2019年度1次隊、任地へ出発

2019年9月2日

2019年7月23日、4名の新隊員がザンビアに到着しました。その後、約1ヵ月の現地訓練を終え、いよいよそれぞれの任地へと出発しました。今回2人の新隊員にお話を聞きました。

まず1人目は、中央州チタンボに派遣される山本隊員です。

山本 尚輝 隊員:青年海外協力隊、職種「理科教育」、配属先:ムカンド中等学校

ザンビアの印象は?

私がザンビア共和国という国を知ったのは、青年海外協力隊の合格通知を受け取ったときでした。どこの国でもいいから参加したいと思っていたのですが、ネットで調べてみるとアフリカの国ということで、海外経験が少ない私は少し身構えてしまいました。協力隊に合格しザンビアに派遣されることを周囲に伝えると、「治安は大丈夫?いろいろな病気が流行ってるんじゃないの?2年間も暮らしていける?」という心配の声ばかりでした。自分の身を心配して声をかけてくださるのはとてもうれしいことである反面、私の中で期待以上に不安が大きくなっていきました。

ザンビアに到着し1か月程が経ちましたが、その不安が杞憂だったのではないかと思うようになりました。今ならザンビアの人たちはとても親切で、礼儀正しいと自信を持って言えます。道を歩いているとよく「ニイハオ!」と話しかけられ「I'm Japanese」と言うと、日本人は珍しいので笑顔で近づいてきて、「ザンビアにようこそ、何をしに来たの?ザンビアのために来てくれてありがとう!」といったような言葉をかけてくれます。さらにベンバ語という北部の現地語であいさつをすると、英語で話すよりもとびきりの笑顔で話してくれます。

しかしながら、そういった一面ばかりではなく、人の多いところではスリを目撃することや、スラム街で物乞いをしている子供の姿を見ることもあります。

応募動機

私は理科教員として日本の中学校で働いており、はじめは青年海外協力隊に興味はありませんでした。ある時、総合学習の時間で国際理解・国際協力についての学習に取り組む際に、元青年海外協力隊員の方をお招きし、講演をしていただきました。その話を聞いて「こんな風に自分のできることで人の役に立てるのだ」と感じ、生徒達以上に国際協力について考えるようになりました。自分が協力隊員として活動することで現地の人のために働くことはもちろん、日本に残してきた生徒達の刺激にもなればいいと思っています。

要請内容と抱負

私の配属先は、首都からバスで6時間程の中央州チタンボに位置するムカンド中等学校です。今回の要請は、高校生を対象に実験などを取り入れた生徒主体の授業の実践と科学クラブの活動の活性化をはかることです。十分な実験器具などがない中で、生徒主体の授業に取り組むことは困難が予想されます。困難の中で、日本で上手くいっている手法を押し付けることは簡単ですが、私の任期が終わった後でも現地に残るような授業の形をザンビアの先生方とともに考えていきたいと思っています。

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周囲を林に囲まれたのどかな学校

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配属先の理科実験室

現地の人々の為だけでなく、日本の生徒にとっても自分の活動が刺激になって欲しいと願う山本さん。日本での教員経験を存分に活かして、大いに活躍して下さるものと思います。これからの2年間、様々なことが待ち受けていると思いますが、体に気をつけてがんばって下さい。

続いて2人目は、中央州セレンジェに派遣される紙谷隊員です。

紙谷 佳妙 隊員:青年海外協力隊、職種「コンピュータ技術」、配属先:マルコム・モファット教員養成校

ザンビアの印象は?

ザンビアに到着した7月下旬は、朝晩の気温がぐっと下がる時期。事前に寒いとは聞いていましたが、防寒着が早くも大活躍するとは予想外でした。家族や友達にザンビアが寒いことを伝えると、アフリカは寒い印象がないせいか、とても驚かれます。

また、ザンビアでは水力発電が行われていますが、今年は雨期に雨があまり降らなかったため、全国で頻繁に計画停電が行われています。自分が活動する任地を初めて訪問した際、夕方~夜に4時間程停電がありました。これほど長い停電を経験するのは初めてだったため、暗い部屋の中でいつ電気が戻るか心配になると同時に、日本では当たり前のように電気があるありがたさを思い知らされました。活動でコンピュータを使う授業をする際には、対策を講じる必要があると思いました。

現地訓練中に、ザンビアは挨拶を大切にする文化というお話を聞きました。どこを歩いていても、英語や現地語で温かく挨拶してくれるのがとても嬉しいです。挨拶はコミュニケーションの基本と言われますが、私からも積極的に挨拶して、早く任地や配属先の人たちに馴染めるようなりたいです。

応募動機

小さい頃から漠然と関心があった国際協力。大学入学時に、何か関わるきっかけを作りたいという思いから学生団体に所属し、活動先のカンボジアという国を通して、国際協力の現場を目にしました。社会人になってからも、その時に見て感じたことがずっと心に引っ掛かり「いつか途上国で再び何かしらの活動を行いたい」という想いを持ち続けていました。

私にできることは何だろうと考える中で、国際協力分野への関心と、IT企業でシステムエンジニアとして約4年間働いた経験を持って、現地の人と2年間、同じ環境に身を置いて生活し活動する協力隊は、私にとって良い選択肢なのかもしれないと思い、挑戦することを決めました。

要請内容と抱負

配属先のマルコム・モファット教員養成校は、卒業時に教員免許が取得できる3年制の学校です。私の要請は、1年生が履修するICT科目の授業、ICT科目教員養成コースの授業を担当するほか、コンピュータ室の運営やネットワーク管理のサポートを行うことです。

ザンビアの学校において、ICTは5年程前から正式な科目になっていますが、ICT教育を十分に受けてこなかった生徒も中にはいます。ICT科目を学習することで、これから生徒が教育現場において、ICTを使ってできることの可能性を広げるサポートができたらと思います。また、将来ICT科目を教えることになる生徒に対して、実際に授業をする時の引き出しを増やすサポートができたらと思います。活動の中で同僚とはもちろん、生徒たちとも一緒に教育やICTについて、様々なアプローチ方法を考えていきたいです。

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初めて買ったアフリカ布(チテンゲ)を仕立ててもらいます

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現地語学訓練でお世話になった先生方と

自身の経験から「いつか途上国で再び何かしらの活動を行いたい」という思いをずっと持っていたという紙谷さん。システムエンジニアとしての経験が豊富な紙谷さんは、ザンビアのICT発展に大きく貢献してくださると思います。大変なこともたくさんあると思いますが、体に気を付けて2年間がんばってください。

2019年度1次隊の皆さんの任地でのご活躍を楽しみにしています。

ご協力いただいた山本さん、紙谷さんありがとうございました。