2018年度4次隊、任地へ出発

2019年5月15日

2019年4月2日、9名のボランティアがザンビアに到着しました。その後、約1ヵ月の現地訓練を終え、いよいよそれぞれの任地へと出発しました。今回2人の新隊員にお話を聞きました。

まず1人目は、中央州カブウェに派遣される石川隊員です。

石川 奨 隊員:青年海外協力隊、職種「PCインストラクター」、配属先:カブエ職業訓練校

ザンビアの印象は?

私は青年海外協力隊の応募要請を見て初めて"ザンビア共和国"という国の存在を知りました。

私がザンビアへ行くことを友人達に伝えると「裸でぴょんぴょん跳ねていて、日本では食べないような動物や虫を食べ、電気や水道も通っていないところで暮らすの?」と皆が口をそろえて言います。私はPCインストラクターとしてザンビアへ派遣されます。ですから、発展しているはずだと思い、「そんなわけはない」と友人に伝えていました。ですが実際のところはどうだろうという不安を抱いていました。

実際にザンビアへ派遣されて生活してみると、何不自由のない生活が待っていました。電気や水道はもちろん、ネットも快適に使用できるだけでなく、ショッピングモールもたくさん…。町で出会うザンビア人もとても気さくで優しい人ばかりで、ザンビアに来る前に抱いていた不安は払しょくされました。ザンビア人たちは、私が現地語(ベンバ語)で挨拶するととても喜んでくれます。

一方で、街はずれにはスラム街が存在し、物乞いも多くいるという状況でした。日本に比べると貧富の差はかなり大きいようです。首都ルサカの華やかな面だけ見ているとわからない問題点もたくさんありそうです。

応募動機

学生時代、観光目的でインドを旅しました。インドの観光地では、高額な運賃を要求してくるタクシー運転手やツアー会社を装って旅行客を騙す詐欺師が多く、インド人に悪い印象を持っていました。しかし、その印象は旅の中で大きく変わったのです。旅の途中で私はカバンをタクシーに置き忘れてしまい、パスポート、携帯、財布を無くしてしまいました。その時、インドの人たちに事情を伝えると家に泊めてくれたり、ネット申請によるビザ再発行のためにネットカフェを無料で使わせてくれたりと、多くの人が手を差し伸べてくれたのです。そのおかげで無事帰国することができ、旅はとても良い思い出になりました。その時から、開発途上国でいつかその時の恩返しがしたいと考えるようになりました。

社会人になった私はIT企業でシステム販売の営業とユーザーサポートの業務に従事しました。その中でICTに関連する様々な知識を得ることができました。職場環境にも恵まれ、充実した日々を過ごしていました。しかし、インドでの経験が忘れられず、自分のICTの知識を開発途上国で活かしたいと考え今回の応募に至りました。

要請内容と抱負

配属先は首都からバスで約2時間の中央州カブエに位置するカブエ職業訓練校です。今回の要請は、施設・機材の管理・運用、最新の情報に基づく授業内容の改善、国家試験対策を中心とした授業を行い学生のICTスキル向上を目指すことです。私の授業を受ける全ての学生が国家試験に合格できるようにわかりやすい授業を行うのはもちろんのこと、日本人の代表として日本の良い文化や習慣を伝えたいです。

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ザンビアの伝統料理シマ、牛肉、野菜

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ルング大統領を表敬訪問

開発途上国に恩返しをしたいという思いをもって応募された石川さん。日本での経験を存分に活かして、ザンビアのICTの発展のためにに大いに活躍して下さるものと思います。これからの2年間、様々なことが待ち受けていると思いますが、体に気をつけてがんばって下さい。

続いて2人目は、北部州カサマに派遣される塩津隊員です。

塩津 美菜子 隊員:青年海外協力隊、職種「コミュニティ開発」、配属先:カサマ郡農業事務所

ザンビアの印象は?

ザンビアに来て一ヵ月、現地語訓練や安全対策講座などの様々な研修を受けながら、休日にはマーケットを散策し、徐々にザンビアでの生活に慣れてきました。マーケットには、チテンゲと呼ばれるカラフルなアフリカ布が並んでいます。ザンビアの女性が必ず持っているこのチテンゲは、巻いてスカートにする他にも、敷物、バック、赤ちゃんの抱っこ布にもなる優れものです。気が付けば、私は早くも10枚以上購入していました。

マーケットを歩いていると、よく英語か中国語で声を掛けられますが、私が「Mulishaani?(How are you?)」と現地語で挨拶をすると、驚きながらも満面の笑みで返事をしてくれます。「Ndesambilila ukulanda icibemba:ベンバ語(北部州の現地語)を勉強しているんだ」と伝えると、これまたとびっきりの笑顔で現地語を教えてくれます。ザンビアの公用語は英語ですが、70以上もある民族にはそれぞれ独自の言語があります。出身地域の言語だけでなく、そのほかの現地語を話せる人も多いため、街に出ると色々な言語が飛び交っているのを耳にします。母国語と外国語がはっきり分かれている日本とは違った雰囲気があり、単語を覚えては話しかけ、新しい言語を学ぶ楽しさを日々感じています。

マーケットに並ぶカラフルで独特な柄の布、陽気で礼儀正しいザンビアの人たち、真っ青な空とメイズ畑、たった一か月しか過ごしていませんが、ザンビアに来ることが出来て良かったと感じています。

応募動機

幼い頃にテレビで紛争や飢餓に苦しむ人たちがいることを知りました。テレビを通して、今目の前にあるご飯を持っていけたらいいのに、と強く思ったことを覚えています。社会人になり、国際協力自体が遠いものに感じ始めたとき、協力隊の「草の根」という言葉に惹かれ、大きなことは出来なくても、現地の人たちと一緒に悩んだり考えたりすることは出来るのではないかと思い、協力隊に参加することを決めました。

要請内容と抱負

私の任地は、首都ルサカからバスで12時間、北部州のカサマという地域です。農家さんの収入向上を目指した、稲作、新規作物の導入、加工品の作成・販売などが主な要請内容です。任地訪問の際、いくつかのキャンプを訪れましたが、より良い栽培方法を検討し、害虫や病気からどのように野菜を守るかなど、農家さんも現地のスタッフの方もみんな真剣に考えていました。この人たちと一緒に働きたい、役に立ちたいと思うと同時に、そのためにも農業や現地語についても、もっと知識を増やし、成長したいと思うようになりました。より楽しく、より実りのある2年間にするために、学ぶことも挑戦することも、一人ではなく農家さんたちと一緒にやっていきたいと思います。

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チテンゲを着て

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現地の農家を訪問

自分にも何かできることはあるのではと参加を決めたという塩津さん。現地の農家の人たちと一緒に汗を流してがんばる活動は、ザンビアへの貢献だけでなく、自身の大きな成長となる2年間となることでしょう。大変なこともたくさんあると思いますが、体に気を付けて2年間がんばってください。

2018年度4次隊の皆さんの任地でのご活躍を楽しみにしています。

ご協力いただいた石川さん、塩津さんありがとうございました。