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国際秩序の変容と国際協力 -北岡理事長が国際通貨研究所の渡辺博史理事長と対話-

2020年9月9日

北岡伸一JICA理事長は、9月9日、国際通貨研究所の渡辺博史理事長(元財務省財務官)と対話を行いました。これは、JICAが立ち上げた「ポスト・コロナの世界における国際協力」研究の一環として、北岡理事長と国内外の有識者が、対話を通じて今後の世界と国際協力のあり方への考察を深める取り組みです。

まず、渡辺理事長は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でモノ・ヒト・カネ・情報の動き方が変わり、国際的な分業体制の見直しやワークスタイルの見直しが起こるだろうと述べました。そして米中対立が激化した場合には、米中両方の威信が失墜する状況になりかねないと示唆したうえで、日本は、ヨーロッパを引き続き重要なパートナーと見なし、ドイツやフランスと協力して「中規模国連合」を組むことが大事であり、インド・太平洋地域では「海洋ASEAN諸国」との連携を強化していく必要があると強調しました。

次に、渡辺理事長は、金融・財政が新型コロナウイルス感染症拡大から受ける影響が限定的になる理由として、中央銀行からの潤沢な資金流動性供給という背景のもと、短期的運用目当てで株式市場に資金が流入する現象が続いていたことと、先進国と途上国の別なく低金利状態が続いていたことを挙げました。また、各国は財政体力に余裕がないため、中央銀行が財政ファイナンスに踏み込むことを容認するようになるだろうと予想し、政府債務の膨張が国内格差拡大につながらないように注視する必要があると主張しました。さらに、新興国と途上国への長期的資金援助の方法や、優先的にワクチンを提供する対象者をどうすべきかについて、今後広く議論を行う必要があると指摘しました。

続いて、北岡理事長との対談では、サプライチェーンの再構築や緩い地域ブロック化が進む可能性が取り上げられました。そうなった場合、日本がASEAN諸国と組んで西太平洋連合(Western Pacific Union)を結成することや、あるいは太平洋連合(西太平洋連合+ニュージーランド、オーストラリア)を結成することに意義があるという点で意見が一致しました。

最後に、研究会メンバーとの間で、金融危機時の財政・金融政策のあり方や、国際機関が政治対立に翻弄されるようになるなかでのJICAの役割や他機関との連携の方向性などについて意見交換が行われました。大きく変動する国際情勢のなかで日本がこれから担っていくべき役割や地域連携の可能性について考察を深める対話となりました。