【教師海外研修】実践授業レポート from横浜市立六ツ川中学校(田井さゆみ教諭)

2020年2月28日

実践授業とは…

実践授業とは、JICA教師海外研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラムを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。

田井先生のレポート

 

12月10日(火)に、中学3年生理科の授業にて実践授業を行いました。環境単元の導入として「人間」について考えることをテーマとしました。

【目的】
「『目の前の人を大切に思う心』を育みたい!!」という私が教師として何よりも目標にし続けてきたことを子どもたち一人ひとりに授業を通して実感してほしい、という思いで計画しました。
本校の総合的な学習の時間では、SDGsを通して「世界のために自分にできること」を一年間かけて学習してきました。すべての人のために私たちにできることを考えるためには、身近な人のため私たちができることを考えることから始めることが大切であり、つまり、まずは目の前の友だちのために何ができるかを考えること。という流れから、今回の実践授業につなげていきました。

 

【実践授業:『みーんなの、オープン』】
〇本時のねらい:
身近な人の背景や文化を知ることで、皆が大切な存在であることに気づき、「目の前の人を大切に思う心」を成長させる。
〇内容:
1.前時の振り返りから本時へ
 ・前時で学習した「ブラジルで田井が出会った人々」で感じたことの確認
 ・本時のねらいの確認
2.『みーんなの、オープン』の作成
 ・自分のことについて各項目に記入
初め:中央に自分の似顔絵とニックネームをかく
①好きな〇〇
②今までで一番うれしかったこと
③今までで一番つらかったこと
④自分の性格を一言で言うと
⑤こんな人になりたい(将来の夢など)
⑥実は私…!
3.自己開示・傾聴する
 ・聴く側の反応についてのルール確認
「分かる~!〇〇さんらしい!」という反応は「グー!」で示す
「え~!そうなの~?!意外~!!」という反応は「拍手!」で示す
 ・話し手と聴き手の双方を経験することで、互いにとっての良い示し方を考える
4.振り返る
 ・ワークシートの記入
 ・他者とのつながりの中での自分の在り方を思考し、『すべての人のために…』何から始めていく必要があるか改めて考え始める

 

【生徒の振り返り】
感想(『みーんなの、オープン』前後での気持ちの変化について)の一部
・もっと友だちを大切にしたいと思った
・みんなにも大切なものや人がいるということに気づけた
・自分のことをもっとオープンにしてもいいかもなと思えた
・見た目では分からないことがたくさんある!

【実践授業を通して】
友だちの様々な面に対して、咄嗟に「意外!」と声を上げる生徒が多くいました。そのことからも、今回のワークショップがなければ知ることができなかった多くのことを互いに理解し合えたことはとても良かったと感じています。また、恥ずかしいと感じながらも勇気を出して自らを開示していくことで、達成感を味わうことができた生徒も多くいたようです。ワークショップ後に、一人の生徒が学級全体の前で自分が作成した『みーんなの、オープン』を開示したいと名乗り出るという予想外の展開になり、とても盛り上がりました。
生徒一人ひとりには、日常生活においても、誰しもがもっている『表面には見えないもの』に目を向けようとする力を磨いていってほしいです。そして、一人ひとりが大切な存在であることを常に感じながら歩んでいってほしいと強く感じています。