五感評価を用いた住民参加型水質モニタリング

「川の汚染はどのようなものなのか?」この質問に対する近隣住民の回答は実は思い込みによるものであって、必ずしも科学的根拠や事実に基づいたものではない、ということが往々にしてあります。そんな中で、住民に事実を正しく理解してもらうには参加型活動が有効です。

GIACは現地NGOとタッグを組んで、人間の「五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)」による評価手法を用いた住民参加型の河川水質モニタリングを開始しました。この評価手法は日本の行政にも取り入れられているものですが、高価な水質機材を必要とせず、住民参加型活動にうってつけです。

汚染度合が高く水質に問題を抱えるロチャ川ですが、その汚染源の8~9割は家庭排水であるとGIACの技術チームは推定しています。一方で、参加者(住民)の半数は「家庭排水によう汚染は少ないだろう」と考えています。そこで今回、汚染の少ない上流から市街地・住宅街を過ぎた後の下流までを順に巡りながら五感評価を行いました。その結果、家庭排水による汚染の影響が大きいことが示唆され、参加した住民たちも、川の汚染は家庭排水による影響が大きいのではないかと認識が変わりました。
そして、この活動を通じて、NGOによる住民とのファシリテーション力とGIACの科学的根拠に基づく説明の相乗効果が、住民の事実や科学的根拠に基づいた理解促進に大きく寄与することが分かりました。

このように住民などの社会側が事実を正しく認識できるようになることが、行政による適切な対策への社会的な理解と合意形成に繋がります。GIACはこの活動を継続して行うとともに、将来この活動が現地に根付いていくように、コチャバンバ県庁および市役所とともに、その運営上の教訓を取りまとめていく予定です。

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現場で住民と汚染原因について意見交換する様子