イベント情報

【REPORT】第3回ナレッジセミナー『REDD+セーフガードの計画と実施』

日時:10月29日(木) 15:00 – 17:00
場所:JICA竹橋

セーフガードについての知見を共有

『森から世界を変える REDD+ プラットフォーム』では、ビジネスモデル分科会、ナレッジ分科会、情報発信分科会という3つの分科会を設けて活動を続けています。10月29日に開催されたのは、そのうちのナレッジ分科会が主催するセミナーです。

3回目となるナレッジセミナー。今回は『REDD+セーフガードの計画と実施』をテーマとして、REDD+ におけるセーフガードについて、約50名参加のもと、国際動向や具体的事例についての講義(プレゼンテーション)やディスカッションが行われました。

「セーフガード」とは、REDD+ を実施することにより発生することが懸念される森林ガバナンスや環境、社会への悪影響を予防するための施策のこと。言葉だけを聞くとネガティブな要素だと考えてしまいそうになりますが、セーフガードへの配慮や施策を実施することが、森林保全に加えて環境・社会面での貢献を明らかにすることに繋がることもあり、REDD+ に参入する企業や団体にとってはCSR的な価値を高める要素としても注目されています。

この日のセミナーにもプラットフォームに加盟する企業などからたくさんの方に参加いただき、実際にREDD+ に取り組む企業や団体のセーフガードに対する関心の高さを実感できました。


先行事例や課題、認証制度などを解説


松本光朗氏

矢野雅人氏
古川拓哉氏

棚橋雄平氏

セミナーでは、森林総合研究所REDD研究開発センター長の松本光朗氏の挨拶に続いて、3人の講師によるプレゼンテーションが行われました。

まず、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの環境・エネルギー部主任研究員、矢野雅人氏が『REDD+ をめぐる国際的動向』について解説。セーフガードとはそもそもどういうものなのか。また、今までの国連での議論の経緯や、今後REDD+プロジェクトの中でセーフガード活動を実施していく上での課題、さらには現実的な課題解決の指針まで、丁寧な説明がされました。

続いて森林総合研究所温暖化対応推進拠点研究員、古川拓哉氏が『プロジェクトレベルのセーフガードの取り組み』をテーマに講演。「CCBS(The Climate, Community and Biodiversity Standards)」や「VCS(Verified Carbon Standard)」など、REDD+ においてセーフガードをプロジェクトレベルで実施する際に参照できる認証制度などについて、詳細な説明がなされました。

最後は、国際緑化推進センター研究員、棚橋雄平氏が『プロジェクトレベルでのセーフガード対応』をテーマに講演。各国で先行して実施されている事例について、事例集をもとに解説。「先住民や地域住民の知見や権利の尊重」「利害関係者の参加」「社会便益の増進」「生物多様性保全」など、具体的なセーフガードの項目ごとに、プロジェクトでの取り組みの内容や障壁、今後の課題などについて詳細な説明がなされました。

講義の後の質疑応答でも盛んに質問や議論が交わされて、終了時間を30分近く超過するほどでした。2020年以降の国際的枠組みが示されるであろうCOP21の開催を間近に控え、REDD+ への機運もいよいよ本格的に高まり始めていることを感じさせるセミナーとなりました。


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