フレッシュなビジネスアイデアが続々登場!

『森から世界を変える
ソーシャルビジネスアワード』
東京会場 ワークショップ
開催レポート

2017年7月1日(土) JICA市ヶ谷ビル

定員を超える41名が参加!

2017年7月1日(土)、JICA市ヶ谷ビル国際会議場(東京都新宿区)で『森から世界を変えるソーシャルビジネスアワード』のワークショップが開催されました。会場には意欲あふれる20代~30代の41名が集まり、多彩な講師陣による講義の聴講から11グループによるグループワーク実施まで丸一日、「森林保全」と「ビジネス」の両立を目指すソーシャルビジネスアイデアを考える有意義な時間となりました。

若者らしい発想で
ソーシャルビジネスの
アイデアを!

午前中のエキスパートTalkで、「ソーシャルビジネス」や「国際協力」「森林保全」についてさまざまな情報を得た後、午後からは参加者が3〜4名のグループに分かれ、森林保全と両立するビジネスアイデアをアウトプットするグループワークを行いました。

グループワーク開始前には、ビジネスプロデューサーでもある総監修の谷中修吾氏から「ビジネスフレームワーク」についてのレクチャーを受け、ビジネスアイデア創出の基本とポイントについて学びました。その後のグループワークでは、谷中氏が紹介したフレームワークを使い「解決すべき課題」や「対象とする地域」の設定などアイデアを具体的な形にする作業を行い、最終的な提案内容をまとめていきました。

グループで議論して提案をまとめるための時間は120分。会場内のいたるところで熱い議論が交され、タイムリミットが近づくとともに参加者全員が一丸となり、プレゼンテーション用に模造紙にアイデアをまとめていきました。

グループワークの間は、谷中氏とエキスパートTalk登壇者に加え、『森から世界を変える REDD+ プラットフォーム』加盟団体の専門家の方々がメンターとして参加。各グループからの質問に答えたり、アドバイスをするなど若い参加者とともにアイデア創出に取り組みました。

アイデアをさらに磨いて
8月のプレゼンテーションへ!

グループワーク終了後、各グループ5分間のプレゼンテーションを行いました。11のグループは、視点や発想がそれぞれ異なるアイデアを発表。そのプレゼンテーションもグループごとに個性的で、イラストを使うなど、演出も工夫が凝らされていました。

提案されたビジネスアイデアは、午前中のインプットやビジネスフレームワークを活かし、ユース世代ならではの発想が多く見られました。登壇者やメンターからの講評も熱気を帯びた意見交換の場となりました。

今後、参加者はこの日の学びと経験を活かしてそれぞれのアイデアをさらにブラッシュアップし企画資料にまとめて提出。書類選考を経て、8月に東京で開催される「プレゼンテーション大会」へと進みます。

参加者たちの応募アイデアの数々は、プレゼンテーション大会終了後に、このウェブサイトやSNSなどでご紹介していく予定です。ご期待ください。

各グループのアイデアには、登壇者や企業のエキスパートから成るメンターからの講評が寄せられました。

ワークショップ終了後

当初のスケジュールでは、プレゼンテーション~講評の終了後、会場にて1時間ほどの交流会を開催の予定でしたが、充実した提案やより具体的な講評が続き、予定時間をオーバー。短い時間でしたが、参加者がメンターへ熱心に質問する光景も見受けられました。熱気冷めやらないJICA市ヶ谷ビル国際会議場でした。

ワークショップ
プレゼンテーション

当日発表された11グループのプレゼンテーションを紹介します


グループ 1
再生チェリー酒から森林を守る
エチオピアの森林コーヒーの加工過程で廃棄される果肉を使ってチェリー酒を製造、販売することで、現地における生計向上手段を確保!

グループ 2
Airplane BnB
航空会社からのチケット提供、ツーリストとボルネオ島森林周辺集落に住む村人を結ぶ民泊ツアーを通じた現地への収入の還元、航空会社の排出権取得など、森林保全と気候変動対策を組み合わせたビジネスアイデア。

グループ 3
世界ふしぎの'森'発見
途上国と先進国の距離を縮める!途上国にも広く普及しているスマートフォン等の情報媒体を活用し、リアルな熱帯雨林の様子を先進国まで届け、都心のVRテーマパークで熱帯雨林体験を提供。テーマパークの利用収入を途上国の森林に依存して暮らす人々の収入向上に!

グループ 4
エコオロギー Beauty プロジェクト
コオロギを森林保全に活用するという大胆なアイデア。養殖したコオロギから美容成分などを抽出するなどして現地コミュニティの代替生計手段を確保!

グループ 5
本当の森林を知るツアー
インドネシアで貯水池水路を利用した森林カヌーエコツアーを実施。森林火災の早期発見のアイデアも盛り込み、泥炭地火災に対する現地の人の理解も深める!

グループ 6
民俗音楽留学
音楽を通じた異文化体験で森林保全を目指す。途上国の森の木を利用した伝統的な楽器作り体験と、集落で民俗音楽を学べるツアーを実施!

グループ 7
スリルと癒やし ジャングルツアー
熱帯雨林の森でジャングルツアー。地元文化体験などのアトラクションを整備して、ツアー参加者へのアクティビティの提供に加え、住民の意識向上への貢献も!

グループ 8
森のダイヤモンド採掘ツアー
インドネシアの森林を守りながら「森のダイヤモンド=石炭」などの鉱山を観光資源として活用し地元の雇用を創出!参加者には石炭のお土産つき。

グループ 10
インドネシアの不毛地帯再生プロジェクト
日本の間伐材を活用して住宅建築などの事業を展開し、購入費用の一部を募金としてインドネシアに植林を実施。エコツアーを実施して募金協力者の森林保全への理解を深める。

グループ 11
森林火災を救う木育おもちゃ
焼却処分が森林火災の原因ともなっているインドネシアの木材の端材を活用して、日本でも需要が高まってきている木育おもちゃを製作。現地の雇用も創出する!

グループ 12
建築で南米を元気に
日本の技術協力によって南米に木造住宅を普及させる。住宅供給による経済状況の改善と同時に現地の林業を活性化。違法伐採の抑制を目指す!

エキスパートTalk

この日、参加者たちは、午後のグループワークの前に、企業や団体の専門家から「森林保全」や「ソーシャルビジネス」についての知識や知見、経験などについてさまざまな「インプット」を受けました。

ワークショップの冒頭、まず「イントロダクション」では「森から世界を変えるREDD+ プラットフォーム」の事務局を務める国際協力機構(JICA)地球環境部 森林・自然環境グループの森田隆博次長より、参加者から斬新なアイデアが提案されることへ強く期待している旨を挨拶。続いて『森から世界を変えるソーシャルビジネスアワード』総監修を務める谷中修吾氏からは、自ら手掛けたソーシャルビジネスを例に挙げながら、アイデアを構築するためのポイントが説明されました。

ソーシャルビジネスを発想するために「まずは、解決すべき社会的課題を絞り込むことが最初のポイント」であるという谷中氏からのアドバイスに続き、企業などで実際に森林保全とビジネスの両立を目指したプロジェクトに取り組む登壇者による「プラクティスTalk」が行われました。


プラクティス Talk 1
世界の森林と国際協力 そしてビジネスへ
JICA 地球環境部 
森田隆博

プラクティスTalk 2
野生のコーヒーでエチオピアの森を守る
JICA 地球環境部 
豊嶋絵美

エチオピア森林コーヒーの品質改善プロジェクトについて
UCC 上島珈琲株式会社 マーケティング本部 業務用開発部 
中嶋弘光

プラクティスTalk 3
ベトナムでの住友林業の取組について
住友林業株式会社 資源環境本部 海外資源部 
斎藤淳志

プラクティスTalk 4
インドネシアにおけるオランウータンの森を守るプロジェクト
一般社団法人モア・トゥリーズ 事務局長 
水谷伸吉

グループワークのメンターとして
加盟団体が協力

また、ビジネスアイデアを考えるグループワークの時間には、『森から世界を変える REDD+ プラットフォーム』加盟団体の協力により、団体・企業の現場で活躍する方々がメンターとして参加してくださいました。 メンターのみなさんをご紹介します。

森林総合研究所 REDD研究開発センター長
平田泰雅

国際緑化推進センター 専務理事
堀正彦

国際緑化推進センター 研究員
棚橋雄平

住友林業株式会社 CSR推進室長
飯塚優子

国際耕種株式会社 主任研究員
吉倉利英

総評
期待以上の充実した
ワークショップに!

期待以上に盛り上がった東京ワークショップ。プレゼンテーション大会に向けて、谷中氏、森田氏からのコメントをご紹介します。

JICA 地球環境部 森林・自然環境グループ次長
森田隆博

期待した以上にレベルが高く、斬新なアイデアがたくさん生まれた印象です。私自身、日頃から国際協力の仕事をしていますが、音楽などの現地文化を活かし、また日本のリソースを活用する手法など、なかなか思い付かなかった視点が提示されて新鮮な思いを抱きました。

8月のプレゼンテーション大会を経て、優秀者がREDD+ プロジェクトの現地に派遣されるわけですが、こうした若者の目で実際に現地を見て体感することで、さらにリアルな夢を現実にするビジネスプランに昇華するのではないかと期待しています。とても有意義なワークショップでした。

ビジネスプロデューサー・BBT大学准教授
森から世界を変えるソーシャルビジネスアワード 総監修

谷中修吾

とてもユニークなビジネスアイデアがたくさん提示されて楽しかったです。今回のワークショップの狙いは、課題を明確化して、それを踏まえた上でビジネスアイデアに落とし込んでいくというプロセスを理解してもらうことだったのですが、各グループともそれがきちんと理解されていた点が、とくに良かったと感じます。

今回、120分という制限時間でリサーチの時間は取れなかったのですが、参加者のみなさんは午前中の「エキスパートTalk」の内容からうまくファクトをおさえ、その上で課題を設定し、ビジネスアイデアにアプローチしていました。実際のプロジェクトを踏まえた問題解決を想定している点は、リアルビジネスに近く、全体としてレベルが高いワークショップになりました。

8月のプレゼンテーション大会には、今回のグループでの応募のほか、個人で応募することもできます。それぞれが今日のアイデアを元にさらに詳細なビジネスアイデアをまとめるわけですが、提出期限までには少し時間があるので、データやヒアリングなどのリサーチを組み込めると、さらに実現可能性の高い、本格的なビジネスプレゼンのレベルにまで高まるのではないかと期待しています。