【研修報告】課題別研修「E-WASTE対策」(第1年次)実施報告

2019年5月29日

JICA横浜は、2019年3月から4月にかけて3週間に渡り、課題別研修「E-WASTE対策」(第1年次)を実施しました。

E-WASTE(冷蔵庫やエアコン、PCやスマートフォン等の廃電気電子機器)は、順調な経済成長が進む途上国における新たな廃棄物管理に係る問題として、その対策が急務となっています。一方で、金や銀等の希少金属を含む、多くの再生利用可能な資源が含まれていることから、その適切な回収・利用を図ることで、循環型社会の実現に大きく寄与することも期待されています。

本研修では、6カ国(マレーシア、ブラジル、インドネシア、ベトナム、エジプト、セントルシア)でE-waste対策に取り組む公共/民間からの12名の参加のもとで、日本のみならず、既に法制度及び政策的な枠組みを構築し、E-waste対策を進めている台湾や香港、欧州の取り組みについても、幅広く理解を進めるための学習を行いながら、それぞれの国・地域におけるE-waste対策に係る議論を深めました。

特に本研修では、対話型(Interactive)の研修を一貫して実施することを基本方針の一つとして掲げ、研修コーディネーターにE-waste対策に知見・経験を豊富に有するコンサルタントの専門家を配置し、プログラム全体を通じて、各講義のレビュー及び各国・地域の状況を踏まえた対策の考え方について継続的に議論・意見交換する機会を設けました。その結果、各国のE-wasteに関する問題意識及び認識は格段に向上し、最終日に発表されたアクション・プランは、それぞれの国がその状況・特徴を踏まえた独自性を有する、非常に質の高いものとなりました。今回の参加者が研修で得た知識や経験を、アクション・プランの具体的な遂行を通じて各国の課題解決に役立てることを強く期待しています。

研修の様子(対話型研修)

【画像】研修の前半に行われた講義では、日本のE-waste対策について、政策・法制度の構築から、回収システム、リサイクル技術、資金メカニズム、各種情報管理に至るまで、広範かつ細部に渡る包括的なメカニズムを、中央政府・自治体から民間企業に至るまで、実際のE-waste管理メカニズムの構築・運営に携わった方々の「現場の声」を通じて、参加者に理解頂きました。各講義においても講師の方々の同意を得て、講義中からの質問を積極的に受け付ける「対話型」を実践することで、非常に活発な意見交換が行われました。

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現場視察の様子

【画像】研修の前半に実施された講義を踏まえ、後半にはE-wasteの回収・リサイクルを実施している現場を訪問しました。参加者の関心が高く、質問がE-waste対策の細部に渡りましたが、丁寧な説明と回答をそれぞれの訪問場所より頂き、研修参加者から非常に感謝されました。

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アクション・プランの発表

研修の最終日には、参加各国より「E-wasteの適正管理対策」に向けたアクション・プランの発表会が行われました。それぞれの国の状況及び特徴を踏まえたユニークかつ質の高いアクション・プランが発表され、参加者間での質疑応答や議論も活発に行われたため、予定時間を大幅に超えるものとなりました。

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研修全体が対話・コミュニケーションを重視して行われたこともあり、研修に参加した全員の絆が非常に深まり、それぞれが各国で取り組みを具体的に進めていくことを約束してくれました。
全ての参加者の、母国での活躍を楽しみにしています。

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(記事制作協力)株式会社 エックス都市研究所

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持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

SDGsとは、2015年9月の国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17の個別目標とより詳細な169項目の達成基準からなる。

本研修コースは、SDGsで定められた17の個別目標のうち、目標 11. 「都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」および目標 12. 「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」への貢献が期待される。