神奈川県教育委員会 国際教育研修講座レポート

2019年9月4日

8月23日(金)にJICA横浜にて神奈川県教育委員会主催「国際教育研修講座」が開催されました。「国際教育研修講座」は、神奈川県の小・中・高等学校・特別支援学校の教員を対象とした研修で、講義・演習を通して、国際教育の現状及び取組についての理解を深めることを目的として実施されており、JICA横浜も研修に協力をしています。

国際協力での体験を通した国際教育

中野職員による講義の様子

研修ではまず、「JICA横浜事業説明及び開発教育支援事業について」と題してJICA横浜市民参加協力課中野貴之職員よりJICA事業説明及び開発教育支援事業についての講義を行いました。講義では、開発途上国の現状、JICAが行う国際協力、そしてJICAが行う国際理解教育/開発教育について解説しました。自身のJICA海外協力隊での経験をもとにした「違いを持った他者とどう生きていくか」というワークショップを通して、参加者は国際理解教育/開発教育の重要性を確認した様子でした。
参加者からは「国際協力と聞くと、つい自分とはずいぶん程遠いイメージを抱いていましたが、JICA海外協力隊をはじめとして、市民と世界の国々とが身近につながることのできる機会が数多く設けられていることを知って驚きました」といった感想がありました。

教師海外研修参加報告と授業実践

櫻木主事の授業実践報告の様子

次に、神奈川県教育委員会生涯学習課 櫻木萌季 主事より国際教育の授業実践の報告がありました。櫻木主事は昨年度、JICA横浜教師海外研修に参加されました。今回、昨年度の研修後に、当時所属されていた神奈川県横須賀明光高等学校の学校設定科目である「国際関係」で高校3年生を対象に実施した授業をご紹介頂きました。
授業は「言語の違い」「文化・習慣の違い」によって感じる困難さを疑似体験することで、多文化共生に欠かせないものは何か、考えてほしいという思いがあるとお話されました。参加者からは、「マイノリティの気持ちを体験することで、日本にいる外国につながりのある方々への支援の大切さを感じました」、「宗教、文化、価値観など、それぞれの当たり前が違うので、お互いに理解し合おうという姿勢の大切さに気付かされる授業でした」といった感想がありました。

授業で活用できる国際教育・開発教育教材の紹介と体験ワークショップ

アクティブラーニング・参加型学習についての講義の様子

研修後のワークショップの様子

次に、JICA横浜開発教育教員向け研修運営事務局である株式会社メディア総合研究所 福田訓久 氏より、「主体的・対話的・深い学び」実践のためのファシリテーションについての講義がありました。アクティブラーニングや参加型学習の実践では、教員自身がファシリテーターとなり、安心・安全な場をつくることや参加者がテーマをつかむことのできる導入や動機付けを心がけることが大切であるとお話頂きました。講義の中では、参加者が実際に異文化理解について考えるカードゲーム『バーンガ』を使いワークショップも行いました。
参加者からは、「参加型であることの効果を改めて感じました。どんどん取り入れるべきと感じました」「生徒もファシリテーターも、ともに安心安全な場を作り、楽しみながら行えたらよいと思いました」といった感想があり、講義を通して多くの気づきを得た様でした。

以上の内容で、国際教育研修講座は終了しましたが、その後、ご希望の方のみにご参加いただき、認定NPO法人開発教育協会(DEAR)が作成した、多文化共生と人間尊重を考えるカードゲーム『レヌカの学び』、また、JICA作成の国際理解教育実践資料集から、『負の連鎖』を考えるワークショップも行いました。

今回の研修を通して

今回の研修に参加した先生方は、どのようにファシリテーターとなりアクティブラーニング・参加型学習を取り入れていくか、児童・生徒がどのように多文化共生への理解を深めていけるのか、といったことを今回の研修を通して考えた様です。また、得たものを自分の授業で取り入れたい、自分自身もさらに勉強を続けたいという様に、今回吸収されたことを今後に活かしていきたいという先生方の様子が印象的でした。
参加された先生方により、児童・生徒の皆さんが少しでも異文化や世界のことに関心を持ってくれることに期待が寄せられます。