第1回 REDD+ オフィシャル特派員に感謝状を贈呈!

THANKS! 座談会

特派員としての活動を振り返っていただきました。

感謝状贈呈

途上国の森林保全やREDD+ の仕組みなどについて学んだ上で、実際にインドネシアで実施されている森林保全・REDD+プロジェクトの視察を行い、REDD+と『森から世界を変える REDD+ プラットフォーム』のプロモーションに活躍してくれた「第1回 REDD+ オフィシャル特派員」の4名が、2017年3月31日に東京都千代田区のJICA本部を訪問。JICAの鈴木規子理事から、感謝状が贈呈されました。

4名の特派員ひとりひとりに鈴木理事から感謝状が贈られた後、『森から世界を変える REDD+ プラットフォーム』の事務局担当部署であるJICA地球環境部森林・自然環境グループのスタッフを交えた懇談会を行いました。

「途上国の森林保全には専門的な知識や技術が不可欠ですが、私たちは特派員のみなさんに専門知識を期待したわけではありません。専門用語などが多くてわかりにくい『REDD+』のことを、普通の若者であるみなさんに見ていただき、自分の言葉で伝えていただくことに価値があると考えて、このプロジェクトを実施したわけですが、みなさんは素晴らしい活躍をしてくださいました。実際にプロジェクトの現地を体験して感じられたように、世の中、世界はとても広いです。これからも、REDD+はもちろん、広く国際協力にも関心をもっていただき、お友達にも広めてくださればと思います」(鈴木理事)

鈴木理事からの感謝と激励の言葉に、特派員の4人はそれぞれの抱負や、有意義な活動の機会に出会えた感謝の気持ちなどを語り、懇談は和やかに進められました。

2016年度REDD+オフィシャル特派員の旅の軌跡

THANKS! 座談会

感謝状贈呈と懇談の後、別の会議室に場所を移して、REDD+ オフィシャル特派員としての活動を締めくくる座談会を実施しました。座談会は特派員プロジェクトの牽引役でもあった宍戸健一氏(JICA地球環境部審議役兼次長※)の質問に、4人が答えていくスタイルで進められました。はたして、若者の4人がインドネシアで何を感じ、REDD+ をどう感じたのか。その内容をご紹介します。

※宍戸氏は現在JICA関西国際センター(兵庫県神戸市)所長

応募動機と、森を訪れた感想は?

宍戸 特派員のみなさん、2016年はREDD+のプロモーションにご活躍いただきありがとうございました。では改めて、この特派員プロジェクトに応募した動機と、実際に活動してみてどう感じたか。まずは、渡邉さんから聞かせてください。

渡邉 応募したのは、正直言って「興味本位」でしたね。ちょうどインターンシップを探していた時に募集を知って、私たちは『YRNやーん』というチームで応募しましたが、3人のメンバーは誰も森林保全についての知識はほとんどありませんでした。でも、私たちが得意な「情報発信」の力を活かして何かできるのではないかと思って応募しました。ウェブサイトやSNSで『#Phorest(Phone+Restの造語)』を提案して、ステッカーなどを作って現地で出会った人や、帰国してからのイベントで配ったりもして。私たちと同じように、森林保全やREDD+ について知らない人に、知るきっかけを作ることが少しはできたかな、と感じています。

渡邉梨香さん(YRNやーん)

宍戸 竹村さんはどういう点で自分の得意分野を活かすことができたと感じていますか。

竹村 僕は写真や動画を撮影したり編集するのが得意です。今回の特派員プロジェクトでも、インドネシアの森でたくさん写真を撮って、たくさんの人に見てもらいたいという思いがありました。実際に現地に行って、ただの森の風景だけではなくて、たくさんの人たちの表情とか、森を守る活動の様子を撮影してくることができたので、とても良かったと感じています。

竹村英晃さん(YRNやーん)

宍戸 末吉さんはいかがですか。

末吉 現地に行って、「人と人との繋がり」みたいな部分を見て、感じることができたのは、自分の中でとても大きなことだったと、僕も感じています。行く前は「REDD+ で森林保全といっても、現地ではどれだけのことが行われているのか?」と、あまり信じ切れていないところがあったんです。でも、インドネシアの森では、そこに住んでいる人たちが、生活をかけて森を守る活動に取り組んでいるというリアリティを感じることができました。

末吉賢太郎さん(YRNやーん)

宍戸 有意義な体験でしたね。では、次に飯塚さん。飯塚さんはもともと「2016年度ミス日本みどりの女神」として森の大切さを広める活動をしていたわけですが、みどりの女神の活動も忙しい中で、このREDD+ オフィシャル特派員に応募したのは、どういう理由があったのですか。

飯塚 自分の視野を広げたかったというのが一番の理由です。日本国内では色々な山の現場にも行かせていただいて、ある程度の現況は理解しているつもりだったのですが、海外の、途上国の森林で何が起きているのかということについてほとんど現実感がありませんでした。日本では、認証材を使うことの大切さを訴えたり、国産材利用を普及させようというムーブメントが起きていますが、それがなぜなのか理解しきれなかった部分があります。しかし、インドネシアに行き、違法伐採の現場に行くことによって、やっと理解することができました。また、国際協力にもずっと興味があったので、その現場を自分の目で見て、肌で感じられたことは、とても貴重な体験でした。

飯塚帆南さん

現地で印象に残ったことは?

宍戸 では逆に、意外だったことや、特に印象に残った出来事はありますか?

渡邉 私はカカオ農園の子どもたちとの出会いが印象的でした。チョコレートの原料であるカカオの農園で育っているのに、チョコレートはまだ食べたことがないという子どもがほとんどで。それはやはり、経済状況があまりよくないからなのです。でも一方で、カカオ農園を始めたことで、子どもを大学まで行かせることができたという話も伺いました。

宍戸 なるほど、実際に現地の森で生活する人たちと出会ったからこそのエピソードですね。で竹村さん、は何か印象に残ったエピソードはありますか?

竹村 普通に街や村で出会った人が、僕たちが日本人というだけで「一緒に写真を撮ろう」と言われたことに、少し驚きました。日本では、街で外人と出会っても写真を撮ろう、とはならないですよね。

飯塚 現地の中学校・高校を訪問して交流する機会を設けていただいた時、すごく歓迎されたのも印象的でしたね。その学校では、日本や森林についてのクイズをやって、5年後、10年後の森林に期待することと、自分の夢を書いたメッセージを未来の自分に送るタイムカプセルをやりました。こうした交流を通じて若者に森林の大切さを知ってもらい、それを意識しながら日々生活することによって、より持続的な未来を築くことにつながっていくと嬉しいですね。

渡邉 飯塚さんが現地の人に「あなたにとって森林とは」というインタビューを動画で納め、それをまとめたビデオがあるのですが、その中で「森は財産」というメッセージがあったんですけど、インドネシアの森を見て、本当に、これはすごい財産だなあと実感しました。

竹村 でも、現地の人たちにはあまり「森林は財産」という意識はなくて、森林は生活の一部として「そこにあるもの」だという一面もありました。

末吉 僕たちがインドネシアで訪れた地域の人にとって、森は身の回りに当たり前にあるもので、生活の一部になっているということはすごく感じましたね。また、現地の人たちは、とても素直に生きていることを感じました。

竹村 REDD+を通じた支援の理解を、先進国側も途上国側も深めていくためには、専門家が取り組むだけではなくて、今回のように若者同士の交流を「入口」にするのもいいのかなと思います。

宍戸 たしかに、制度やインフラなどに関するトップダウンと、フラットな交流や取組によるボトムアップの支援はどちらも大切ですね。また、今回みなさんが体験したように、フレッシュな市民が交流して「こういう家で暮らしているのか」とか「こんな本を読んでいるのか」と理解しあえることも、とても大事だと思います。

宍戸健一氏

帰国後の活動で印象に残ったことは?

宍戸 では、帰国後の活動について伺います。それぞれ、印象に残っていることは何でしょう。

飯塚 私はやはり紙芝居ですね。現地で知ったエピソードを元にして、子どもたちにも森林を守ることの大切さがわかるように、自分でストーリーを考えて絵も描きました。いろいろな場所で紙芝居をやらせていただきましたけど、見る人によって問題の捉え方が違うのが興味深かったです。物語を考えるプロセスは、自分にとってもいい振り返りの機会になりました。

エコプロでの紙芝居紹介

宍戸 あの紙芝居は、違法伐採で逮捕されてしまうお父さんのお話でしたね。とてもわかりやすくできあがっていたと思います。そして、「YRNやーん」の3人は、「PhoneとRestで『Phorest』」という造語を作って、スマートフォンを使わない時間を作って森のことを考えようというプロモーションをやったわけですが、周囲の人たちの共感は得られましたか?

渡邉 具体的なアクションとして、ステッカーを作って配ったのですが、友人たちも気軽に貼ってくれました。先日、大学の関係でヨルダンへ行く機会があって、出発の時の空港で、一緒に行く先生がスーツケースに貼って下さっていたのがうれしかったです。インドネシアの現地の人たちにも配ったら、SNSに「#Phorest」というハッシュタグとともに投稿してくれていたりして。やっぱり、ステッカーのような目に見えるツールは大切だなと感じました。

末吉 今回、僕たちにいろいろ教えてくださった谷中修吾さん(REDD+ オフィシャルサポーター)に「SNSやウェブでの発信だけでなく、実践型のイベントをやると面白い」とアドバイスをいただいて、帰国してから大学の友人たちと一緒に、Phorestして高尾山に登るイベントをやりました。最初は「スマホを持っていっちゃいけないの?」と戸惑う人もいましたが、登山を終えた感想では「スマホを持たない方が風景とかも楽しめてすごく良かった」といった意見をもらえたのが印象に残っています。

末吉 たしかに、Phorest活動としての高尾山登山は有意義だったと思います。同時に、今回の特派員企画に参加して、何らかのメッセージを世の中に伝えることの難しさを感じることもできました。僕自身はチームの中でウェブサイトやSNSで発信する「IT」担当なのですが、たとえばFacebookで投稿して何かを世の中に広めますっていっても、現実にはなかなか広がっていくものではないですよね。それに、例えば30秒の動画をアップしようと思うと、編集などの準備作業には数時間かかってしまうのも珍しいことではありません。せっかく撮影してきた動画も全てを発信できていないし、まだまだやり残したことがいっぱいある感じです。

宍戸 パックンマックンとのイベントなどはどうでしたか?

渡邉 当然ですけど、パックンマックンのお二人は、さすがプロ! という感じでしたね。お二人とはウェブサイトの『Really? REDD+!! LESSON.3』と、エコプロ2016のイベントステージでご一緒させていただいたのですが、とても楽しく、わかりやすく、私たちのインドネシアでの経験やその後の活動についての話を引き出していただくことができたと感じています。

特派員をやって、良かったことは?

宍戸 では締めくくりに、REDD+ オフィシャル特派員をやって良かったと感じたことを聞かせてください。

渡邉 発展途上国に興味をもてたことですね。行ってみないとわからないことが多かったです。ただ、こうして日本で普通に暮らしていると、現地を旅した時の感動が薄れていってしまうので、機会があれば、もっといろんな途上国の現状を見に行きたいと思っています。

竹村 インドネシアの森に行ってみて、実際にそこで暮らしている人がいることを実感できたのは、僕にとってもすごく大きな体験でした。最近、コーヒー豆を自分で買うときも、パッケージの裏の記載で原産国を確かめるようになったり、「フェアトレード」の表記があると応援しようと思うようになりました。今まであまり興味がなかったことなので、少し視野が広がった気がしています。

末吉 さっき、情報発信の難しさを知ることができたと話しましたけど、自分の行動力や発信力の限界を実感することができたのは、良かったことだと思っています。自分が本当に伝えたいことは何なのかをしっかりと考えて、自分のやるべきことを見つけなきゃいけないということや、それを成し遂げるための行動力を鍛えなきゃいけないことを実感する機会となりました。

飯塚 森林のことや国際協力にはもともと興味があったので、REDD+ プロジェクトの現地を自分の目で見て、いろんな方と知り合うことができたのは自分の財産になったと思います。あと、帰国後の活動のために、紙芝居を作ってみたり、動画を作成してみたりしましたが、特派員になっていなければこのようなことを試みていなかったので、良い意味で挑戦させられ、成長できた機会でした。

2017年の新たな企画への期待と助言

宍戸 みなさん、本当にありがとうございました。実は、2017年は『森から世界を変えるビジネスアワード』というプロジェクトを行って、優秀なビジネスプランの提案者を第2回REDD+オフィシャル特派員として海外派遣する計画になっています。最後に、みなさんの後に続く特派員に向けて、何かアドバイスがあれば聞かせてください。

渡邉 私たちも事前のレクチャーはしっかり受けて出かけたつもりだったのですが、まだ「準備が足りなかったな」と感じる部分がありました。やはり、事前の計画と準備が大切だと思うので、しっかり情報収集するほうがいいですね。

竹村 そうですね。ただ、事前に全てを知ることは難しいと思うので、森林保全などについての知識は、ある程度頭に入っていればいいのかな、とも感じます。むしろ、次回(2017年度)はビジネスプランを提案する企画ということですし、提案したビジネスアイデアを以って、自分が確かめたいことや、現地でぜひともやるべきことを事前にしっかり意識しておくのがいいんじゃないでしょうか。

末吉 あと、帰国してからの活動に、何か具体的な目標があるといいなと感じました。義務感や、ただ「楽しい」だけでは持続していくのが難しいです。僕たちは、現地視察の際に兼松株式会社(※特派員はインドネシアの現地視察の際、プラットフォーム加盟団体である兼松株式会社のプロジェクトサイトへも訪問しました)の担当者や関係者の方々に色々なサポートをしていただいたのですが、ビジネスアワードという企画の中で、2017年はさらに民間企業との連携を行って、本当に参加者が提案したビジネスプランの実現を目指せると素晴らしいですね。

飯塚 次回の旅の日程はまだわからないですが、私たちの旅はなかなかハードなスケジュールだったので、体調を整えて頑張ってほしいと思います。あと、特派員に選ばれた方はもちろん、アワードプロジェクトに参加した「2期生」のみなさんと私たち「1期生」との交流の場を作っていただけるとうれしいですね。

宍戸 交流の場は、ぜひ実現しましょう。貴重なご意見、ありがとうございました。

オフィシャル特派員のみなさん。ありがとうございました!

REDD+オフィシャル特派員
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