【日系研修1】帰国研修員からの活動報告ー工場における5S活動の実践(前編)ー

2018年7月10日

島袋さん(改善活動を「見える化」ボードの前にて)

2017年度日系研修「改善と5S(1)」コースに参加したボリビアの島袋誠(しまぶくろ・まこと)さんから、帰国後の活動報告が届きました。
島袋さんは、ボリビアの沖縄移住地の小麦粉・パスタ製造工場の工場長を務めています。研修後たった1年間に様々な5S活動を工場で実践し、生産性向上に大きく貢献しています。
日系研修で初めて日本を訪れ、技術面だけでなく、日系人として日本に関する知識を深め、日々の生活で触れる日本人の親切さ、協調性、日本の最新技術等に強く感銘を受けたという島袋さん。2回に渡り、帰国直後からの実践の様子をお伝えします。

5S実践の第一歩

スペアパーツ保管棚の「整理」「整頓」(上:活動前、下:活動後)

(2017年6月26日)
帰国後、5S活動実施の第一歩として、機械用スペアパーツを保管している棚の「整理」「整頓」を行いました。

これは、5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)のはじめの2つです。この活動はとても小規模でシンプルなものでしたが、「整理」「整頓」を通してスペースを確保することは、空きスペースの活用に繋がるということを、従業員に対して実証することできました。

従業員を巻き込んだ「整理」活動スタート

エアコンプレッサー室の「整理(上:活動前、下:活動後)

(2017年7月3日)
小麦粉工場とパスタ工場の従業員向けに、5S活動の研修会を行いました。ここでは、従業員が5S活動実施の目標を明確にした上で、工場内のどこでどんな5S活動を展開できるかアイディアを持つことを目的に、まず5Sの基礎理論と5SそれぞれのSの一般的な実践事例について説明しました。
この研修において、対象の従業員と継続的に5S活動を実践していくことを約束し、全体の合意としました。

研修後、まずは機械整備室とエアコンプレッサー室において、5Sの1つ目「整理」の実施が始まりました。「整理」実施前は作業に必要な電気機器を探し出すのに時間と労力をかけていた従業員達でしたが5S活動で棚の整理を行った結果、時間をかけずに必要な機器を利用できるようになりました。

従業員向けの研修を重ねていく中で、下記のように職場における5S活動のルールができてきました。
●ルール(1):作業机を使用した後は、椅子を机の下に戻すこと。
●ルール(2):次のシフトに作業を引き継ぐ際、作業机やパソコン、その他周辺機器が整理され、濡れ布巾で拭いて清潔な状態にしておくこと。

この活動で私が期待していたことは、「整理」を実践することで従業員自らが次のSである「整頓」の重要性に気付いてくれることでした。

(2017年7月10日)
最初の研修から1週間、機械整備室とエアコンプレッサー室で実施した「整理」活動の振り返りを行いました。従業員が徐々に5S活動によって得られる利点に気付き始めてきたという手応えを感じました。

(2017年7月19日)
従業員達は、「整理」活動を通して次のSである「整頓」の重要性に気付いてきていました。このタイミングで「整頓」に関する研修会を行い、3つ目の5S活動のルールを設定しました。
●ルール(3):清掃用具を使用したら、用具入れの適切な場所に戻すこと。

「整理」活動から、「整頓」活動へ

デスクの「整理」「整頓」(上:活動前、下:活動後)

「整頓」活動は、『CADA COSA EN SU LUGAR Y CADA LUGAR PARA CADA COSA(一つの物は、一つの場所へ)』をスローガンに挙げて実施しました。

「整頓」活動の一つとして、オフィスのデスクの整頓を行いました。まずデスクを「整理」することから始め、その上でそれぞれの物の名前を書いたラベルを貼り付けて、配置されるべき場所を明確にしました。
また、機械整備室では全ての工具が棚に整理され、それぞれの置き場所にラベルが貼り付けられ、これらの活動を機に、5S活動は工場の様々な場所で実践されていきました。

パスタ工場の「整理」「整頓」(左:活動前、右:活動後)

工場内で最後に5S活動が実施されたのは、パスタ梱包場です。
その他の作業場での5S活動の成果を見たパスタ梱包場の従業員からの声掛けにより、最終的に実施が決定されました。
機械整備室とエアコンプレッサー室での5S活動を見た小麦粉工場、パスタ工場、パスタ梱包場の従業員が、彼らの作業場でも5Sを導入したいと私に申し出てきたのです。5S活動を見ながら、工場で本当に必要なものを選び抜き、整理・整頓し、清潔に保つことの意義に気付いたのだと思います。
これらの工場で5S活動の最初の2つ「整理」「整頓」が実施された後、4つ目の5S活動のルールができました。
●ルール(4):工場内の黄色のラインを踏まないこと。万が一踏んでしまった場合、濡れ布巾で拭いて綺麗にすること。

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約1カ月間で、5Sの最初の2つである「整理」「整頓」活動を多くの従業員を巻き込んで実践に移した島袋さんの行動力・リーダーシップには驚きです。3つ目、4つ目、5つ目である「清掃」「清潔」「しつけ」の活動は、どのように進んでいったのでしょうか?
後編ではこの3点に焦点を当てて、現在に至るまでの島袋さんの活躍ぶりをご紹介します。

日系研修員受け入れ事業とは

中南米には213万人の日系人が暮らしています。彼らへの技術協力を通じ、移住先国の国造りに貢献することを目的に実施している研修が日系研修です。毎年約140名の日系研修員が農業、医療、保健福祉、教育といった分野の研修を日本で受けています。