【研修報告】ベトナムの地方での観光振興に関する研修を実施しました

2019年7月17日

2019年3月3日~3月20日にかけて、2018年度青年研修ベトナム「地域における観光振興」コースを実施しました。今回の研修には、ベトナム国内の各地方(省)で、官民それぞれの立場で地域観光振興に携わる若手人材15名が参加しました。

古民家なかやでの講義の様子

7%前後の経済成長が続くベトナムでは、観光セクターでも、宿泊施設や交通インフラなどの整備とともに順調に発展が進み、インバウンド観光客数が2015年の800万人から2018年には1500万人へと大きく伸長しています。
ベトナム観光は、まだ大都市や有名観光地に集中しています。地域観光産業の振興は都市と地方の格差緩和のためにも重要な課題と捉えられているため、多様な自然と文化観光資源を有する日本の地域(山梨)、都市型観光地の神奈川の両県を巡りながら、各研修員が出身地域での課題解決を考え、実行するために、本研修は実施されました。

清里・ヤマネ学校

萌木の村での講義後

コースの前半は主にJICA横浜センターで、長年ベトナムで観光産業支援に携わった山梨県立大学・安藤講師をはじめ、産官学の様々な立場で観光産業に関わっている方々をお招きし、講義を頂きました。
後半は山梨県清里を拠点に、清里や周辺地域で様々な業態を営みながら観光に関わってきた公益財団法人キープ協会、株式会社萌木の村の方々から貴重なお話を伺いました。また、自然資源の大切さを、教育要素も含めたストーリーとして組み立てて伝えるエコツーリズムによって観光資源を持続的に活用する事例として、キープ協会が主催する「ヤマネ学校」のプログラムも体験しました。

今回実際に研修に同行し、研修員の方々と時間を共にしてみると、それぞれの研修員が置かれている環境や立場、さらに一人一人の個性により視点や考え方は多様でしたが、一人一人が地域観光をどのように基幹産業として発展させていくべきかを真剣に考えていることを発言や発表から窺い知ることができました。
また、講師の考えに対する疑問も含め、感じたことを躊躇なく率直に質問や意見として発するとともに、熱のこもった質疑応答が多く、非常に有意義で質の高い研修になりました。

研修終了後は、研修員自ら主催する懇親会も頻繁に開催され、筆者も研修監理員のお二人とともに何度か誘って頂きました。ベトナムではビールも人気がありますが、旧ソ連の影響でウォッカもポピュラーなようです。現地から持ち込んできたボトルを開けては、のどが熱くなるほど強いストレートを男女問わず平気で飲んでいて、最後まで付き合うのがちょっと大変な旅でした。車座での雑談や居酒屋で盛り上がる様子は、日本の若手社会人にそっくりで、妙なところに文化的な近さを感じるとともに、将来の時間と夢の豊富さをうらやましく感じました。

体験の共有は人同士の結びつきを深める良いきっかけになるものです。今回の研修でも研修員同士のつながりが、将来の貴重な財産になることを期待しています。同時に、各研修員が地元に持ち帰る本研修の成果が一時的なものでなく持続的に、かつ研修員本人にとどまらず組織として活用され、ベトナム地域観光の発展に貢献してゆくことを願っております。

                                       作成者:株式会社JTB 林健太郎