プロジェクト成果普及フォーラムの開催/北部5州の関係者対象の普及フォーラムの開催/全国16州の関係者対象の普及フォーラムとJCCの開催
プロジェクト成果普及フォーラムの開催
JICAは2017年7月から2023年7月までの6年間にわたり、ガーナ北部5州を対象にライフコースアプローチに基づく地域保健医療サービスの強化を目的としたプロジェクトをガーナ保健サービス局(Ghana Health Service: GHS)と共に実施してきました。JICAとしては、ガーナ北部州における地域保健サービス強化のための協力を2006年から2023年まで約17年間に渡り、3つの技術協力プロジェクトを通して対象分野や対象州を拡大しながら実施してきました。この約17年間に渡る取り組みの総仕上げとして、本プロジェクト対象地域である北部5州と全国16州の関係者に成果を共有し、普及するためのフォーラムを開催しました。
北部5州の関係者対象の普及フォーラムの開催
北部5州の関係者対象の普及フォーラムは、2023年5月31日にノーザン州のタマレ市で開催されました。このフォーラムには、北部5州の州・郡保健局長をはじめとする実務レベルのカウンターパートや同地域で活動する開発パートナー機関、GHS本部からは、政策・計画・モニタリング・評価局(Policy Planning, Monitoring and Evaluation Division: PPMED)副局長と同局の主要職員、JICAガーナ事務所、同地域で活動展開中のJICAの保健プロジェクトの専門家や地元メディアなど、約100人が参加しました。
会場では、プロジェクト活動を通じて作成した研修教材やマニュアルといった成果品や活動紹介のための写真を展示するとともに、プロジェクトのこれまでの活動や成果を紹介する動画も上映しました。また、プロジェクトの成果品をUSBメモリーに格納し参加者に配布しました。
このフォーラムでは、プロジェクトの中心となって活動してきた北部5州保健局のカウンターパートがプロジェクトの成果を発表し、さらに、州保健局の関係者が高い関心を示していた郡による地域保健師オリエンテーションやプライマリ・ヘルス・サービスへのライフコースアプローチの取り込みについて、その重要性や効果、長所や短所について郡保健局長達によるパネルディスカッションを通じて紹介し、参加者の理解や関心を高めました。5州の州保健局長からは、プロジェクトの活動継続に向けたコミットメントが述べられました。
プロジェクトの石賀智子総括は、北部州での約17年間の活動を振り返りつつ、関係者への感謝と共に活動継続の重要性を述べました。本フォーラムの議長を務めた前PPMED局長エラスムス・アゴンゴ氏からは、プロジェクトで取り組んできた駐在地域保健師による基本的保健医療計画・サービス(Community-Based Health Planning and Services: CHPS)が、ガーナにおけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage: UHC)を達成する上での優先事項であり、各州・郡保健局は活動を継続していくための十分な能力を有していると述べ、その強いメッセージは当日参加した対象5州関係者の意気込みを高めました。
全国16州の関係者対象の普及フォーラムとJCCの開催
全国レベルの関係者を対象とした普及フォーラムは、2023年6月14日に首都アクラにて開催されました。このフォーラムには全国16州の州・郡保健局の関係者、北部5州の州調整協議会及び郡議会代表のほか、保健省副大臣、GHS本部の関連部局(PPMED、非感染症対策プログラム、臨床ケア局など)、在ガーナ日本国大使館、JICAガーナ事務所、開発パートナーからは、世界保健機構(WHO)、韓国国際協力団(KOICA)、米州国際開発機構(USAID)など、総勢132人の関係者が参加しました。本フォーラムの議長は、プロジェクトディレクターであるGHS総裁が海外出張中で出席が叶わなかったため、GHS本部の家族保健局長のコフィ・イサ氏が務めました。
北部5州の州保健局長が、プロジェクトの成果毎の活動内容やデータを基にした活動インパクト、さらに運用実施上の留意点など、他州への普及や活動の推進を念頭に置きながら成果を発表しました。また、北部5州での普及フォーラムと同様に、郡による地域保健師オリエンテーションをパネルディスカッション形式で紹介しました。同オリエンテーションの導入によって地域保健師養成にかかる研修コストの大幅な削減が可能となったという北部5州の経験は、参加していた他の州関係者の大きな関心を呼び、質疑応答では具体的な予算コストから研修の質、さらには地域保健師候補となる地域看護師の人材不足やCHPSスタッフの離職にかかる課題まで、幅広い内容が議論されました。
JICAガーナ事務所の鈴木桃子所長は、プロジェクトに対するGHS側の熱意とこれまでの協力に対しての感謝を述べ、JICAがUHC達成に向けて引き続きガーナ政府を支援していく意向を表明しました。議長のイサ氏は、継続性を確保する上ではCHPSプロジェクトを「プログラム」と捉えるべきであり、本プロジェクトから得た学びや教訓は全て今後の保健政策に活かしていくこと、また北部5州からの学びを他州がそれぞれ工夫しながら取り入れ実施していくべきだと述べました。プログラムの最後では、約17年間にわたる北部地域でのプライマリ・ヘルス・ケア支援に対する感謝の意として、プロジェクト対象5州の関係者から在ガーナ日本大使館、JICA事務所、プロジェクトに感謝状が授与されました。
普及フォーラム後は引き続き本プロジェクト最後となる第9回合同調整委員会(JCC)が開催されました。JCCの主要メンバーのほか普及フォーラムに参加した北部5州の関係者が参加し、プロジェクトの達成状況や今後の課題と展開について協議しました。アッパー・イースト州の州保健局長は北部5州を代表し、プロジェクトで得られた成果の継続していくことに対するコミットメントを述べました。また、アッパー・ウエスト州の州保健局長からは、本会議の締めくくりに当たり、アッパー・ウエスト州で導入されたライフコースアプローチ活動の他4州への展開の必要性と、そのためにJICAガーナ事務所や開発パートナーと引き続き協力し合っていきたいという要望が述べられました。
終わりに
約17年近く続いたガーナ北部州でのプロジェクトは、ガーナ側関係者からの強いコミットメントを持って無事終了しました。プロジェクトの多くの成果品は国家標準化され、国家ガイドラインや国の保健情報システムの中に統合されており、今後も国の地域保健サービス提供の改善に貢献していくことが期待されます。北部5州はもちろん、国内全州のGHS関係者が本プロジェクトの協力を通じて導入された技術や知識、システムを活用し、ガーナのUHC達成に向けて取り組んでいくことを心より期待しています。
北部5州対象普及フォーラム
州保健局職員によるプロジェクト成果の発表
北部5州対象普及フォーラム
パネルディスカッション
全国普及フォーラム
州保健局長によるプロジェクト成果の発表
全国普及フォーラム
プロジェクト成果の発表を聴く参加者
全国普及フォーラム
パネルディスカッション
全国普及フォーラム
ガーナ保健サービス局からの感謝状の授与
全国普及フォーラム
参加者集合写真
全国普及フォーラム
成果品の展示
第9回合同調整委員会
プロジェクト成果についての議論
第9回合同調整委員会
参加者によるコメント