沿岸保護地域におけるiNaturalistを用いた生物多様性モニタリングの展開

プロジェクトでは、2021年6月からディヴィアカ・カラヴァスタ国立公園(DKNP)の生物多様性モニタリングの一環としてiNaturalist[1]を活用したモニタリング活動を開始しました。2023年12月時点で、76人以上の観察記録登録者が約8,200件の観察記録を登録し、これにより1,128種の動植物に関する有用なデータベースが構築されました。
さらに、プロジェクトでは観察記録だけでなく、国立公園内での保全が必要な絶滅危惧種や、動態に注意が必要な侵略的外来種の記録を抽出するためのiNaturalist内のツールを開発しました。これにより、特にEUが注目している種に対する特定のモニタリング・ツールを獲得したことになります。
ディヴィアカ・カラヴァスタ国立公園における生物多様性の状況は、iNaturalistを使用することで、その種数と分布の多くが明らかになりました。このデータベースは、侵略的外来種への対策や絶滅危惧種の保護にも役立っており、iNaturalistを用いた生物多様性モニタリングの成果や教訓は、プロジェクトの最終セミナーなどを通じてアルバニア全国の公園管理局と共有されました。
2023年12月19日、JICA専門家はiNaturalistを活用した生物多様性モニタリング手法の国内展開のため、シュコドラ湖国立公園(Lake Skadar National Park)、クネ・ヴァイン・タレ自然公園(Kunë-Vain-Talë-Patok-Fushëkuqe-Ishëm Nature Reserve)、ピシュ・ポロ・ナルタ保護区(Vjosë-Nartë Delta Protected Area)など、アルバニア沿岸部の各保護地域を対象としたiNaturalistプロジェクトページを作成し、それぞれの公園管理局へ提供しました。これらの保護区では、継続的にiNaturalistを利用した生物多様性モニタリングが実施される計画です。このようなiNaturalistを用いた生物多様性モニタリング手法の展開は、公園管理局及びその上位機関である観光環境省による科学的なデータに基づいた生物多様性保全の改善に寄与して行きます。


[1]ナチュラリスト(自然に関心があり、積極的に自然に親しむ人)、市民科学者、生物学者を対象としたオンラインのソーシャル・ネットワーキング・サービスです。生物の観察記録をマッピングし共有することで、地球上の生物多様性に関する情報を提供しています。iNaturalistのウェブサイトやモバイルアプリケーションを利用して観察記録を追加することができ、科学研究プロジェクト、博物館、植物園、公園、その他の組織にとって有益なオープンデータを提供しています。

ディヴィアカ・カラヴァスタ国立公園におけるiNaturalistモニタリング

ディヴィアカ・カラヴァスタ国立公園におけるiNaturalistモニタリング

シュコドラ湖国立公園におけるiNaturalistモニタリング

シュコドラ湖国立公園におけるiNaturalistモニタリング