関西の若者による
ユニークなアイデアが
誕生!

『森から世界を変える
ソーシャルビジネスアワード』
神戸会場 ワークショップ
開催レポート

2017年7月8日(土) JICA関西

エキスパートのプレゼンに学び、
ビジネスアイデアを考える!

2017年7月8日(土)、兵庫県神戸市内のJICA関西において、『森から世界を変えるソーシャルビジネスアワード』の「ワークショップ」が開催されました。前週開催された東京に続けてこの神戸でも定員越えの申し込みがあり、39名が参加しました。

『森から世界を変えるソーシャルビジネスアワード』は、途上国の森林保全と社会課題を解決するソーシャルビジネスを両立するビジネスアイデアを、参加者の若者たちが考える企画です。この日は東京と同様に、午前中に森林保全に関する事業を実践している加盟団体や企業のエキスパートによる「プラクティスTalk」から途上国の森林保全やビジネスの現状を学び、午後には、3〜4名のグループワークでビジネスアイデアを考えて、そのアイデアをプレゼンテーションするプログラムで実施されました。

大切なのは
「Think Globally & Act Locally」

冒頭、森林総研関西支所長の松本光朗氏が「国際協力と同様に、森林保全も『Think Globally, Act Locally』の実践が大切。森林保全の取組においいては、お金のことを二の次にする考え方が、環境破壊を進めてしまったのではないかという反省もあります。その意味で、ソーシャルビジネスというキーワードで森林保全との両立を考えるのはとても有意義」と、若い参加者へ期待のエールを送りました。

国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 関西支所長 松本光朗氏

続いて、『森から世界を変えるソーシャルビジネスアワード』総監修の谷中修吾氏が「各グループのテーブルに置かれている封筒を開封してください」と指示。この封筒の中には『Mission:REDD+』が入っており、今回のワークショップのミッションが書かれていました。『Mission Impossible』のテーマ曲をBGMに、「カジュアルに、自由に発想を広げて欲しい」という思いを込めた谷中氏の演出で、ワークショップは和やかな雰囲気で始まりました。

谷中修吾氏

ソーシャルビジネス創出の
ポイントは
「解説すべき課題」を
絞り込むこと

午前中のエキスパートTalkで、「ソーシャルビジネス」や「国際協力」「森林保全」についてさまざまな情報を学んだ参加者は、午後から10組のグループに分かれて具体的なビジネスアイデアを考えるグループワークを行いました。提案をまとめるための制限時間は120分。エキスパートTalkの登壇者や、加盟団体・企業から参加のメンターの方々も、積極的に飛び出す参加者からの質問や相談に応じました。

この日の39名は、「国際協力」や「森林保全」、「ソーシャルビジネス」、「社会的課題の解決」といったこのワークショップの掲げるテーマに、真摯に共感と好奇心を抱いてワークショップに参加してくれました。高校生から、実際にビジネスの現場で活躍する社会人まで、年齢やプロフィールは多彩。熱気あふれる議論を経て、各グループからはフレッシュなビジネスアイデアが続々と提案されました。

参加者は、後日この日の学びと経験を活かしてそれぞれのアイデアを企画資料にまとめて提出。書類選考を経て、8月に東京で開催される「プレゼンテーション大会」へと進みます。応募アイデアは、プレゼンテーション大会終了後に、講評と共にREDD+プラットフォームのウェブサイトやSNSなどでご紹介していく予定です。ご期待ください。

ネーミングにこだわるのが
関西流?

グループワーク終了後、10グループが各5分間のプレゼンテーションを行いました。東京のワークショップでも、バラエティに富んだアイデアが数々と発表されましたが、神戸でもグループごとに個性豊かでフレッシュなビジネスアイデアが生まれました。

プロジェクトのネーミングにユーモアのセンスが感じられるものが多かったのは、お笑い文化が根付いた関西の若者らしさといえるでしょう。総監修の谷中氏も「ソーシャルビジネスにはプロジェクトのネーミングがすごく重要」と、工夫したネーミングに賛辞を贈りました。

実現可能性の高いアイデア、斬新な発想のアイデアが多く、登壇者のみなさんからのコメントや参加者とのやり取りも盛り上がり、予定時間を大幅にオーバーしてしまう、熱気いっぱいのプレゼンテーションとなりました。

ワークショップ
プレゼンテーション

当日発表された11グループのプレゼンテーションを紹介します


グループ 1
マイフォレスト あなたのカカオ育てませんか
インドネシアでのカカオ栽培に「オーナー制度」などを導入して生計向上を支援。オーナーになってくれた顧客には栽培したカカオで作ったチェコレートなどを提供!

グループ 2
ゾウから世界を変える FUNN+
インドネシアの森にすむ野生のゾウの糞を活用。商品を開発しビジネスを創出して生計向上に貢献! REDD+にかけた「FUNN+」というネーミングも個性的。野生のゾウとの共存は、森林地域の課題でもある。

グループ 3
森共Fund
森林保全活動を実施する信頼性の高い団体などを選別してファンドを構築。出資者へのリターンとして、現地で作るアクセサリーなどのプロダクトや、ホームステイのツアーなどを提供する。

グループ 4
FOREST FOR REST
森の中にゲーム『ポケモンGO』のスポットを設置するなど、森のアトラクションを整えてビジネス化! ツアー客の保険やマウンテンバイクのレンタルなどで新たな収益源を生み出す。

グループ 5
森の絵本レストラン
クラウドファンディングで森の中に絵本レストランを開設! レストランで提供する料理には地元食材を使い、現地の人たち(利用客)の森林保全への知識向上にも貢献する。

グループ 6
旅する森の美女
美容やアンチエイジングをテーマに森林を舞台にしたエコツアーを実施。また、森から原料を得る商品を開発するなど、美をテーマにした森林保全活動を展開!

グループ 7
木くずがタンザニアを照らす
ヤマハが木管楽器を制作する際に出るアフリカンブラックウッドの廃材に着目。廃材チップを活用したビジネスを創出して、現地雇用などを生み出す!

グループ 8
本能を呼び覚ませ!! 小銭を稼げ!!
スマホ持ち込みを禁止して撮影サービスを提供するなど、森林の本能的な快適さを満喫するエコツアーを創出。現地雇用を拡大して違法伐採を阻止!

グループ 10(9は欠番)
安心して下さい。使えますよ
グループ7と同様に、木管楽器原料となるアフリカンブラックウッドの廃材に着目。未利用材や製材過程のロスを、安価な楽器製造などに活用し新たなプロダクトを創出する!

グループ 11
フォレスタディ プログラム
東南アジアで都市部から森林地域へのホームステイ型環境教育プログラムを実施! 雇用や教育(森林保全への知識)などの、都市部と地域の格差を是正して、持続可能な環境教育ビジネスを構築する。

エキスパートTalk

グループ7とグループ10が「未利用材」の活用をビジネスアイデアに組み込んだのは、午前中のエキスパートTalkで、クラリネットの原料としてタンザニアで産出されるアフリカンブラックウッドが使われているものの、楽器としての製造過程で多くのロスが生まれているという現状をヒントにしています。

今回のアワードプロジェクトは、『森から世界を変える REDD+ プラットフォーム』の加盟団体や企業、森林保全に関わる企業などの協力があってこそ進むことができています。エキスパートとして登壇した方々の、プラクティスTalkの概要をご紹介します。


プラクティス Talk 1
世界の森林と国際協力 そしてビジネスへ
元JICA 関西国際センター 所長 (現JICA 農村開発部 部長) 
宍戸健一

プラクティスTalk 2
タンザニア森林からの持続可能な木材調達事業に向けて
ヤマハ株式会社 生産企画統括部 
仲井一志

コンサベーション・インターナショナルの森林保全活動
コンサベーション・インターナショナル コーディネーター 
浦口あや

グループワーク中にも
アドバイス!

登壇者のみなさんには、参加者がビジネスアイデアをまとめるグループワーク中にも各グループを巡回してアドバイスをしていただきました。

また、森林総研の松本氏、総監修の谷中氏をはじめ、JICA関西のスタッフがメンターとして参加しました。ワークショップ参加者の若者からは、かなり具体的な質問や提案が投げかけられて、登壇者、メンターのみなさんも真剣に応えている様子が印象的でした。

JICA関西 市民参加協力課 課長
加藤健

JICA関西 企業連携課
中山滋彦

JICA関西 市民参加協力課
白井宏明

総評
短時間のレクチャーでしたが、
多彩なアイデアが生まれました!

東京、そして神戸でのワークショップが無事に終わり、次のステップは8月のプレゼンテーション大会です。期待以上に盛り上がり、有意義なアイデアが生まれたワークショップについて、森林総合研究所の松本氏、JICA宍戸氏からのコメントをご紹介します。

森林総合研究所 関西支所長
松本光朗

それぞれのグループから重複することなくバラエティに富んだアイデアが出てきたことに、若者たちの健全な多様性を感じました。解決すべき課題や手法が多用であるばかりでなく、活動そのものの内容を掘り下げるグループや、資金の流れを考えるグループなど、着目したアプローチがユニークだったことも印象的でした。

今日は、参加者同志が初対面。その中でこれだけのアイデアが出てきたことには驚いています。8月のプレゼンテーション大会に向けて、他のグループのアイデアや登壇者、メンターからのコメントなどを参考にして、さらに完成度を固めたビジネスアイデアが提案されることに期待しています。

また、現地派遣される方には、ぜひきちんと下調べをして臨んで欲しいと思います。下調べをするほどに、実際に現地に行くと想像できなかった現実を目の当たりにして驚くことがあるでしょう。でも、その驚きがまた新しい気付きとなるはずです。このアワードに参加した経験を、ぜひ、これからの人生に役立ててください。

元JICA 関西国際センター 所長(現JICA 農村開発部 部長)
宍戸健一

参加してくれたみなさんの多くは、途上国の森林の現状などについて、専門的に学んだ方はほとんどいないはずですが、短時間のレクチャーで理解を深め、たくさんのユニークなアイデアを生み出してくれたことに驚いています。谷中氏のアドバイスや演出も効果的で、楽しみながら森林保全とソーシャルビジネスについて考えてもらうことができたのではないでしょうか。

先週、東京でのワークショップが盛り上がったことを聞いていましたので、神戸がどうなるかと思っていたのですが、決して東京にも負けない熱気あふれるワークショップになったと感じています。私自身が関西出身ということもあり、関西の若者たちががんばってくれたことを嬉しく思います。8月のプレゼンテーション大会には事前の書類審査がありますが、ぜひ関西の参加者にがんばっていただいて、一人でも多くの方がプレゼンテーション大会に進出して欲しいと思います。

また、東京、そして今日の神戸と、ワークショップの開催にご協力、ご参加いただいた『森から世界を変える REDD+ プラットフォーム』加盟団体の方々に、改めてお礼を申し上げます。引き続き、8月のプレゼンテーション大会や、現地派遣帰国後の報告会なども盛り上がるよう、ぜひご協力ください。ありがとうございました!

【東京ワークショップの様子はこちらから】