【2022年のニュース】2022年11月の活動ダイジェスト:パイロットサイト・ウラでの啓発活動 他

パイロットサイト・ウラでの啓発活動

11月9日に内務文化省文化局(DOC)、災害管理局(DDM)、公共事業省技術局(DES)がパイロットサイト・ウラで住民向けの災害対策啓発プログラムを実施しました。ブムタン県庁とウラ郡に開催の支援を呼びかけ、ウラ郡の郡長(Gap)の協力のもと、地区の各世帯から住民が参加する形で行われました。
まずDDMからブータンで起こる災害の種類や被災時の損害、そして地震時の被害に備えて家具の転倒や物の落下を防ぐ対策が紹介されました。続いてDOCとDESが、この地区に多い石積造建築の耐震性を向上させるための工法を説明しました。耐震工法を用いた伝統的デザインの住宅建築の各工程を分かりやすく示すために、プロジェクトで作成した3Dアニメーションと動画も使用しました。
今回の啓発活動ではバーチャルリアリティー(VR:Virtual Reality)を体験できるヘッドセットを使い、住民に模擬地震体験をしてもらいました。ブータンの伝統建築家屋内で地震が起こった際に、揺れによって物が落下・転倒したり、壁が少し崩壊したりするのを視聴覚体験できます。そして落下・転倒防止器具を設置する模擬体験もできます。体験者が見ている映像をスクリーンに映して他の住民も見ることができたので、みんなで楽しく学べました。VRを使った啓発活動が効果的であることを実感できた活動となりました。

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プログラムの様子 写真提供:公共事業省技術局

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VRによる模擬地震体験の様子 写真提供:公共事業省技術局

公共事業省技術局と内務文化省文化局で石積造耐震化の実地研修(Hands-on training)を実施

11月29日から12月2日(4日間)に公共事業省技術局(DES)と 内務文化省文化局(DOC)は、ブムタン県の職業訓練校の敷地を借りて、県技術者と現場施工者(石工の職長クラス)を対象とした実地研修(Hands-on training)を開催しました。石積造住宅が多い2県(モンガル県とブムタン県)に呼びかけ、モンガル県職員9名、ブムタン県職員10名、ブムタンの石工8名が参加しました。まず、耐震化建築の施工例をビデオに収めた教材で、方法と手順を学習します。その後、石積模擬壁の教材を使って、基礎・壁・支柱・臥梁等の耐震補強工事の要点が実習指導されました。施工方法・手順をしっかり理解して、施工品質を管理することが大切です。鉄筋コンクリートの支柱を壁内に作っていく工程は、多くの参加者にとって初めて見るものですが、耐震化の重要な工程として伝えます。また、完成した石積み壁を利用して、既存建物に対するレトロフィット手法の実習指導も行いました。伝統的デザインと材料の建築でも、最小限の鉄筋コンクリート補強を採用することで耐震化できることがわかり、良い機会をもらえたとの感想が参加者から聞かれました。県の職員には職場に戻って実習内容を同僚に伝えてもらいます。

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ビデオによる施工手順の説明 写真提供:名古屋市立大学

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模擬壁を使った耐震化施工 写真提供:名古屋市立大学

バーチャルリアリティー教材と振動台を連動させた啓発活動を実施

11月25日に災害管理局(DDM)と文化局(DOC)は振動台とバーチャルリアリティー(VR)を連動させた教材を使い、啓発活動を行いました。これまでの研究開発を通して、VR機器(ヘッドセット)で地震の仮想体験(視聴覚体験)をすることができるようになっています。日本側研究者は、このVR機器をさらに振動台と連動させることで、視聴覚だけでなく視覚に同期した揺れを体感する要素も加え、より実際の地震体験に近い状況を作り出す開発を行いました。文化局の振動台の上でVRを体験します。VR機器は振動台に付けたセンサーと連動していて、床(振動台)が揺れるとその揺れに同期してVR空間でも地震が発生し、目の前の建物が崩壊します。参加者からは地震を体験しているような認識を受けたとの感想が聞かれました。映像(視覚)と揺れ(体感)の同期がまだ不十分との意見もあり、改良を行って3月には完成させ、啓発活動で利用することを予定しています。

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VR体験の様子 写真提供:名古屋市立大学

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VR上の仮想空間 写真提供:名古屋市立大学

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VR上の仮想空間 写真提供:名古屋市立大学

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VR上の仮想空間 写真提供:名古屋市立大学