青年海外協力隊訓練所に行ってきました!
語学講師インタビュー

講師の皆さんに伺いました!
語学上達のコツ

マリア・ヘスス・エスクデロ先生
マリア・ヘスス・エスクデロ先生

スペイン語
(駒ヶ根訓練所)

   訓練期間は約2カ月と短いので、長文を書いたり多くの単語を暗記したりするのではなく、限られた単語をどう言い換えて意思を伝えるか学ぶのが大切です。特にラテンの人たちはしゃべるのが大好きなので、訓練生の皆さんが現地ですぐ活動できるよう、授業では「話す」ことに力を入れています。いつも生徒たちに伝えているのは、「テレビでサッカーを見るだけではサッカーはうまくならない。実際にボールに触って練習しなければいけない」ということ。お薦めする勉強の仕方は各自の能力や進度にもよりますが、一番基本的なことは、黙読ではなく大きな声で発音し、とにかく何度も繰り返し練習することです!

   皆さんが十分に話せるように一つのクラスの人数は最大6人にしていますが、訓練を通じて一緒に支え合いながら勉強する仲間ができ、そのつながりはずっと助けとなるはず。また、ラテンの国々の人たちはみんなオープンで親切なので、心配せずに言語を学んで赴任に備えていただければと思います。

マティナー・プマリンノー先生
マティナー・プマリンノー先生

ラオ語
(二本松訓練所)

   ラオスへ派遣される皆さんが学ぶラオ語には動詞の活用や助詞がなく、文法的にはとても簡単です。一方で、喉を開けたり締めたりする有気音・無気音の違いがあったり、似たような「ウ」の母音でも、口をすぼめる音と横に広げる音の2種類があったりと、初心者には発音が難しいかもしれません。そのため、語学授業の最初の1~2週間は、文字の書かれたカードで読み方を答えたり、私の発音した言葉を書き取ったりする練習で、母音・子音を正しく覚えることに集中しています。講師と少人数で勉強できる機会でもあるので、口の動きなどをよく見て学ぶことも大切です。また、ラオ語と日本語の辞書はあまり売られていないので、覚えた単語をまとめて整理して“ 自分だけの辞書”を作ることもクラスの訓練生たちにお薦めしています。

   語学習得のコツは、難しいことを言おうとせず、自分の知っている範囲の言葉で工夫して話すこと。そして何よりも、わからないことはすぐ講師に聞くことです。周りと比べて焦ったりせず、自分のペースで前向きに学んでいけば、必ず語学力は身につきます!

シリパーラ・ウィラコーン先生
シリパーラ・ウィラコーン先生

シンハラ語
(駒ヶ根訓練所)

   シンハラ語は英語などと違って新たに文字を学ばなければなりませんが、入所前のeラーニングで文字の読み書きなどの基礎知識を学べるので、その内容をしっかり学んで語学訓練に臨めば大丈夫です。そして訓練の序盤では、改めて文字から再確認し、文字→単語→文章と順を追って勉強していきます。

   勉強はインプットとアウトプットの繰り返しで、新しく覚えた文字で単語を書いたり、聞いたり、発音したりして、間違えたらやり直す。言語を習得するには、その積み重ねが唯一の方法です。どの言語もそうですが、語学講師は「調理をしてあげるのではなく、調理の方法を教える」存在です。講師から基本的なやり方を教わって、各自が試行錯誤していくのが、訓練所での語学学習の基本的なスタンスかと思います。人は機械ではないので、誰もが同じペースで上達できるわけではありませんが、自分を信じて頑張るのが何よりも大切です。

Text=飯渕一樹(本誌) Photo=阿部純一&飯渕一樹(いずれも本誌)

知られざるストーリー