[特集]派遣国と隊員をつなげる橋渡し役
ナショナルスタッフだから見えること

JICAベリーズ支所 マルビア・デュボンさん
JICAベリーズ支所
マルビア・デュボンさん

Welcome to Belize

ベリーズってどんな国?
中米に位置するベリーズにはカリブ海に浮かぶ450の離島もあり、その美しさから「カリブの宝石」とも呼ばれます。人口40万人の小さな国ですが、多様な民族、言語、文化があります。

暑さ対策
ベリーズは日差しが強いので、日焼け止めが必須。風通しの良い服を着て、水を小まめに飲む習慣も忘れないでください。

お薦め料理
ベリーズの主食は、大きなお皿にチキンとサラダ、米、豆料理がのったワンプレートが定番です。こちらの朝食は日本と比べて少なめなので、研修を行った駒ヶ根訓練所の食堂の朝食は量が多くてびっくりしました。


―これまでの経歴は?

   私は約25年間、ベリーズの行政機関などで広報の仕事に携わり、2019年からJICAベリーズ支所に勤務してボランティア事業に携わっています。10代の頃から外国へ行って各国の多様な文化・習慣に触れるのが好きで、日本の組織であるJICAの仕事に魅力を感じて転職しました。

―現在の担当業務は?

   ベリーズ支所で働き始めて5年、これまでの知識や経験を生かして広報活動に力を入れてきました。特に、SNSを活用した発信を増やし、JICAや協力隊の取り組みが随分知られるようになりました。

   また、私は隊員の皆さんが日本を出発する前から無事に帰国するまで、すべての行程に関わります。住居を見つけるための家主との交渉、配属先や官庁への表敬訪問の依頼と準備、語学研修時の学校と宿泊先の手配、そして到着後はベリーズの文化や習慣などを学ぶオリエンテーションを行い、任地への赴任時には配属先へ同行し、アパートの鍵を渡します。隊員の世話をすることは私の喜びでもあり、この国で皆さんが成長できるよう、私は自分ができるすべてのことに力を尽くしています。

―隊員に思うことは?

隊員が活動中の老人ホームにて

隊員が活動中の老人ホームにて

   私は前に米国平和部隊(ピースコー)で働いたこともあり、国際連合や各国のさまざまなボランティア団体と接しましたが、協力隊の評価は群を抜いています。特に派遣先からの評価が高く、私も誇らしく感じています。日本の人たちはとても礼儀正しくて理解力があり、〝民度〟が高いと思います。ベリーズの若者たちの中には隊員の皆さんと親しくなりたいと思っている人も多く、日本の文化を紹介する「ジャパンデー」のイベントには毎年たくさんの人が訪れています。

―隊員へのアドバイス

   当然のことですが、中米の文化と日本の文化はかなり異なります。日本からやって来た隊員にとって、時に不快な感情や誤解を招くこともあるため、皆さんにはよくベリーズでの人とのつき合い方についてアドバイスをしています。例えば、ベリーズでは初対面でもハグやキスをしますが、どんな場面でどのようにハグやキスをすればいいか、具体的に指導します。例えば、互いの頬を軽く擦り合わせる時、頬に軽くキスをする時など、場面によって異なります。細かいことのようですが、それは第一印象を決める重要な挨拶なのです。

JICAエジプト事務所 アミーラ・ラーファトさん
JICAエジプト事務所
アミーラ・ラーファトさん

Welcome to Egypt

暑さ・寒さ対策
エジプトは暑い国というイメージがあるかもしれませんが、12月から2月はとても寒いです。雪が降るほどではありませんが、エジプトに派遣される方は寒い時に着る服も必須です!夏は暑いですが、日本に比べて湿度が低く、比較的過ごしやすいかもしれません。

私のストレス解消法
エジプトには美しい海をはじめ、野外ステージやショッピングモール、ジムなどの施設が豊富で、ピラミッドやスフィンクスなど古代文明の遺跡や博物館、美術館もたくさんあります。私自身、歴史にまつわる芸術作品や古代の金品を鑑賞するのが趣味で、自分もこの巨大な文明の一部であることに誇りを感じています。エジプトの奥深い文化に触れることでストレスも吹き飛んでしまうことでしょう。

エジプトのオススメ料理
ナイル川の水資源に恵まれたエジプトでは、野菜や果物などの農作物が豊富に栽培され、それらの素材を使った料理がたくさんあります。ぜひおいしくて体に良い料理を食べてください。


―これまでの経歴は?

   私は学生時代に日本語を専攻していたので、社会人になる前からJICAの取り組みを見聞きする機会が多くありました。大学の教授から「JICAエジプト事務所に空席ができたので応募してみてはどうか?」と勧められて入職しましたが、最初は総務・経理の仕事を担い、4年ほどたってボランティア事業を担当するように。以来今日まで、20年近くにわたってボランティア担当の業務をしていて、この仕事がとても好きです。

―現在の担当業務は?

   私は着任する隊員への対応から住居手配、配属先との連絡・交渉、活動を終えた隊員の帰国手続きまで、一連の業務を担当しています。エジプト事務所では隊員の皆さんの活動支援のため、ボランティア業務の関係者が参照できるワークフローシートを作成したり、Teamsで隊員や配属先に関する情報を随時アップデートして共有したりして、どの担当者でも対応でき助け合える体制づくりを行っています。

―隊員に思うことは?

現地校での日本文化紹介イベント

現地校での日本文化紹介イベント

   コロナ禍の時には配属先から派遣再開を望む声が寄せられ、協力隊員への信頼度の高さを改めて実感しました。エジプトへの協力隊派遣は1997年に始まり、最近では特にスポーツや教育分野の隊員が多く活動中。昨年10月からは、エジプト柔道連盟の要請で大学連携で派遣された柔道隊員が活躍しているほか、政府間の「エジプト・日本教育パートナーシップ」の下で日本式教育を掲げるエジプト日本学校が51校あり、今は小学校教育や美術、音楽などの隊員が計13人配属されています。

   隊員たちについて印象的なのは、地域の人々と協力して生活の質の改善や技術向上に取り組む姿勢です。各自が持つ知識や技術を相手にうまく伝えようと一生懸命に頑張っています。また、他国と比較すると、技術協力プロジェクトなどJICAが実施する他スキームと連携する案件が多く、とても意義のある取り組みを続けているとも思います。

―隊員へのアドバイス

   エジプトは古くからさまざまな国の文化を受け入れてきた国です。今も多様な習慣や文化を持つ人々が互いを尊重しながら共生していて、外国の人を受け入れる風土が十分にあると思います。とはいえ、エジプトに限らず、派遣される国や地域の文化、習慣、生活環境などについて事前に情報を集めるのは大切なことです。エジプトに派遣される隊員の皆さんも、現地の文化や歴史についてできるだけ派遣前から調べたり聞いておいたりするとよいでしょう。


Text=新海美保 取材協力=岡部繁勝 Photo(NS近影)=飯渕一樹(本誌) 写真提供=各在外事務所・支所

知られざるストーリー