国立大学ITサービス産業人材育成プロジェクト

Human Resource Development in IT Service Industry at NUOL

終了案件

国名
ラオス
事業
技術協力
課題
教育、情報通信技術
協力期間
2008年12月~2013年11月

プロジェクト紹介

ラオスでは、周辺国に比べIT技術の導入と開発が遅れ、他国との経済格差の拡大が懸念されていました。2001年以降、同国政府は情報技術分野の教育を重視し、IT導入による国全体の経済の活性化を図ってきました。これまでに、日本はラオス国立大学工学部の情報化に協力するなど同国の施策を支援してきましたが、既存の国内教育機関では産業界が要望するデータベース、ネットワーク、アプリケーション分野のITスペシャリストを十分育成できていないという問題がありました。この協力では、同大学に対し持続的なIT人材育成の体制の構築を支援しました。これにより、同国におけるITサービス産業の発展に寄与しました。

協力地域地図

国立大学ITサービス産業人材育成プロジェクトの協力地域の地図

事業評価

協力現場の写真

  • 日本人JICA専門家による技術移転。このプロジェクトでは、協力終了後の維持発展性を重視していることから、「JICA専門家がラオスIT教員に技術移転」をし、「ラオスIT教員がラオス人学生を教育する」という方針をとっている。また、地元IT企業が学生に求めているのは、「実践的なスキル」。このため、IT教員は民間ITエンジニアに勝るとも劣らない実践的スキルを身につける必要があり、JICA専門家から集中訓練を受け続けている 

  • 新たに建設されるIT学科校舎の地鎮祭。仏教の僧侶(最前列の4名)と、アニミズムの祈祷師(2列目の右から2人目と3人目)が共同で行うのがラオス式。良いピー(ラオスの精霊)を呼び込み、悪いピーを追い払って、作業の安全を祈る。 

  • 落成間近い新校舎。この校舎は高度IT訓練の拠点となるだけでなく、ラオス人IT起業家の育成や産学官連携の拠点となることも期待されている。 

  • 夜間IT短期コースの風景。プロジェクトでは、大学外にも成果を広めることを主目的として、現役エンジニアや他校のIT専攻学生を対象としたコースを実施している。あらかじめ設定されたスキルレベルに到達しないと修了出来ない仕組みのため、毎回不合格者が出るものの、参加希望者は定員を上回ることもしばしば。 

  • 慣れない手つきでパソコンの組み立てを行う大学教員。ITエンジニアが専門ごとに分化している先進国と異なり、ラオスではパソコンの修理からシステム開発まで、広く実用的な技術を身につけることがITエンジニアに求められている。 

  • タイ国・コンケン大学のサイエンスパークを見学するラオス国立大学教員とJICA専門家。ラオス国立大学をIT産業振興の拠点とするため、この分野で先行しているコンケン大学からノウハウ学ぶべく各種の交流が両大学の間で始まっている。プロジェクトでは、特に、起業家育成に関連する両校の交流を後押ししている。 

  • シンガポール人専門家による技術移転。プロジェクトでは、事実上の世界標準となっているIT商用資格取得コースの設置を図っている。ネットワーク大手であるCisco社のCCNA資格もその一つ。プロジェクトでは、シンガポールからCCNA教員の育成に豊富な経験をもつ専門家を招き、訓練を続けた結果、10名のラオス人CCNA教員が誕生した。昨今のラオスにおけるネットワークエンジニア不足を反映してか、これら教員によって開催される短期コースには、常に定員以上の応募があり、ラオス人エンジニアの質の向上に貢献している。 

  • 産学官連携のためのStudy Session。ラオス国内のITシステム開発の大半は、隣国のIT会社が請け負っているのが現状。大学を卒業したラオス人ITエンジニアが自国内で相応しい仕事を得るには、地元のIT会社が国内の仕事を確保し、さらには海外に市場を延ばして行く実力を蓄える必要がある。これには産業界、教育機関、政府の連携が欠かせない。プロジェクトでは、各界のキーパーソンと共に、国内外のIT市場調査や、ラオスIT業界の進むべき方向を話し合うStudy Sessionを実施し、産学官連携をサポートしている。 

  • 今年10月開講予定のIT Specialist Courseの入学試験。栄えある第一期生50枠に88人の応募があった。受験生の約半数が企業や省庁で働いているITエンジニアで、より高い技術の習得を求める姿勢が感じられた。IT関連企業から19人分の奨学金の申し出があり、産学が連携して学生を支援する仕組みになっている。実践的かつ集中的なコースで鍛えられ、1年後には社会の需要に応える即戦力として巣立っていくことが期待される。 

関連情報

関連・連携プロジェクト

関連・連携プロジェクトはありません。

本プロジェクトの他の期・フェーズ

本プロジェクトの他の期・フェーズはありません。

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