[特集]現役隊員も参加のメリットがたくさん
OV会&職種別グループで先輩隊員とつながろう

コロナ禍の協力隊員の一斉帰国から再派遣が始まっているが、先輩隊員がいないことで、生活や活動の不安を抱えている現役隊員もいるだろう。オンラインで多くの人とつながれる今だからこそ、OV(Old Volunteer)会や課題別支援LinkedInグループなど、さまざまな人たちとつながり、頼ってみてはどうだろう。積極的に現役隊員と関わっている団体にその関わり方を聞いた。

同郷だからこそ気軽に相談しやすい
都道府県OV会編

都道府県OV会は帰国後の社会還元やOV同士のつながりを持つことを目的として発足されていることが多いが、表敬訪問のアテンドや壮行会で挨拶しただけといった印象を持つ現役隊員もいるかもしれない。ここでは現役隊員とつながりを持つ三つのOV会を紹介する。OV会によって活動内容は違うので、出身地のOV会にも問い合わせてみて欲しい。

谷田孝之さん
青年海外協力隊 鳥取県OV会会長
谷田孝之さん(※写真中央)

ニジェール/小学校教諭/2000年度1次隊・鳥取県出身



オンラインイベントに登壇する
青年海外協力隊鳥取県OV会

鳥取県出身でガボンとベリーズに派遣中の隊員2人も登壇した、リアル&オンラインイベント「令和4年度青年海外協力隊鳥取県OV会活動報告会」の様子

鳥取県出身でガボンとベリーズに派遣中の隊員2人も登壇した、リアル&オンラインイベント「令和4年度青年海外協力隊鳥取県OV会活動報告会」の様子

   20年以上前から毎年行ってきた「帰国報告会」を2022年度は初めて「活動報告会」として、現役隊員らに登壇してもらい行ったと話すのは、青年海外協力隊鳥取県OV会の会長、谷田孝之さん。

「そもそもコロナ禍で、鳥取県では帰国してすぐの隊員がいなかったので、帰国報告会ができませんでした。でもちょうど派遣が再開され始めていて、鳥取県からも2名、ガボンとベリーズに派遣されていました。それならば現役隊員とオンラインでつないで、いろいろな話をしてもらおうということになりました」

   コロナ禍で会員同士もなかなか集まることができなかったが、この時ばかりはイベント会場を設け、約30名が集結した。

「会場では、オンラインの参加者が映し出される大きいスクリーンを設置。さらに客席に向けてビデオカメラを設置し、双方向でやりとりできるようにしました。イベントが始まると、会場からはいろいろな質問が飛び出し、それにスクリーンの向こうの現役隊員らが答えるといった、参加者全員が一体となった雰囲気の会になりました」

   谷田さんによると、現役隊員がこうしたイベントに参加することは、活動にもプラスになるという。

イベント告知チラシ

イベント告知チラシ

「ガボンに派遣中の隊員はセネガルからの任国振替でした。ガボンに着いてすぐ2カ月の断水を経験するなど、現地の生活に慣れるまでは大変だったようですが、楽しみながら生活している様子が伝わってきました。ベリーズに派遣後2カ月の隊員は、踊りが好きで陽気な地元の人に癒やされながらも、防犯には気をつけているといった報告をしてくれました。私の現役時代もそうでしたが、現役隊員は何かしら〝伝えたい〟という思いを持っています。こうしたイベントが、そうした思いを伝える場になればいいなと思います。また現役隊員は伝える場ができると、『伝えるべきことは何だろう』と、改めて自分の活動を振り返り、考えを整理したりします。『みんなに話すからには、もう少し頑張らないと』など、自分を奮い立たせる気持ちにもなるんです」

   イベント会場には鳥取大学の学生も電車で2時間かけてやって来た。「新しいつながりができた」と谷田さんは声を弾ませる。ちなみにイベントの告知は、ポスターとチラシ。県内の小・中学校、高校、大学、図書館、役所など500カ所に配布し、年度の活動をまとめた活動報告書も同じ場所に送付した。鳥取大学の学生が参加したことからも、告知の効果はあったようだ。

   鳥取県といえば、南部町が「JICA海外協力隊グローカルプログラム(派遣前型)」の受け入れ先になっている。一般の人向けのイベントもさまざま開催されていて、訓練生が企画し、県内在住のカンボジアの人も参画した「ナンを焼いてカレーを食べよう」というイベントに谷田さんも参加したことがある。これからは南部町など県内のつながりはもちろん、県をまたいだつながりも積極的につくっていきたいという。

「いろいろな世代や地域の人が参加することで、面白い発想が生まれます。青年海外協力隊鳥取県OV会に特別な参加資格はありませんので、現役隊員の方も、協力隊への応募を考えている方もどんどん参加してほしいですね」

正式名称:青年海外協力隊鳥取県OV会

代表者:谷田孝之(会長)

2023年3月現在の会員数:131名

結成した年:1981年4月1日

入会資格:JICA海外協力隊経験者

会費:1000円/年

総会などを行う頻度:総会は年1回、役員会は月1回程度

問い合わせ先や入会方法:Facebookの青年海外協力隊鳥取県OV会のページからメッセンジャーで連絡

Text = 池田純子   写真提供=谷田孝之さん

知られざるストーリー