経営管理に関する技術指導

無収水削減活動が永続的に行われるためには、水道公社の職員が、費用対効果の面で、その活動が有意義であることを知り、経営層や技術部門、予算・計画部門等の幹部や職員などの関係者にも周知することが重要になります。このため、本プロジェクトでは、無収水削減活動の費用対効果を分析します。さらに、KPI(業績管理評価のための重要な指標)を用いて、無収水の削減がどのようにブロックや支局に裨益するかをモニタリングします。
これまでの本プロジェクトの成果3「パイロット支局における無収水対策の費用対効果の分析能力が向上する。」において、無収水対策の費用対効果の指標を選定しました(活動3₋2)。指標には、配水量や請求水量、無収水率、管更新率、対策の費用便益比などが含まれています。
2024年の1月から2月にかけて、これらの指標の計算方法をカウンターパート(C/P)であるアディスアベバ上下水道公社(AAWSA)の関係職員にパワーポイントや演習問題を使って指導しました。さらに、Nifas Silk支局の実際のデータを用いて、指標の計算実習を行いました。
これらの指導は、昨年から設立されたメインC/P会議とサブC/P会議(本部と2支局の計画・予算課、本部の財務課、顧客サービス部、IT課よりそれぞれ2名配置)、および個人訪問での補足指導の形で行われました。個人訪問による指導は、時間と手間がかかりますが、C/Pは気軽に質問することができ、専門家は疑問点やコメントをより多く受けることができ、きめ細かな説明をすることができました。
さらに、費用対効果(評価指標)を定期的にモニタリングする活動では、K-1 NorthとK-1 Southの2つのブロックでの無収水率計測を開始しました(活動3-3)。これによって、無収水削減活動を行う前の無収水率を知ることができます。専門家は、計算のためのエクセルファイルを作成して、データ入力方法と計算過程・結果をC/P会議や個人訪問で説明・指導しました。
さらに、無料の地理情報システムのソフトウェアであるQGISを活用し、位置情報が付いたAAWSA全顧客リストから、将来のKirkos支局の管轄区域に含まれる顧客を抽出し、それらの請求水量を計算する方法を、無収水課のC/P職員に対してローカルスタッフとともに指導しました。
無収水課では、C/P職員のパソコン(PC)にQGISがインストールされていなかったため、担当職員の上司であるHabtamu課長自らPCのメモリーを増設し、QGISのインストールを行ってくれました。事前に専門家がデータ処理プロセスを示したパワーポイントを作成し、お互いに参照しながら、手戻りなく作業を行うことができました。大量のデータを処理するため、指導開始から2時間以上を要しましたが、何とか終了することができました。C/P職員は、QGISの基礎的な操作方法を理解し、パワポを参照しながらデータ処理をできるようになりました。今後も、適宜、実際のデータを用いた実習を行っていく予定です。

K-1 Southへの配水量を測る流量計(M1-3)

K-1 Southへの配水量を測る流量計(M1-3)

K-1 Southの顧客水道メータの一例

K-1 Southの顧客水道メータの一例

メインC/P会議(1/17, 本部財務課)

メインC/P会議(1/17, 本部財務課)

サブC/P会議(1/24, 本部NRW課)

サブC/P会議(1/24, 本部NRW課)

メインC/PへのNifas Silk支局実データを用いた指標計算実習(2/8, Nifas Silk支局)

メインC/PへのNifas Silk支局実データを用いた指標計算実習(2/8, Nifas Silk支局)

サブC/Pへの補足個人指導(2/12, 本部顧客サービス部)

サブC/Pへの補足個人指導(2/12, 本部顧客サービス部)

QGISでKirkos支局と各ブロックの顧客リストを作成する途上のPC画面

QGISでKirkos支局と各ブロックの顧客リストを作成する途上のPC画面

本部NRW課サブC/PへのQGISを用いたKirkos支局各ブロックの請求水量計算方法の指導(2/19, 本部NRW課)

本部NRW課サブC/PへのQGISを用いたKirkos支局各ブロックの請求水量計算方法の指導(2/19, 本部NRW課)