【2022年のニュース】2022年9月の活動ダイジェスト:パイロットサイト・イスナでの啓発活動 他

パイロットサイト・イスナ地区での啓発活動

9月28日に内務文化省文化局(DOC)、災害管理局(DDM)、公共事業省技術局(DES)がパイロットサイト・イスナ地区で住民向けの災害対策啓発プログラムを実施しました。パロ県庁に開催の支援を呼びかけ、イスナ地区の地区長(Tshopa)の理解協力のもと、地区の各世帯から50名以上の住民が参加する形で行われました。午前中のレクチャーではまず、DDMからブータンで起こる災害の種類や被災時の損害、そして、地震時の被害に備え、家具の転倒や物の落下を防ぐ対策が紹介されました。続いて、DOCとDESが、この地区に多い版築造建築の耐震性を向上させるための工法を説明しました。耐震工法を用いた伝統的デザインの住宅建築の各工程をわかりやすく示すために、プロジェクトで作成した3Dアニメーションと動画も使用しました。

午後は、参加者と地区内においてフィールドワークを実施し、災害時に想定されるリスクと災害時に取るべき行動を考えました。これに基づき、DDMは地区の災害対策マップを作り、提供する予定です。

地区長からは、自宅を建てる際には、今回紹介された耐震工法を取り入れたいとのコメントを貰いました。実際の施工例ができれば、地区内外に耐震工法の住宅建築が広がることが期待されます。

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レクチャーの様子 写真提供:文化局

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フィールドワーク前のガイダンスの様子 写真提供:文化局

文化局と技術局で版築造耐震建築の実地研修を実施

9月26日と27日(2日間)に内務文化省文化局(DOC)と公共事業省技術局(DES)は、文化局の実験ヤードにおいて、民間の建築職人(大工・石工の職長クラス)と県技術職員を対象とした実地研修を実施しました。4県(ハ県、ウィンディ県、プナカ県、ティンプー県)から各1名の技術職員、パイロットサイト・イスナ地区(パロ県)から9名の大工・石工が参加しました。先ずは、耐震化建築の施工例をビデオに収めた教材で方法と手順を学習します。その後、版築造模擬壁の教材を使って、基礎・壁・支柱・臥梁等の耐震補強工事の要点が実習指導されました。施工方法・手順をしっかり理解して、施工品質を管理することが大切です。鉄筋コンクリートの支柱を壁内に作っていく工程は、多くの参加者にとって初めて見るものですが、耐震化の重要な工程として伝えます。伝統的デザインと材料の建築でも、最小限の鉄筋コンクリート補強を採用することで耐震化できることがわかり、良い機会をもらえたとの感想が参加者から聞かれました。県の職員には、職場に戻って実習内容を同僚に伝えてもらいます。

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ビデオによる施工手順の説明 写真提供:文化局

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模擬壁を使った耐震化施工 写真提供:文化局

地質鉱山局で活断層地図の作成作業

9月19日から約3週間、経済省地質鉱山局(DGM)で日本側研究者の指導のもと、ブータン全土の活断層地図の作成が行われました。活断層地図は、航空写真を用いて地形の“ずれ”から活断層を認定し,断層トレースをGoogle Earthのデジタル標高モデル(DEM)上にいれて作成します。「川の侵食作用ではできない崖地形が連続するから、ここに活断層を認定する」などという指導を受け、カウンターパートは活断層の認定方法を学びました。この作業で、ブータン全土の活断層マップが完成し、特にブータン南部で多くの活断層を発見しました。今回の結果は論文にまとめられ、発表される予定です。

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航空写真を整理する様子 写真提供:文化局

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活断層を見分ける作業 写真提供:文化局