「第9回中南米日系社会との連携調査団」レポート ~神奈川県より2社が参加~

2020年3月12日

国際協力機構(JICA)は、2012年度より「中南米日系社会との連携調査団」の名称で、中小企業によって構成される調査団を中南米に派遣しています。これまで、計8回の連携調査団が中南米各国に派遣され、JICA横浜センターが管轄する神奈川県からも、計7社の企業が参加しています。連携調査団に参加した企業の中からは、JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」や「日系社会研修」の提案等、次なる展開を見せる企業が続いています。

2020年2月2日から2020年2月15日までの14日間、第9回となる「中南米日系社会との連携調査団」がブラジルに派遣されました。同国でのビジネス展開に関心を有する13社のうち、神奈川県から株式会社鈴木製餡所とメビオール株式会社の2社が参加しました。同調査団は、約2週間の行程の中でサンパウロ州、パラナ州、ミナス・ジェライス州の3州を訪問し、ビジネスセミナーや商談会を行いました。

【神奈川県からは2社が参加】
13社は各分野に分かれた現地視察も行い、(株)鈴木製餡所の佐野正敏専務取締役は、食品分野の一員として日系病院や和菓子製造会社、地元スーパー等を視察し、面談者と情報収集や意見交換を行いました。メビオール(株)の吉岡浩代表取締役社長は、農業分野の一員として野菜農家や日系農業協同組合、オーガニック野菜農家等を訪問し、現地の農家の抱える課題について情報収集をするとともに、農業関係者らと意見交換を行いました。また、サンパウロ州イビウナ文化体育協会・婦人会を訪問した際には、日系人の食の好みや物流、婦人会の各種活動の意義について、日系社会の世代を超えた交流や活発な意見交換が行われました。(株)鈴木製餡所の佐野専務取締役は、パラナ日伯文化連合会(アリアンサ)のロンドリーナ・モデル校を訪問して出前授業も行い、「日本人から日本文化と日本語を教えてもらう貴重な体験となった。座学のみならず体験してみることの大切さを再認識した」との感想を頂きました。

【画像】(左)ブラジル日本移民資料館への訪問、(右)サンパウロ州イビウナ文化体育協会・婦人会への訪問

【画像】(左)現地企業との商談の様子(左はメビオール(株) 吉岡社長)、(右)パラナ日伯文化連合会でのプレゼンテーションの様子((株)鈴木製餡所 佐野専務)

メビオール(株)は、2019年度第2回公示「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採択され、今後「ケニア国高品質・高栄養価な農作物の安定栽培を可能とするアイメックシステム導入に向けた案件化調査」を行う他、中南米でも同農法の普及可能性を探っています。(株)鈴木製餡所においても、既にJICA日系社会研修「和菓子を通じた日系社会活性化コース」の受入実績があり、ブラジル、アルゼンチン、ペルーの日系人と交流を重ねています。中南米と日本の懸け橋として、2社の今後の動向が注目されます。