○技術協力に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定
(昭和63年2月20日外務省告示第70号) |
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昭和61年12月2日に東京で、技術協力に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の署名及び同協定に関連する次の書簡の交換がメキシコ合衆国政府との間に行われ、この協定は、昭和62年12月24日に発効した。
技術協力に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定
日本国政府及びメキシコ合衆国政府は、技術協力により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、また、両国の経済的及び社会的発展がもたらす相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
技術協力に関する日本国政府とメキシコ合衆国政府との間の協定
日本国政府及びメキシコ合衆国政府は、技術協力により両国間に存在する友好関係を一層強化することを希望し、また、両国の経済的及び社会的発展がもたらす相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
第1条 両政府は、両国間の技術協力を促進するよう努力する。
第2条 両政府は、この協定に基づき、相互に合意する分野の技術協力計画を実施するための別途の取極を行う。
第3条 日本国政府は、日本国の現行法令に従い、かつ、前条にいう取極に基づき、自己の負担で次の形態による技術協力を行う。
(a) | 日本国における技術訓練のためにメキシコ国民を受け入れること。 |
(b) | 日本人専門家(以下「専門家」という。)をメキシコ合衆国に派遣すること。 |
(c) | メキシコ合衆国の経済及び社会開発計画の調査を行うため、日本の調査団(以下「調査団」という。)をメキシコ合衆国に派遣すること。 |
(d) | 設備、機械及び資材をメキシコ合衆国政府に供与すること。 |
(e) | 両政府間で相互に合意することのあるその他の形態の技術協力をメキシコ合衆国政府に対し行うこと。 |
第4条 メキシコ合衆国政府は、前条に規定する日本の技術協力の結果としてメキシコ国民が取得した技術及び知識がメキシコ合衆国の経済的及び社会的発展に寄与するように必要な措置をとる。
第5条 日本国政府が専門家及び調査団を派遣する場合には、メキシコ合衆国政府は、個別の技術協力計画を実施するメキシコ合衆国の機関を通じ、次の措置をとる。
(a) | 専門家及び調査団の任務遂行に必要な土地及び事務所その他の施設を提供し、かつ、それらの運営費及び維持費を負担すること。 | |
(b) | 専門家及び調査団の任務遂行に必要な現地要員(専門家及び調査団の相手方となるメキシコ人要員及び、必要な場合には、適当な通訳を含む。)を提供すること。 | |
(c) | 専門家に係る次の諸経費を負担すること。 | |
(i) | 通勤費 | |
(ii) | メキシコ合衆国内の公用出張旅費及び滞在費 | |
(iii) | 公用通信費 | |
(d) | 専門家及びその家族に対し無料の住宅又は住居手当を提供すること。 | |
(e) | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し無料の医療上の便宜を提供すること。 |
第6条
1(1) | メキシコ合衆国政府は、次の措置をとる。 | ||
(a) | 専門家及び調査団の構成員につき、海外から送金される給与及び手当に対し又はこれらに関連して課される所得税その他の課徴金を免除すること。 | ||
(b) | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員につき、次のものの輸入に関し、輸入許可証及び為替証明書の取得要件並びに領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金を免除すること。 | ||
(i) | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員の携帯荷物 | ||
(ii) | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員用としてメキシコ合衆国に持ち込まれる身回品、家財及び消費財 | ||
(iii) | 専門家1名につき自動車1台 | ||
(2) | (1)(b)にいう物品及び自動車については、それらがその後メキシコ合衆国において、関税及び租税の免除又はそれらと同様の権利を有しない個人又は団体に売却又は譲渡される場合には、当該関税及び租税が支払われなければならない。 | ||
(3) | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員は、(1)(b)にいう物品及び自動車の再輸出に際し、輸出許可証の取得要件及び関税、租税その他類似の課徴金を免除される。 | ||
2 | メキシコ合衆国政府は、また、次の措置をとる。 | ||
(a) | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し、その任期中、メキシコ合衆国に入国し、同国から出国し及び同国に滞在することを許可し、かつ、外国人登録義務及び領事手数料を免除すること。 | ||
(b) | 専門家及び調査団の任務遂行に際し、関係当局が必要な便宜を供与するために、専門家及びその家族並びに調査団の構成員に対し身分証明書を交付すること。 | ||
(c) | 専門家及び調査団に対し、その任務遂行上必要なその他の措置をとること。 | ||
3 | 専門家及びその家族並びに調査団の構成員は、メキシコ合衆国において同様の任務を遂行している第三国の専門家及びその家族並びに調査団の構成員に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与えられる。 |
第7条 メキシコ合衆国政府は、メキシコ合衆国における専門家及び調査団の構成員の任務の遂行に起因し、その遂行中に発生し、又はその他その遂行に関連して専門家及び調査団の構成員に対する請求が生じた場合には、その請求に関する責任を負う。ただし、両政府がその請求が専門家又は調査団の構成員の重大なる過失又は故意から生じたことに合意した場合は、この限りでない。
第8条
1 | 日本国政府がメキシコ合衆国政府に設備、機械及び資材を供与する場合には、それらは、陸揚港においてC・I・F建てでメキシコ合衆国政府の関係当局に引き渡された時にメキシコ合衆国政府の財産となる。これらの設備、機械及び資材は、別途の合意がある場合を除き、供与された目的のために使用される。 |
2 | メキシコ合衆国政府は、1にいう設備、機械及び資材に関して、輸入許可証及び為替証明書の取得要件並びに領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金を免除する。 |
3 | 1にいう設備、機械及び資材のメキシコ合衆国内における輸送のための費用並びにそれらの維持及び修理のための費用は、メキシコ合衆国政府が負担する。 |
4 | 専門家及び調査団がその任務を遂行するために携行する設備、機械及び資材は、別途の合意がある場合を除き日本国政府の財産である。 |
専門家及び調査団は、設備、機械及び資材の輸入に際し、これらの設備、機械及び資材に対してメキシコ合衆国において課される領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除される。 | |
専門家及び調査団は、これらの設備、機械及び資材の再輸出に際し、輸出許可証の取得要件及び関税、租税その他類似の課徴金を免除される。 |
第9条 専門家及び調査団の構成員は、メキシコ合衆国政府が指定する機関を通じ、同政府と緊密に連絡を保つものとする。
第10条 日本国政府及びメキシコ合衆国政府は、この協定から又はそれに関連して生ずることがあるいかなる事項についても相互に協議する。
第11条
1 | この協定の規定は、この協定が効力を生じた後に適用されるが、この協定が効力を生ずる前に両政府の間の合意に基づき実施されている個別の技術協力計画並びに当該計画を実施するためにメキシコ合衆国に滞在中の専門家及びその家族、調査団の構成員並びに当該計画を実施するためにメキシコ合衆国に持ち込まれた設備、機械及び資材については、この協定が効力を生じた後に、この協定の規定に従って与えられるものと同一の特権、免除及び便宜が与えられる。 |
2 | この協定の終了は、両政府が明示的に別途の合意をしない限り、実施中の技術協力計画の完了の日まで当該計画に影響を与えるものではなく、また、当該計画に関する任務を遂行するためにメキシコ合衆国に滞在中の専門家及びその家族並びに調査団の構成員に与えられる特権、免除及び便宜に影響を与えるものではない。 |
第12条
1 | この協定は、日本国政府がメキシコ合衆国政府からこの協定の効力発生のために必要な憲法上の手続を了した旨の文書による通告を受領した日に効力を生ずる。 |
2 | この協定は、1年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対し少なくとも6箇月の予告をもって協定を終了させる意思を書面により通告しない限り、毎年自動的に1年ずつ更新される。 |
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。 |
1986年12月2日に東京で、ひとしく正文である日本語及びスペイン語により本書2通を作成した。 |
日本国政府のために |
倉成 正 |
メキシコ合衆国政府のために |
ベルナルド・セプルベダ・アモール |
(国際協力事業団の駐在員等に関する交換公文) | ||
(日本側書簡) | ||
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日署名された技術協力に関するメキシコ合衆国と日本国との間の協定に言及するとともに、日本国政府による技術協力の実施機関である国際協力事業団(以下「JICA」という。)の駐在員及び職員並びにメキシコ合衆国におけるJICA事務所に関してメキシコ合衆国政府の代表者と日本国政府の代表者との間で到達した次の了解を確認する光栄を有します。 | ||
1 | メキシコ合衆国政府はJICAの駐在員及び職員を受け入れ、またJICA事務所及びその出張所の開設を認める。 | |
2 | 職員の数は、両政府の関係当局間で合意する。 | |
3 | 駐在員及び職員は、メキシコ合衆国において協定第2条にいう個別の技術協力計画の実施のための調査及び関係機関との連絡調整等の任務を遂行する。 | |
4(1) | メキシコ合衆国政府は、駐在員及び職員並びにそれらの家族に対し、次の措置をとる。 | |
(a) | 駐在員及び職員並びにそれらの家族に対する特権、免除及び便宜に関し協定第6条を準用すること。 | |
(b) | 駐在員及び職員がその任務の遂行のためにメキシコ合衆国に持ち込む設備、機械及び資材に関し、メキシコ合衆国において課される領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。 | |
これらの設備、機械及び資材の再輸出に関し、輸出許可証の取得要件並びに関税、租税及びその他類似の課徴金を免除すること。 | ||
(c) | 駐在員及び職員の任務の遂行のための経費であって海外から送金されるものに対し又はこれに関連して課される所得税その他の課徴金を免除すること。 | |
(2) | メキシコ合衆国政府は、事務所に対し次の措置をとる。 | |
(a) | 事務所の活動のために必要な設備、機械、自動車その他のものの輸入に対し又はこれらに関連してメキシコ合衆国において課される領事手数料、関税、租税その他類似の課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。 | |
(b) | 事務所の活動のための経費であって海外から送金されるものに対しまたこれに関連して課される所得税その他の課徴金を免除すること。 | |
(3) | 駐在員、職員及びそれらの家族並びに事務所は、メキシコ合衆国において同様の任務を遂行している第三国による技術協力の実施機関の駐在員、職員及びそれらの家族並びに事務所に与えられているものより不利でない特権、免除及び便宜を与えられる。 | |
5 | 協定が終了する場合には、駐在員、職員及びそれらの家族並びに事務所に与えられる特権、免除及び便宜については、協定の第11条第2項が準用される。 | |
本大臣は、この書簡及び前記の了解をメキシコ合衆国政府に代わって確認される閣下の返簡が、両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることを提案いたします。 | ||
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。 | ||
1986年12月2日に東京で | ||
日本国外務大臣 倉成 正 | ||
メキシコ合衆国外務大臣 | ||
ベルナルド・セプルベダ・アモール閣下 | ||
(メキシコ側書簡) | ||
(訳文) | ||
書簡をもって啓上いたします。本大臣は、本日付けの閣下の次の書簡に言及する光栄を有します。 | ||
(日本側書簡) | ||
本大臣は、メキシコ合衆国政府が前記書簡の了解を受諾することを確認するとともに、閣下の書簡及びこの返簡が、両政府間の合意を構成し、その合意がこの返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることに同意することを回答する光栄を有します。 | ||
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かって敬意を表します。 | ||
1986年12月2日に東京で | ||
メキシコ合衆国外務大臣 | ||
ベルナルド・セプルベダ・アモール | ||
日本国外務大臣 倉成 正閣下 |