イベント情報

【現地からの報告】
COP21ジャパンパビリオン 『REDD+の実現に向けた日本の官民連携の取組』を開催

プログラム

●講演1
テーマ:REDD+の実現に向けた公的セクターの取組
宍戸健一氏(JICA 地球環境部審議役兼次長 ※森林・自然環境グループ担当)

●講演2
テーマ:REDD+の実現に向けた民間セクターの取組
矢崎慎介氏(兼松株式会社エネルギー部)

●講演3
テーマ:REDD+の実現に向けた、開発途上国側の課題と期待
Dr. Inthavy Akkharath(ラオス 天然資源・環境省 森林資源管理局次長)
Mr. Omedi Moses Jura(ケニア国 天然資源・水・環境省 国家気候変動事務局技官)

●パネルディスカッション
(パネリスト)
上記4名
(司会)
岡田裕貴氏(JICA 地球環境部 森林・自然環境グループ調査役)

セッションサマリー

昨年(2014年)11月に設立した「森から世界を変えるREDD+ プラットフォーム」の枠組のもと、途上国におけるREDD+ 関連のプロジェクト実施や方法論の開発など、官民挙げての取組が進められています。本セッションでは、2020年以降の次期約束期間を見据えた日本の取組や、官民連携による森林保全の取組、途上国政府からの日本の取組への期待とともに、REDD+ の取組の現状と将来の展望を議論されました。

講演ではまず、JICA宍戸審議役兼次長より、REDD+ の実現に向けたJICAの取組やベトナムにおける協力事例等について紹介。兼松株式会社の矢崎氏からは、インドネシア国ゴロンタロ州におけるカカオ栽培促進によるJCM-REDD+ プロジェクトについて発表がありました。

続いて、途上国の立場からのプレゼンテーションとして、ラオス国天然資源・環境省のInthavy次長が、同国におけるJICAによる技術協力の紹介とJCM-REDD+ への期待を表明。また、都合により、ケニア国天然資源・水・環境省のOmedi技官に代わり、宍戸氏が同国におけるREDD+ 分野の方向性につき紹介しました。

パネルディスカッションでは、REDD+ 事業に民間セクターが参加する意義を中心に議論。ラオスやケニアからは、資金需要のギャップを埋めるためにも、民間企業の参画を強く期待している旨コメントがありました。

これらの意見に対し、矢崎氏からは、(1)民間企業としては、ビジネスが成り立たなければ、CSRだけでREDD+ を実施することは難しい、(2)インドネシアではカカオのバリューチェーンというビジネスモデルが成立した故に社内の理解が得られた、という旨のコメントがありました。

また宍戸氏は、(1)REDD+ によるビジネスモデルは、地域の雇用も創出し、国際社会からの経済的なインセンティブ以上に価値を生むもの、(2)そうしたモデルを産官学で目指すのが REDD+ プラットフォームである、と強調しました。

質疑応答においては、カンボジアの参加者より、民間企業の参画に関連して、(1)2020年以降の見込み、(2)REDD+ に参加する際のリスク、(3)森林保全と生計向上活動のリンケージ、(4)クレジットの配分と発生時期について質問がありました。

これに対し、宍戸氏からは、(1)日本政府は温室効果ガス排出削減の「約束草案」の中でも、2020年以降もJCMを通じた国際貢献をコミットしていること、(2)また、REDD+への投資を回収するには一定以上の期間が必要であり民間企業としては中長期的に取り組むべき課題であることから、是非カンボジア政府も2020年以降も続けてほしい、といった旨のコメントがありました。

また、矢崎氏からは、(1)事業を継続していくためには現地関係者の理解が必要であり、JICAなどODAとの連携も重要であること、(2)インドネシアの事業は、住民に対して森林保全を強要していないが、農民に儲かるビジネスモデルを提供することで森林保全を誘導することで成果を期待していること、(3)クレジットに関しては、インドネシア政府の規程に基づき、同国政府と共同事業者で分配予定であるが、時期は交渉中である旨の説明がありました。

最後に、司会者より議論の結果を確認し終了しました。

キーメッセージ

(1)民間企業の参画は膨大な資金ギャップを埋める上でも有効。
(2)民間企業の参画は、CSV(ビジネスを通じた社会的な価値の創造)のモデル構築の観点から重要。
(3)公的セクターの役割として、政府の補助制度やJICA技術協力によるサポートの拡大も重要。
(4)そのため、産官学の連携は不可欠であり、日本の「森から世界を変えるREDD+ プラットフォーム」による取り組みが重要。


<COP21 ジャパンパビリオン 公式サイト> http://cop21-japanpavilion.jp/program/151201/1430-1600/

▲ TOP