[協力隊百景]
料理 × モロッコ








露口聖代さん(2015年度2次隊)

つゆぐち・まさよ●1990年生まれ、三重県出身。奈良佐保短期大学生活未来科食物栄養コースを卒業後、保育園で3年間、栄養士として給食調理や献立作成、食育活動などに従事。2015年9月、協力隊員としてモロッコに赴任。17年9月に帰国。

現地の食材でつくれる日本食を地元のスーパーマーケットで紹介する露口さん(左)

配属先の教え子たちと露口さん(後列中央)

露口さんにとって協力隊とは?

「和食で広がるモロッコの輪」

 露口さんの配属先は、モロッコ国民共済事業団が運営するタブラ社会自立促進センター。経済的に困難な状況にある青年を対象に、各種職業訓練を行う施設だ。露口さんはその料理コースで、料理や製菓の指導、生徒の実習先や就職先の開拓などに取り組んだ。
 力を入れた活動のひとつは、就職時の付加価値を増すために「日本食」の技術を教えることだった。地元のさまざまな飲食店を回ったところ、日本食がつくれる人材のニーズが高いことは確認できた。しかし、実習で使う食材を調達する資金が配属先にはなかった。そんななか、生徒の実習先だったスーパーマーケットから依頼を受け、店内で生徒たちと共に「寿司」のデモンストレーションを実施。それをきっかけに、以後、その店が実習に必要な食材を支援してくれることとなり、日本食の指導がスタート。一方で露口さんは、住民に日本食を身近に感じてもらえるよう、実習でつくった料理のレシピ本をつくり、そのスーパーマーケットで客に配布する活動も行った。

知られざるストーリー