研修カリキュラムワーキンググループ第1回会合を開催しました。

3つある研修医の卒後研修に関するワーキンググループ(WG)の先陣を切って、研修カリキュラムWGの第一回会合が、2024 年4月25日(木)、日本モンゴル病院で、開かれました。モンゴルでは、医学部を卒業した医師たち 1 は、臨床経験を積むために研修医向け卒後研修プログラムに任意で参加します。この研修医プログラムは、国で定められたコア・カリキュラムに沿って、各教育病院で実施されています。質の担保を目的としてコア・カリキュラムが作成された一方で、教育病院によって教育環境や状況が異なるため、統一されたコア・カリキュラムを実施することは難しいという現状があります。本WGの活動は、コア・カリキュラムの内容を日本モンゴル病院の現状に合わせてどのように実施していくかを検討し実行するためのものです。

まず、リーダーの医科大学専門向上局局長Bayasgalan先生から第1回会合の目的は、実施要領(ガイドライン)の必要性を理解し、その構成と内容を議論し、開発することであることが述べられました。

続いて、研修マネージャーのBattogtoh先生より、日モ病院での研修の現状と直面している課題について報告がありました。
日モ病院では、2023-2024年度で、20の専門分野に382名の研修医が学んでおり、現時点で病院内に居る研修医は165名(1年目104人、2年目60人、3年目(眼科)1人)であること、研修プログラムには、臨床研修の他にオリエンテーション(病院紹介、リスク安全管理、薬剤研修、基本的救急研修、など)、ジャーナルクラブでの研修が用意されています。直面している課題として、ある科における満足度調査では、研修医の22%は研修の見直しが必要と回答したことが共有されました。

次に、各診療科(当日は10診療科)のコーディネーターから、卒後研修が日モ病院でどの程度実施されているか、何人の医師や教師が何人の研修医を指導しているかなどの情報が発表されました。各発表の詳細は割愛しますが、ほとんどの診療科は他の病院と提携した形で研修を行っていること、研修医の数が多すぎて少なからず負担に感じていること、などが表明されました。

その後、プロジェクトチーフアドバイザー嶋田が、モンゴル日本病院の教育プログラムの現状と改善が必要な理由、特に、教育実施内容の明確化の必要性、カリキュラムと病院のスケジュールとの統合についての重要性が強調され、「実施要項」の作成がいかに望ましいかを述べました。さらに、教育プログラムの評価基準についても言及し、各研修医が各専門分野における知識やスキルをどの程度習得しているかを明確に評価する具体的な評価方法や基準の設定が重要であり、それが教育プログラムの質を確保するための手段となることも強調しました。モンゴル日本病院での医学教育者の現状と、効率的な教育方法の模索について、教育者が直面している負担をどのように軽減するか、そしてそれによってどのように教育の質を向上させるかについても検討すべきことを指摘しました。

最後に、Bayasgalan先生から再度、モンゴル日本病院での卒後研修の質を保つことの重要さと、そのために現場で実際に行う教育の「実施要項」を作成すべき理由が述べられ、各診療科で「実施要領」を8月までに完成するよう、指示がありました。

文責:チーフアドバイザー 嶋田


1 モンゴルでは、医学部(6年)を卒業してから、国家試験を受けて医師免許を取得します。

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会合の様子。
(左)チーフアドバイザー嶋田による「実施要領」の解説
(右)医科大学専門向上局局長Bayasgalan先生の説明