令和四年三月十五日にベイルートで、技術協力に関する日本国政府とレバノン共和国政府との間の協定の署名が行われ、同協定は、令和五年四月二十五日に効力を生じた。
令和五年七月二十六日 外務大臣 林 芳正
令和五年七月二十六日 外務大臣 林 芳正
○技術協力に関する日本国政府とレバノン共和国政府との間の協定
(令和5年7月26日外務省告示第319号) |
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日本国政府及びレバノン共和国政府は、
両国間に存在する友好関係を技術協力の促進により一層強化することを希望し、
それぞれの国の経済開発及び社会開発を促進することにより得られる相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
両国間に存在する友好関係を技術協力の促進により一層強化することを希望し、
それぞれの国の経済開発及び社会開発を促進することにより得られる相互の利益を考慮して、次のとおり協定した。
第1条 両政府は、両国間の技術協力を促進するよう努める。
第2条 この協定に基づいて行われる技術協力の個別の計画を規律する別個の取決めは、両政府の権限のある当局間で合意される。日本国政府の権限のある当局は外務省であり、レバノン共和国政府の権限のある当局は外務・移民省である。外務・移民省は、特に、当該計画を受諾し、当該計画に関する日本側とレバノン側利害関係者との間の調整を確保し、関係者と協力して当該計画の進捗状況を測り、及び当該計画の結果を確認する権限を有する。
第3条 次の形態による技術協力は、日本国において施行されている法令及び前条に規定する取決めに従い、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)により、JICAの負担で行われることとなる。
(a) | 技術訓練をレバノン国民に提供すること。 |
(b) | JICAからの専門家(以下「JICA専門家」という。)をレバノン共和国に派遣すること。 |
(c) | レバノン共和国の経済開発及び社会開発に係る計画に関する調査を行うため、日本国の調査団(以下「日本国の調査団」という。)をレバノン共和国に派遣すること。 |
(d) | 設備、機械及び資材をレバノン共和国政府に供与すること。 |
(e) | 両政府間の相互の同意によって決定されるその他の形態の技術協力をレバノン共和国政府に提供すること。 |
第4条 レバノン共和国政府は、前条に規定する日本国の技術協力の結果としてレバノン国民が取得する技術及び知識並びに供与される設備、機械及び資材がレバノン共和国の経済開発及び社会開発に寄与すること並びに軍事目的に使用されないことを確保する。
第5条 レバノン共和国政府は、JICAがレバノン共和国において海外事務所を開設し、及び維持することを認め、また、日本国から派遣され、レバノン共和国においてこの協定に基づく技術協力の計画に関連してJICAによって与えられる任務を遂行する駐在員及び職員(以下それぞれ「JICA駐在員」及び「JICA職員」という。)を受け入れる。
第6条 レバノン共和国に滞在中のJICA駐在員、JICA職員、JICA専門家及び日本国の調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員は、レバノン共和国政府により、レバノン共和国の領域において、千九百六十一年四月十八日の外交関係に関するウィーン条約の関連規定に基づきレバノン共和国に派遣されている外交使節団の事務及び技術職員並びにこれらの者の家族の構成員に与えられる特権、免除及び便宜と同等のものを与えられる。
第7条 JICAがJICA専門家及び日本国の調査団を派遣する場合には、レバノン共和国政府は、次のことを行う。
(a) | JICA専門家及び日本国の調査団の任務の遂行に必要とされる適当な事務所その他の施設(電話及びファクシミリの役務を含む。)を自己の負担で提供し、かつ、当該施設の運営費及び維持費を負担すること。 | |
(b) | JICA専門家及び日本国の調査団の任務の遂行に必要な現地要員(必要な場合には、適当な通訳を含む。)並びにJICA専門家及び日本国の調査団の相手方となる当該任務の遂行に必要なレバノン人の要員を既存の人的資源を活用して自己の負担で提供すること。 | |
(c) | その指定する機関を通じ、JICA専門家及び日本国の調査団の構成員と密接な連絡を維持すること。 | |
(d) | JICA専門家に係る次の諸経費を負担すること。 | |
(ⅰ) | 通勤費 | |
(ⅱ) | レバノン共和国内の公用出張旅費 | |
(ⅲ) | 公用通信費 | |
(e)
| JICA専門家及びその家族の構成員に対し、適当な住宅の確保につき便宜を提供すること。 | |
(f) | JICA専門家及び日本国の調査団の構成員並びにこれらの者の家族の構成員に対し、レバノンの病院において医療上の便宜を提供すること。 |
第8条
1 | JICAがレバノン共和国政府に対して設備、機械及び資材を無償で供与する場合には、レバノン共和国政府は、次のことを行う。 | |
(a) | 当該設備、機械及び資材の輸入に関し、領事手数料、租税(関税を含む。)及び課徴金並びに輸入許可証及び為替証明書の取得要件を免除すること。当該設備、機械及び資材は、保険料及び運賃込みの条件で陸揚港においてレバノン共和国政府の関係当局に引き渡された時にレバノン共和国政府の財産となる。 | |
(b) | 当該設備、機械及び資材の現地購入に関し、租税(付加価値税を含む。)及び課徴金を免除すること。 | |
(c) | 当該設備、機械及び資材のレバノン共和国内における輸送のための費用並びにこれらの交換、維持及び修理のための費用を負担すること。 | |
(d) | 両政府の権限のある当局間に別段の合意がある場合を除くほか、当該設備、機械及び資材が第二条に規定する取決めに定める目的のために使用されることを確保すること。 | |
2 | JICA専門家及び日本国の調査団の構成員の任務の遂行に必要な設備、機械及び資材であってJICAが用意するものは、両政府の権限のある当局間に別段の合意がある場合を除くほか、引き続きJICAの財産とする。 |
第9条 レバノン共和国政府は、レバノン共和国に滞在中のJICA専門家、日本国の調査団の構成員、JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員の安全を確保するために必要な措置をとる。
第10条 両政府は、この協定から又はこれに関連して生ずることのあるいかなる事項についても相互に協議する。この協定の解釈、実施又は適用に関するいかなる事項も、友好的に、かつ、両政府間の協議又は交渉によってのみ解決されるものとする。
第11条 この協定の終了は、両政府間の相互の同意により別段の決定が行われる場合を除くほか、実施中の技術協力の個別の計画が完了する日までの間当該計画に影響を及ぼすものではなく、また、当該計画に関連する自己の任務を遂行するためにレバノン共和国に滞在中のJICA専門家、日本国の調査団の構成員、JICA駐在員及びJICA職員並びにこれらの者の家族の構成員に与えられる特権、免除及び便宜に影響を及ぼすものでもない。
第12条
1 | この協定は、日本国政府がレバノン共和国政府からこの協定の効力発生のために必要な国内手続を完了した旨の書面による通告を受領した日に効力を生ずる。 |
2 | この協定は、一年間効力を有するものとし、いずれか一方の政府が他方の政府に対しこの協定を終了させる意思を書面により少なくとも六箇月の予告をもって通告しない限り、毎年自動的に一年ずつ更新される。 |
以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの協定に署名した。 |
二千二十二年三月十五日にベイルートで、英語により本書二通を作成した。 |
日本国政府のために |
大久保武 |
レバノン共和国政府のために |
アブダッラー・ブー・ハビーブ |