【教師国内研修】実践授業レポート from 公文国際学園中等部・高等部(菊池史織教諭)

2022年3月22日

JICA横浜では教員の方々を対象に教師国内研修※1を実施しています。今年度は7名の方々にご参加頂きました。実践授業とは、このJICA教師国内研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業・ワークショップを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。
公文国際学園中等部・高等部の菊池先生のレポートです。

授業を行うにあたって

本校は横浜市戸塚区にある私立中高一貫校です。寮も併設されており、全国各地、また海外から入学する生徒もおります。学園が大切にする信条に「異質の他者を認める」というものがあり,多くの生徒が個々に持つ特性や個性に対して寛容です。従って、「多文化共生」を理解し認め大切にする土壌は既に培われている状態でした。

多文化共生を国、宗教、性別、民族と言った大きな括りで捉えるのではなく,自分ではない他の人には自分とは異なる文化があるのだから、教室や学年、学園内が既に多文化共生であるということに気付き、自ら考え行動し判断して欲しいと考えました。

コロナ禍によりコミュニケーションが制限された状態で多感で貴重な2年間を過ごしてきた生徒たちが、他者を理解しようと努めると同時に、自らも相手に理解してもらうために積極的に行動する勇気を持って欲しいと思い、2021年12月17日、ワークショップ実施に臨みました。

授業について

 45人学級にて道徳の時間を使い、ワークショップ「たぶん、か※2」を行いました。ワークショップ作成の際は常に、「たにんごと」を「じぶんごと」として捉え、他者理解のきっかけとして欲しいという思いでおりました。
実践授業にさきがけて、研修で自身が実際に体験したワークショップを学級で行い、「ただ単にゲームをして楽しむことが、ワークショップ実施の目的ではないこと」を全員が理解している状態で臨みました。授業は60分間。加えて当該授業後、30分間のLHRにて振り返りの共有を行い、本時のまとめとしました。

講義室にて

ドブルでアイスブレイク

行き先について話し合っている様子

ワークショップ「たぶん、か」

1 アイスブレイク、グルーピングを目的としてドブルカード※3を行います。
今回の授業ではグループを別の形で組みましたので、ドブルは場を温めるためのアイスブレイクとして使用しました。ドブルは、新しいメンバーでの活動においても既知の相手でも、アイスブレイクとして活用可能です。生徒が説明を行い、運用することも容易です。最終的には絵柄を考えて、クラスのドブルカードができればと考えています。

2 外見カード(ピクトグラム)を見て、自己紹介をします。
今回の授業では同じピクトグラムであっても,自分と他者の表現の相違を体感して欲しいと思い、自分で自分のピクトグラムを見て表現した後、自分のピクトグラムを相手に表現してもらいました。

3 内面カード(キャラクターカード)を見て,行先を決定します。
内面カードをしっかりとじぶんごととして捉えて欲しかったので、内面カードの人物になりきり、その人の思考や心情を汲み取るための時間を設けました。その後、行先カードを配布し、休日にグループみんなで行くにはどこが良いかを話し合い決めました。話し合いのやり方も様々です。発言を受け止める土壌、発言を促す雰囲気ができています。あとは発言する・しない判断力と勇気が必要です。

4 まとめ ワークシートを用いて,各自振り返りをします。その後,グループ内,クラス全体で意見を共有します。

今回の授業では振り返りをワークシートを用いて行いました。自身が感じたことや思ったことを大切にして欲しいと考え,各自ワークシートに記入することを優先させました。全体での共有は別日に行うことで調整しました。

※1 コロナ禍を踏まえJICA教師海外研修の代替として2020年度より実施。通年のプログラムで研修を通してワークショップ教材を作成頂いております。

※2 先生方に作成頂いた教材「たぶん、か」は後日HPに掲載予定

※3 カード同士を見比べて同じ絵柄を見つけるカードゲーム