【日系研修6】日系社会と食への想い

2019年3月28日

風間リサさん(左)芹田マラさん(右)
前職の会計業務の経験を活かし、イベントでの活動に加え、婦人部社会文化部長として計画・予算管理の職務を担っている風間 リサさん。
日系人の旦那様を持ち、長きに渡り同協会婦人部で活動され、婦人部副会長としてリーダーシップを発揮されながら各イベントで活躍されている芹田 マラさん。

2019年1月より約1ヶ月間、(公財)海外日系人協会により日系研修「食を通じた日系団体婦人部活性化」コースがJICA横浜センターにて実施され、ブラジル、ボリビア、キューバ、アルゼンチンから8名の研修員が参加しました。

中南米日系社会の発展には、日本人会、農協、日本語学校等、日本人移住者が抱える様々な課題解決のために組織された団体が寄与してきました。これらの組織を陰で支えてきたのが各組織の婦人部の方々です。日系団体婦人部の重要な役割のひとつは様々なイベントにおける日本料理の提供であり、本研修では食を通じた地域活性化に取り組む地域団体や女性グループの視察を通し、地域社会の活性化及び課題解決手法を習得しました。また和食という日本文化継承を通して日系団体や地域社会の活性化に貢献するための手法を学びました。

今回はそんな日系社会の中心で活躍されている研修員の方々の中から、ブラジルのサルバドール日伯文化協会(ANISA)より参加されたお二人にお話を伺いました。

研修を終えて

小笠原講師:2016年6月から2018年6月までブラジルのモジダスクルーゼス市で日系社会シニア海外協力隊としてご活躍され、主に市内を巡回しながら「和食の講習会」を実施し日本文化普及、和食レシピの開発にご尽力されました。

新たな婦人部活動のアイデアや日本食のレシピを求め、研修へ臨んだお二人。「多くの実習を通して日本の伝統的な味から家庭料理まで、食材の切り方、だしの作り方、料理の出し方を学び、ブラジルの食材を用いた新たな日本食のレシピを学ぶことができました。また料理だけではなく日本の婦人部の活動内容の視察や折り紙・水引・風呂敷教室の講座など日本文化にも触れ、婦人部での活動のみならず、様々な場面で役に立つ情報を多く収集することができました。年齢に関わらずこの研修へ参加することを周りに勧めたいです。研修期間中は、講師の方々が熱心に料理を教えている姿、共に参加した他国の日系研修員たちが一生懸命学んでいる姿を見て、とても感動し、胸いっぱいの幸せに包まれました」と語ってくれました。

研修参加への想い

【画像】サンパウロで面接を受けた際に自身が初めての非日系人の参加者になることを知ったと芹田さんは言います。「ブラジルと日本は大きく違います。ここでは周りと同じように扱われますが、日系社会では少し自分が小さいように感じることがあります。しかし面接では自分の活動を評価してくださり、心配なく研修に臨むことができました。日系人の妻としての自覚と責任を持ち過ごしてきた日々や考え方は間違いではなかったと再確認しました」と合格した時のことを嬉しそうに話してくれました。

帰国後の計画

2人の様子からは今ある課題への不安ではなく、今後の活動に向けた前向きな姿勢が感じられました。「カレーのルーなど輸入品は高く、人気はありますが予算の問題で作る頻度は限られます。しかし今回の研修でルーの作り方をはじめ、私たちの国で安価に手に入る代替材料とその活用法を知り、同じ予算でも提供できる品目は増えました。プロセッサーを使って作る高齢者向けの食事などは今までアイデアに無かったです。老若男女問わず気にいるレシピでもあり、婦人部のメニューに取り入れていきます」と風間さんは帰国後のプランを教えてくれました。「気に入ったメニューはハヤシライスと麻婆豆腐!」と芹田さんは言い、続けて「作った料理を食べて幸せそうな顔を見ることができた時に幸せを感じます。料理には人を引き付ける力があります」と彼女の食に対する思いを語ってくださいました。
帰国後は「協会の会長や婦人会会長と一緒に、子供や孫に日本文化を継承することの大切さを伝える親のための講座を開きたいです。沢山の障害があることはわかっていますが、上司の許可が得られるよう頑張りたいです」と真剣な面持ちを見せてくれました。また最後には「非日系の奥様たちと日系青年たちを招待して、日本文化を継承するためのワークショップを開催したいです。研修で学んだうどんと天ぷら教室などもいいかもしれません。ビンゴなど楽しいイベントなども織り交ぜながら!」と次々にアイデアを出していました。

2人からのメッセージ

【画像】日系社会へ貢献してくれている多くの非日系の方々がいます。共に活動する中で「オープンマインド、考え方を共有する」ことが大事です。
JICAのおかげで自身が信じていたものは時代遅れではないと確信しました。今後の人生で今回の素晴らしい経験を語り続けていきたい。

2人へのインタビューを通して、日系社会とその文化継承に対してどれほどの想いを持ち活動しているかを感じることができました。異なる部門で活動するお二人ですが、休む間もなく昨年より始めた取組みで大変好評だった新年会の開催を帰国後に控えています。2018年7月より同協会へ派遣されている料理分野のJICA日系社会シニアボランティアを含む、彼女たちの今後のコラボレーションに期待したいと思います。

日系研修受入事業とは

中南米には213万人の日系人が暮らしています。彼らへの技術協力を通じ、移住先国の国造りに貢献することを目的に実施している研修が日系研修です。毎年約140名の日系研修員が農業、医療、保健福祉、教育といった分野の研修を日本で受けています。