の分野で多くの青年海外協力隊、シニア海外ボランティアが派遣されており、本研修の研修員の多くはこうしたボランティアの受入れ先で勤務している行政官・教員となります。3月3日にはこうした協力隊OBとの交流会を開催しました。OBの方々の派遣中の活動や、帰国後の日本国内の同分野での活躍の様子を共有し、互いの学びとすると同時に旧交を温めました。
 プログラム最終日には、これらの講義や視察を通して得た知見を参考として、研修員がそれぞれの職場で自国に適用していくために策定した具体的なアクションプランを発表し、研修を修了しました。研修員は「これからさらにアクションプランに磨きをかけ、研修員全員で協力しながら自国での行動に移したい」と話し、意気込んでいる様子でした。今回の研修成果が、マレーシアにおける特別支援教育人材の育成に貢献し、ひいては障害児の就学率向上へとつながることを期待しています。

【画像】研修コース名:国別研修マレーシア「LEP2.0 教育省特別教育人材育成」(第1年次)
研修期間:2018年2月18日~2018年3月17日
研修員:マレーシア教育省特別支援教育担当者、特別支援学校教員(計10名)

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持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

SDGsとは、2015年9月の国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17の個別目標とより詳細な169項目の達成基準からなる。

本研修コースは、SDGsで定められた17の個別目標のうち目標4.「すべての人にインクルーシブかつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」への貢献が期待される。