教育実習の改善を目指して-ムフリラ教員養成校の取り組み

2016年9月に日本とインドネシアで実施された研修に、一般教育省(以下、教育省)教師教育特殊サービス局(以下、教師教育局)や教員養成校から、プロジェクトの運営に関わる幹部職員10名が参加しました。大学と付属学校が連携して活動を行い教育現場の改善に貢献するというシステムが成熟した日本と、その実践を導入しつつあるインドネシアの両国を見学し、参加者は様々な知見を実感として得て帰国しました。今後のプロジェクト活動のイメージができたことで、活動の推進に大きな手ごたえを感じたようです。参加者の一人であるムフリラ教員養成校の校長は、研修で得た教育実習の知見を活かすべく、新年度に入り、いち早く自校の教育実習改善に乗り出しました。

そのためのワークショップが2017年1月に行われ、同校の取り組みが教師教育局職員や他の教員養成校にも広く周知されました。遠方にもかかわらず、教育省の事務次官も駆けつけて教育実習改善の意義を参加者に訴え、この改善が全国の養成校のモデルになっていく可能性が示唆されました。

ワークショップでは従来の教育実習の問題点として、1)実習生は教室に指導教員が不在のまま教員の補充として授業を代行することがほとんどで、指導教員の指導を十分に受けられない、2)実習校が養成校から遠い場合は、養成校担当教官の十分なフォローができない、といった事項があげられました。これでは、実習生の教授能力が十分向上することは期待できません。ワークショップでは、その改善策として、1)同じ教科を専攻する学生5人をグループとして実習校に派遣し、彼らが授業をする際、他の4人は指導教員とともにその授業を観察し、授業後の検討会を指導教員のもと全員で行う、2)養成校と同じ州にある学校から実習校を選定する、などの取り組みを始めたことが示されました。このような養成校と実習校との協力体制の強化や、実習生への指導・フォロー体制の強化といったアイデアは、校長が日本やインドネシアで学習したことが基になっています。

ムフリラ教員養成校では、この改善計画に沿った新たな教育実習が2017年1月からスタートしました。実習校への負担増、担当教官・指導教員の指導能力向上の必要性などの課題も見えてきました。今後の試行錯誤のなかで課題をひとつひとつ解決していき、新たなザンビアの教育実習のモデルが構築されていくことになります。教育実習は、教員養成校が輩出する教員の質の向上に大きく影響を与える部分であり、この改善はザンビアの教育の質の向上に対して大きな貢献が期待できます。今後も、プロジェクトでは同養成校の教育実習の改善を注視していきます。

教育実習のワークショップの様子

教育実習のワークショップの様子

実習校の校長より実習開始3週目までの進捗報告

実習校の校長より実習開始3週目までの進捗報告

事務次官から教育実習改善への期待が述べられた。

事務次官から教育実習改善への期待が述べられた。

モニターで実習生の授業を見て、実習生への指導法に関するセッションも行われた。

モニターで実習生の授業を見て、実習生への指導法に関するセッションも行われた。